■「有害」規制法案・条例の状況

 

三重県青少年健全育成条例


<H17-1>

 インターネットの「有害情報」対策などを検討している第26期東京都青少年問題協議会の第2回専門部会が2004年11月8日に開かれた。会議で配布された資料を「有害」規制監視隊が入手したところ、三重県などがインターネットや携帯電話の規制を検討していることがわかった。

 現在、青少年条例でフィルタリング活用の努力義務などを規定しているのは大阪府、福岡県、鳥取県、福島県、奈良県の5府県。第2回専門部会資料「インターネット及び携帯電話の状況」によると、和歌山県、埼玉県、愛知県、大分県、三重県、京都府の6府県が、上記と同様な内容で、「条例の施行を予定し、又は改正の検討を行っている」という。(2004/11/15 07:50)

 

<H17-2>

 三重県は県青少年健全育成審議会が2005年5月にまとめた「青少年の健全育成のあり方について~平成17年1月27日諮問に対する基本的な考え方~(案)」について意見を募集している。公表された資料では、「インターネット上の有害情報への対応」「非行等を助長する行為への対策」「有害環境への対策」――の3点が早急に対応の必要な事項と位置付けられ、条例規定の追加などの対応策が示されている。具体的には、フィルタリングソフトの利用に関する規定や非行集団の結成などを禁止する規定を新設し、深夜入場禁止施設に漫画喫茶、インターネットカフェなどを追加するよう求めている。また、複数の県で条例見直しの争点となっている遠隔監視システム付き自動販売機については、定義規定を新設することで条例の規制対象であることを明確にするほか、罰則の強化を検討する必要があるとしている。提出された意見は10月に予定されている審議会答申に反映されるという。募集期間は平成17年7月8日(金)~平成17年8月7日(日)。提出方法や公表資料などは次のページで確認することができる。(2005/7/27 07:20)

▼「青少年の健全育成のあり方」についてのご意見を募集します

http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2005070097.htm

 

<H17-3>

 三重県は2005年8月12日、三重県青少年健全育成審議会全体会の議事要旨をホームページに掲載した。これによると、意見募集のさいに公表されていた「基本的な考え方(案)」は1月の審議会開催後に4回開かれた専門委員会がまとめたものだという。公表された議事要旨は次のページで確認することができる。(2005/8/12 23:15)

▼「平成16年度第1回三重県青少年健全育成審議会全体会概要」

http://www.pref.mie.jp/SINGI/2005080134.htm

▼「平成17年度第1回三重県青少年健全育成審議会全体会概要」

http://www.pref.mie.jp/SINGI/2005080136.htm

 

<H17-4>

 「インターネット上の有害情報への対応」「非行等を助長する行為への対策」「有害環境対策」の3点について諮問を受けていた三重県青少年健全育成審議会は2005年10月21日、「青少年の健全育成のあり方について」答申した。答申では、「インターネット上の有害情報への対応」として、条例でフィルタリングの導入や判断能力の育成などを保護者や事業者らの責務として明確にする必要があると指摘。県にはフィルタリングの導入に関する啓発活動を求めた。「非行等を助長する行為への対策」としては、非行集団の結成や非行集団への勧誘を条例で禁止するよう求め、「有害環境対策」では、深夜入場禁止施設へのインターネットカフェ等の追加、自動販売機の定義明確化、家庭用ゲームソフトに関する啓発と自主規制強化の要請、生セラ・スカウトの禁止などを提言した。このほか、「有害興行」の指定方法として団体指定を導入し、映倫を指定すること、書籍の買い受け行為を禁止することなども求めている。答申などの資料は次のページで確認することができる。(2005/12/30 07:25)

▼「「青少年の健全育成のあり方について」答申」

http://www.pref.mie.jp/SINGI/2005100377.htm

 

<H17-5>

 三重県は2006年2月20日に開会した平成18年第1回三重県議会定例会に「三重県青少年健全育成条例の一部を改正する条例案」を提出した。3月23日に可決される見通し。可決されれば2006年7月1日から施行される。条例案の概要は次のページで確認することができる。(2006/3/2 07:25)

▼「平成18年第1回三重県議会定例会提出予定議案概要」

http://www.pref.mie.jp/GIKAIS/kengi/honkaigi/gian-gaiyou/gaiyou-list/18-1tei.htm

 

<H17-6>

1.三重県は平成18年第1回定例会で可決された「三重県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」を2006年3月28日に公布した。「有害」規制関連では、自動販売機・自動貸出機の定義明確化、団体指定方式の新設、罰則の強化が行われた。また「著しい非行」が列挙され、これらを行う集団の結成などが禁止された。このほか、漫画喫茶・インターネットカフェへの青少年の深夜入場、生セラ、風俗店などへのスカウトが禁止され、青少年のインターネット利用に関する努力義務も規定されている。新条例は2006年7月1日から施行される。

 

2.三重県は2006年6月9日に三重県青少年健全育成審議会全体会を開催する。議題は団体指定による指定団体の審議など。開催案内は次のページで確認することができる。

▼「三重県青少年健全育成審議会全体会について」

http://www.pref.mie.jp/SINGI/2006050180.htm

(2006/6/6 07:40)

 

<H17-7>

1.三重県は2006年6月13日、団体指定について審議した平成18年度第1回三重県青少年健全育成審議会の会議結果を県ホームページに掲載した。これによると、9日の審議会では「特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構」(CERO)と「コンピュータソフトウェア倫理機構」(ソフ倫)の2団体を指定することを決めたという。興行に関する団体指定については、「関係1団体と団体指定について協議中であり、引き続き協議を行う」という。三重県では2006年3月に団体指定制度が導入されていた。

 

2.三重県青少年健全育成審議会は2005年10月に県へ提出した答申のなかで、映倫を指定団体とするよう求めていた。一方、家庭用ゲーム機ソフトについては、保護者などへの啓発、販売店に対する年齢確認の協力依頼、他都道府県や国との連携による自主規制の促進--を提言していた。

 

3.2の答申では映倫を指定団体とするよう求めていたが、結果的にCEROやソフ倫の指定が先に決まっている。この点について事務局はどのように説明し、委員からはどのような意見があったのだろうか。三重県が公表した会議結果からは具体的な議事内容がまったく分からない。議事内容の透明性に関する三重県の考え方とともに、どのような審議が行われたのか非常に気になるところである。

【関連リンク】

▼三重県青少年健全育成審議会

http://www.pref.mie.jp/SINGI/council.asp?CLCODE=0013

(2006/6/14 07:40)

 

<H17-8>

1.三重県は2006年6月20日、「三重県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」が7月1日から施行されるのを前に、見直しに至った経緯や要旨、関連資料などを県ホームページに掲載した。規制強化の背景としては、社会の夜型化、情報化など青少年を取り巻く環境の急激な変化が挙げられているほか、「青少年にインターネット上の有害情報の閲覧等をさせないようにする努力義務規定の新設」「深夜における青少年の入場禁止施設の追加」「自動販売機等の定義の新設」の3項目については、愛知県、岐阜県と規制内容の統一化を図ったという。また、6月9日の三重県青少年健全育成審議会で決定された「特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構」(CERO)と「コンピュータソフトウェア倫理機構」(ソフ倫)の団体指定は6月30日に告示されるという。この発表資料は次のページで確認することができる。

▼「青少年健全育成条例が社会の夜型化、情報化等に対応 8年ぶり大幅改正、7月1日施行」

http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2006060186.htm

 

2.1で示された3項目は、愛知県では2005年3月、岐阜県では2005年10月に導入されている。一方、団体指定方式は、愛知県が2005年3月に導入したものの、岐阜県は県青少年育成審議会が2004年11月に「有害図書類の迅速な指定を行う方策のひとつとして、業界団体自体を指定して、業界が指定したものを有害図書類とする団体指定方式について審議したが、行政が罰則規定をともなう有害図書類の指定を行う以上は、基準が曖昧であってはならないことから、その採用については慎重な対応が必要である」と答申したため、導入を見送っている。この答申は次のページで確認することができる。

▼岐阜県青少年育成審議会

http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11122/singi/index.htm

 

3.三重県青少年健全育成審議会は2005年10月の答申で映倫を指定団体とするよう求めていた。また、2006年6月にはCEROとソフ倫の指定を決めている。答申案の検討や団体指定の審議に際し、団体指定の問題点を指摘した岐阜県青少年育成審議会の答申はどのように評価されたのだろうか。三重県は審議会の会議結果を県ホームページで公表しているが、具体的な議事内容はまったく分からない。また、審議会専門委員会の会議結果は何ら掲載されていない。議事内容の透明性に関する三重県の考え方とともに、どのような審議が行われたのか非常に気になるところである。

▼三重県青少年健全育成審議会の審議会開催・結果情報

http://www.pref.mie.jp/SEISHI/shingi.asp

(2006/6/26 07:40)

 

<H17-9>

 三重県青少年健全育成条例を見直し、漫画喫茶・インターネットカフェを青少年の深夜入場禁止施設に追加した三重県は2006年7月4日、立入調査の結果を発表した。条例が施行された7月1日に津市内の2店舗を調査したところ、青少年の深夜入場を禁止する旨の掲示や年齢確認の状況などが確認できたという。発表内容は次のページで確認することができる。

▼「三重県青少年健全育成条例の一部改正に伴う立入調査の実施について」

http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2006070016.htm

(2006/8/16 07:20)

 

<H17-10>

1.内閣府の平成18年度「全国青少年健全育成強調月間(11月)」に合わせて「有害情報対策実態調査」を行った三重県は2007年1月16日、調査結果を県ホームページに掲載した。今回の調査では、従来からの規制対象である図書類取扱店に加えて、2006年7月から青少年の深夜入場禁止施設となっているインターネットカフェ等についても調べたという。

▼「有害情報対策実態調査の結果について」

http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2007010049.htm

 

2.三重県が発表した資料では肝心な部分がわからない。調査結果によると、三重県が団体指定したCEROとソフ倫のマークについて「知らなかった」と答えた割合は、図書類取扱店215店では37.2%(CERO)と26.5%(ソフ倫)、インターネットカフェ等56店では32.1%(CERO、ソフ倫)だったという。だが、調査対象とした店舗に団体指定に該当する図書類(=ゲームソフト)はあったのだろうか。仮に図書のみ扱う店舗であれば、ゲームソフトのマークを知らなくても問題があるとは思えない。

 また、調査票には「有害指定図書類等の陳列は、成人コーナーを設けるなど一般のものと区分陳列していますか」という質問がある。この「有害指定図書類等」とは何なのか。区分陳列に関する項目なので「等」が刃物やがん具を意味するとは考えにくい。さらに、チラシ「青少年を有害情報から守りましょう」には「有害図書類を区分陳列しないといけません」とあり、「等」の文字はない。今回の調査は条例の規制範囲を逸脱していた可能性さえある。

 深夜営業に関する調査結果にも問題はある。インターネットカフェ等56店のうち、深夜入場禁止の掲示をしていなかった店舗は6店(10.7%)、深夜入場のさい年齢確認をしていなかった店舗は5店(8.9%)あったという。だが、調査対象とされた56店のうち、8店(14.3%)は深夜営業を行っていなかったという。深夜入場に関する掲示や年齢確認をしていなかった店舗は、深夜営業店だったのか、それとも非深夜営業店だったのか。公表された資料からは判断できない。

 三重県が詳しい調査結果を明らかにしないのは、何らかの意図に基づいていることも考えられる。(2007/1/17 07:10)

 

【関連リンク】

残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き


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