最終更新:2013年11月22日
2002年(H14)
2月20日
東京都書店商業組合は「青少年の健全育成に関する要望書」を石原慎太郎・東京都知事に提出した。要望書では「以前の青少年の万引きは興味本位、自分が読みたかったという理由でしたが、最近の万引きはお金が欲しいという理由で安易に多量の本を万引きする傾向が多発し、新古書店において簡単に現金化出来るというシステムの弊害と考えられます」と主張。さらに、
1、東京都の青少年の健全な育成に関する条例に18歳未満の者の書籍買取り業者への売却を禁止する条項のご検討(追加制定)をお願い致します。
2、現在、古物営業法において免除されている1万円以下の書籍・雑誌等を買い取る場合の記帳義務について住所、氏名、年齢、職業、書名、金額等の記帳を義務化して下さい。
3、18歳未満と思われる者より書籍等の売却の申し出にあたっては、年齢、身元確認及び申し出た者の親権者の同意を確認するよう書籍買取り業者をご指導下さい。
4、青少年の健全育成保護のための公的な協議の場に新刊書店、新古書店の代表も加えて協議出来る場をお作り下さい。
の4項目を掲げ、「青少年の健全育成のために条例の追加改正と行政指導を強めていただきたく要望致します」と訴えている。
※東京都は2004年3月に「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」を公布。保護者の同意がある場合などを除き、古物商が青少年から古物(書籍を含む)を買い取ることを禁止した。施行は2004年6月1日から。
※政府は2011年2月に「古物営業法施行規則の一部を改正する規則」を公布。古物商が書籍を買い取る場合、対価の総額が1万円未満であっても本人確認義務や帳簿等への記載義務を免除しないこととした。施行は2011年4月1日から。
3月14日
『新文化』3面に「東京組合 都条例の改正求める 新古書店の買取に制約」という記事が掲載される。
7月2日
平成14年度第1回鳥取県青少年問題協議会が開催される。県が公表した議事録によると、次のような議論があったという。
(委員) 非常に悩んでいるのが万引き問題である。鳥取県青少年健全育成条例には未成年の古物販売に対する規定がない。いじめの中で、万引きを強要される状況もおそらく多いのだろうと思う。中古書店の中には、新刊の販売日の翌日には店頭に並んでいる店もある。そういう本屋に持っていけば金に変わる。保護者の同行や承諾があってはじめて買い上げる。それをしない業者に対しては、罰則を適用するという規制が必要だ。鳥取県青少年健全育成条例に古物の買い上げに対する規制を盛り込んでもらいたい。
(事務局) 昨年度、子どもの万引きが非常に多いことを警察本部から聞いている。39道府県で規制が設けてあり、そのうち21道府県で書籍雑誌は適用除外としている。学生は古い本を売って、新しい本を買うものだということで適用除外になっているようだ。委員の要望のような申し入れを書店商業組合が行っているのは、8県である。それぞれ調査を行い、検討を行うなど対応はまちまちである。鳥取県内のA店の場合はCDやカセットテープなどと同様に書籍も保護者の同意が必要、B店はCDとカセットテープのみに同意が必要となっているようだ。鳥取県としても新古書店から状況を聞き、条例改正についてはこの協議会での意見により検討をしたい。
万引きについては鳥取駅周辺の店で被害が大きかったが、万引き防止用の装置をつけた結果、大幅に減少したようだ。
(委員) 私どもの店では、専門の警備員を入れた。費用はかかるが、悪質な万引きに対して規制をかけようと始めた。万引きの状況は深刻である。今は、どうしても欲しくて、でき心でする万引きはない。いじめで万引きをさせられるという現実がある。けっして、件数は横ばいではなく、増えつつある。是非とも、条例改正の検討をお願いしたい。
また、A店が保護者の同意が必要としているが、子どもが自分で書けるし、印鑑も購入できる。新古書店では、出たばかりの本は高く買う。
条例に、未成年者が売り買いをする場合には保護者の同伴があるとか、きちんとした許可が必要とし、業者には違反した場合の罰則規定を盛り込むことが必要だ。
古物買受け規制を求めるこの提案に対し、他の委員からは「万引きの問題は、書籍に限らず広くある。万引きと古物商への販売との因果関係はどうかとの思いもあるが、確かにそういう非行の形態はある。それを条例改正で行うのか、業者の自主規制で行うのか議論をする必要がある」などの意見があり、次回以降の協議会で検討することになったという。
※ 鳥取県青少年問題協議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は花井満・県書店商業組合副理事長が委員を務めていた。
7月18日
『新文化』2面に「未成年からの買取中止を都議会請願 東京組合」という記事が掲載される。記事によると、東京都書店商業組合は新古書店対策として、未成年者からの買取禁止を求める請願を9月の都議会に提出することを決めたという。一方、東京都古書籍組合は5月に行われた書店組合との意見交換で、長年かけて古物営業法の記帳義務化免除を勝ち取ったことから、1万円以下の書籍・雑誌等の買取り時の記帳義務化には反対したが、未成年者からの買取中止には理解を示したという。
8月3日
『北海道新聞』に「保護者の同意なく生徒から買い取り 古書店長を書類送検」という記事が掲載される。記事によると、札幌厚別署は2日、中学生から保護者の承諾なしにコミック本80冊を買い取ったとして、札幌市の古書店店長を道青少年保護育成条例違反(古物等の買い受け制度違反)の疑いで書類送検したという。
8月5日
平成14年度第2回鳥取県青少年問題協議会育成専門委員会が開催される。公表された議事録によると、委員から「各県では保護者の同意を得ていれば買取ができるということになっているが、同様の条項を鳥取県の条例に入れることで効果があがると考えているのか」という質問があり、規制を求める委員は次のように答えている。
(委員) 北海道の条例の第17条のように入れて欲しい。東京都の書店商業組合が東京都知事に出した要望書の一部を紹介する。「買取を目的とした新古書店が各地に全国展開するようになり、それとともに悪質な手口での万引きが多発しております。これは書店経営を破綻しかねない深刻な状況まで悪化しています。棚卸の結果、売上分の1%をはるかに上回る数値が出ています。青少年の万引きは興味本位、自分で読みたかったという理由でしたが、最近の万引きはお金が欲しいという理由で多量の本を安易に万引きする傾向が高く、新古書店において簡単に換金ができるというシステムの弊害と考えられます。青少年の健全育成という観点から、断じて放置してはならない状況になっております。」
一方、事務局は「新古書店の聞き取りをしたが、他府県の条例並には自主規制で対応している。条例の実効性を上げるためには、職員が店に貼りついて監視をし、現行犯で告発するしかない。当面は、自主規制を徹底をしてもらうことで対応したい」と述べ、自主規制の内容についても「新古書店からの聞取りによると、同じ商品を2点以上持ちこんだ場合や、短期間の内に何回も売りに来るような場合は、買取をしないようにしている」と説明。業者の自主規制を尊重する姿勢を示した。また、他の委員からは「条例の効果があるとしたら、買取をしている業者を規制するということ。直接的に子ども達の万引きを抑制する効果はない」などの意見があったという。
※ 鳥取県青少年問題協議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は花井満・県書店商業組合副理事長が委員を務めていた。
(参考)平成14年8月時点の「北海道青少年保護育成条例」より抜粋
(古物等買受売却等の制限)
第17条 古物(古物営業法(昭和24年法律第108号)第2条第1項に規定する古物をいう。)、廃品又はくず(以下「古物等」という。)の取引を業とする者は、青少年から古物等を買い受け、若しくは古物等の販売の委託を受け、又は青少年と古物等を交換してはならない。
(前2条の適用除外)
第18条 前2条の規定は、左の各号の一に該当する場合には、これを適用しない。
(1) 保護者が同行するとき、または保護者が同意し、若しくは緊急その他やむを得ない事由により嘱託を受けたと認めるに足る証明があるとき。
(2) 自ら営業を営む青少年または前2条の営業者の使用人たる青少年がその営業に関して前2条の行為の相手方となるとき。
なお、第17条の規定に違反した場合の罰則は「10万円以下の罰金」と定められていた。
9月3日
平成14年度第3回鳥取県青少年問題協議会育成専門委員会が開催される。公表された議事録によると、委員の一人は「市内の新古書店にお邪魔をし、書店商業組合の副理事長ということで話を聞いた」「自主規制はなされているが、北海道条例のような規制を入れた上で自主規制をする。例えば、有害図書のようにすべきではないか」と主張した。この意見に対し、事務局は「北海道の条例と同じように規制をしたとしても、実態としては「保護者同意」についてきちんとされている。買取の際の本人確認もあわせて行っている。また、買い取った相手に無作為で礼状を送り、保護者に知らせるなどの工夫も見られる。このように、業界で自主規制をしておられるので、その内容と同じ条例改正をする積極的な意味があるのか」と指摘。行政指導を徹底すべきだとの考えを示した。一方、規制を求める委員は「せめて、北海道の青少年健全育成条例に記載されているような条項を掲げ、どのような運用を図るかということになるのだが、少なくともこのような条文は入れる必要がある」と食い下がり、あくまでも条例で規制すべきだと訴えた。こうした議論のあと、次のようなやりとりがあったという。
(委員) 本の場合、小さな子から大人まである。脅されて、取らされるということもある。昔は、お金が無いがどうしてもその本が読みたいので、出来心でということがあったが、最近ではおもしろがってやる、お金に変えるためにやる、万引きさせられるという状況がある。そこで、新古書店に売る。そこしか金に変える場所が無い。青少年保護の視点から規制が必要だ。盗品は買わないといっているが、最初から疑って買わないわけにはいかない。
(事務局) ある県で、万引きと新古書店等への販売との関係を調べていたが、ほとんど因果関係は無いという結果であった様だ。
(委員) 規制により万引きが少なくなっていくのか。花井委員の話しでは新古書店が断われない場合があるようだが、どのような効果があるのか。
(委員) 条例で規制することによって、新古書店が青少年からの買取を断わる根拠になると思っている。本には未成年者から買い取っては行けないという規定は無い。本の場合もっと悪いのは、古物の場合1万円以上の物は名前を書かなければならないとか、書籍の場合は無い。ただし、ゲームソフトについては、万引きが多いので最近変わったようである。
(委員) うちの子どもも売りに行く様で、ゲームソフトの同意書にはよく判を押す。それを売って、また新しいのを買ってくる。本は無い。ただ、お店が自主規制でしていることか。
(委員) 自主規制だから問題が無い。ただ、自主規制を行う、条例にも書いてあるということで良いと思う。
(事務局) 業界の自主規制を追認するような条例改正が必要かどうか。キャンペーンとか万引き防止の取組が先ではないか。
(委員) 子ども達の間でゲームソフトを持ちより、子どもどうして買っている。
(委員長) 自主規制ということは、今まで行政指導はされていないということか。
(事務局) 今までは行っていない。今回のことで営業店の実態が把握できて良かったと思っている。
(委員長) 委員全員で意見の統一ができていないので、今後、自主規制について行政指導をとりあえずやってみて、とりあえず様子を見るということではどうか。
(委員) そういうことで結構だ。
(事務局) 新古書店でも何らかの根拠があれば押印などもやりやすくなるので、通知を出すとかとかし、問題解決の一つにしたい。
最後に委員長が「とりあえず、行政指導を新たに行うことで第1歩を踏み出すということで良いか」と確認すると発言はなかったという。
※ 鳥取県青少年問題協議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は花井満・県書店商業組合副理事長が委員を務めていた。
10月11日
平成14年度鳥取県青少年問題協議会第2回本会議および第4回育成専門委員会合同会議が開催される。公表された議事録によると、育成専門委員会の委員長は古物買受け規制について次のように説明している。
(委員長) 書店商業組合の委員からの提案がありました、本屋さんで新しい本の万引きが非常に多くて、その本を青少年がいわゆる古本屋さんに持っていってお金に換える。何とかこれを規制することができないだろうかということで、古本屋さんが青少年から本を買わないような条例はどうであろうという提案がございました。それを受けて、専門委員会でいろいろと実態を把握してくださいということを事務局にお願いを致しました。一つは、そういう古本屋さんというのは、青少年から買い上げるときは自主的に親の承諾書を取っていらっしゃるということが、多くの場合見うけられた。一方で、多くの県が条例を作っているが、条例の中身は、青少年から買う場合は親の承諾書を条件にしているのが条例の中身であった。条例を作る前から鳥取県では同じようなことをやっている。勿論、規制力は無いわけですけれども。それであるならば、自主的に行っているものを、条例を作る前に行政指導という形で、従来から行っていらっしゃることを是非お願いしますということで、自主規制を徹底する方向で行ってみてはどうだろうか、そして、しばらくは様子を見ようというのが、専門委員会の結論でありますので、御報告致します。
この報告に対し、委員からは「いくら条例を設けましても、自主規制があってはじめて効果が出るわけであります。ということで、まずは行政指導による。それは、販売業者の方が常に自主規制ということを関心を持ちつづけていくためにも必要であると思いますので、継続的にこのことをやっていただきたいと思います」という意見があり、事務局は「今まで、気にはなりながらも調べていなかった新古書店さんの現状につきまして調べさせていただいて、思っていたよりも、きちっとしていらっしゃるのだなと感じました。また、店主の方の考え方も色濃く反映をされているので、その辺りのばらつきがあれば、なるべく厳しい自主規制をしていただくような形でお願いしていくように考えております」と説明。会長代理が「先ほどの委員長さんの報告のとおり自主規制を強めていくべく行政指導を行っていくということでよろしくお願いをするということでよろしいでしょうか」と確認すると異議はなかったという。
※ 鳥取県青少年問題協議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は花井満・県書店商業組合副理事長が委員を務めていた。なお、平成14年度鳥取県青少年問題協議で自主規制徹底の方向性が確認されたにもかかわらず、翌年の平成15年度第1回鳥取県青少年問題協議会では、花井委員が「古物買い取り規制の検討に入っていただけることはありがたい。充分に審議していただきたい」と発言している。
10月17日
『新文化』2面に「大手6書店署名協力へ 古書買取り規制に」という記事が掲載される。記事によると、東京都書店商業組合は9月30日、紀伊国屋書店、丸善、有隣堂、文教堂、三省堂書店、久美堂の大手6書店に対し、青少年からの古書買取りを規制するため、都の青少年条例の一部改正を求める署名集めに協力するよう要請したという。同組合は請願書の署名を2万人を目標に集めており、大手6書店は積極的な協力を約束したという。
10月25日
経済産業省は書店における万引に関するアンケート結果を発表した。アンケートは2002年6月に全国の書店2530店舗を対象に行われ、7月10日~8月15日までの間に「万引き意識調査票」を483通、「万引き(窃盗)事例報告書」を504通(339店舗分)回収したという。この数年で万引が増えたか、という問いには83%が増えたと回答。その原因として「換金目的」「教育の問題」「モラルの低下」を挙げる回答が目立ったという。また、万引犯人から事情を聞いたかを尋ねたところ「自分で読むため」50%、「換金するため」14%、「スリルを楽しむため」3%、「その他・無回答」13%、「事情を聞いていない」20%という結果になったという。
12月16日
東京都書店商業組合は「「青少年健全育成条例」の一部改正等に関する請願」を東京都議会に提出した。請願の内容は以下の通り。
東京都におかれても、青少年の健全な育成を図るため、書店等における万引非行防止の見地から、(1)古書、新古書店等の業界が、18才未満と思われる者から書籍等を買い取る際に、親の同意確認をとっているかなど、万引等非行防止のための自主的な取り組み状況について、業界の実態を把握してほしい。(2)また、これを踏まえ、18才未満の青少年からの買い取りの際には、年齢や親の同意の確認を義務付ける条項を新設するなど青少年の健全育成条例を改正されたい。
請願理由では「コミック・写真集等を主力商品とするフランチャイズ方式の新古書店が各地に店舗展開し、持ち込まれる品が新しい物であれば、それだけ高く買い取ることから、書店の万引き被害を増大させる要因になっている」「以前の青少年の万引きは、自分が読みたかったという理由に因るものであったが、最近の万引きは換金目的で安易に多量の本を万引きする傾向が多く、新古書店において簡単に現金化出来るというシステムの弊害であると断言しても間違いない」などと主張。さらに「出版業界としても、出版社、取次、書店のそれぞれにとって刊行間もないコミック等が新古書店に並ぶことによって、「重版が難しくなった」「売上げが低迷している」といった深刻な影響が出ている」として、新古書店による業界利益への悪影響も訴えている。
2003年(H15)
1月1日
『全国書店新聞』1-2面に萬田貴久・日本書店商業組合連合会会長のインタビューが掲載される。萬田会長は万引き問題について
万引きそのものは窃盗です。古物営業法の改正を働きかけましたが、これは平成7年に規制緩和の方向で改正されていて、逆に戻すのはむずかしい。
各都道府県には青少年保護育成条例があり、38県で青少年からの買入を禁止しています。ただ、それが運用されていない。だから未成年が換金目的で万引きした本を新古書店に持ち込んでいる。各都道府県で条例を整備し、運用強化してもらうことが一番です。各地域の警察などと連携をとれば、青少年の非行化防止にもつながります。
東京都には3年前から陳情していましたが、進展を見なかったので、昨年9月に請願に切り替えました。古物営業法と条例の整合性、青少年へ加罰的条例にならないか、地域の青少協の理解が得られるかなどの問題もあり、簡単に各会派の賛同が得られませんでしたが、ようやく12月に都議会で受理してくれました。
と述べ、万引き対策には古物営業法や青少年条例による規制強化が必要だとの考えを示した。
1月22日
『上毛新聞』15面に「子ども相手に買い取り 人気カードゲームなど 古物商の男逮捕 大泉署」という記事が掲載される。記事によると、群馬県警少年課と大泉署は21日、昨年10月に中学生からゲームカードなどを買い取ったとして、大泉町の古物商を県青少年保護育成条例(古物買い受け等の制限)違反の疑いで逮捕したという。
1月30日
東京都議会文教委員会で「「青少年健全育成条例」の一部改正等に関する請願」が審査される。会議録によると、都民協働部長は次のように説明している。
請願者は、千代田区の東京都書店商業組合理事長萬田貴久さん外三百二十八人でございます。
請願の要旨でございますが、書店等における万引きを防止するため、古書店、新古書店が青少年から書籍等を買い取る際に親の同意確認など、万引き防止のための取り組み状況の把握と、条例で年齢や親の同意の確認を義務づける規制を求めたものでございます。
現在の状況についてご説明申し上げます。
書籍等の買い取りにつきましては、古物営業法及び質屋営業法により、青少年に限定したものではございませんが、古物商及び質屋が書籍等物品を買い受け、質受けする際には、盗品の売買を防止するために、相手方を確認し、不正品の疑いがある場合は警察官にその旨申告する義務を課しております。なお、古物営業法では、対価の総額が一万円未満の書籍につきましては、相手方の確認の義務を免除しております。
青少年からの書籍の買い取りにつきまして、古書業界の自主規制がございますが、東京都古書籍商業協同組合では、書籍の買い取りは行っておらず、やむなく買い取る場合は、保護者の同意書または電話確認による保護者の同意を得て買い入れております。いわゆる新古書店におきましても、業界として統一的なものはございませんが、古書店と同様な保護者の同意確認の自主規制を行っているというふうに聞いております。
東京都青少年の健全な育成に関する条例では、青少年の保護や育成に主眼を置き、規制する事項は最小限にとどめ、都民の自由と権利を不当に制限することのないよう配慮すべきであるという基本的な考え方に基づきまして、青少年からの物品の質受け及び古物の買い受けにつきましては規制を行っておりません。
他府県の条例では、青少年からの物品の質受け及び古物の買い受け等の制限を四十道府県で規定しておりますが、このうち二十一県は、本の処分や買いかえは日常的に行われていることから、書籍について古物の買い受け制限から除外しております。
委員からは、買取りと万引きの因果関係を疑問視する声や、まずは万引き防止に取り組むべきだとの意見があり、業界の実態把握のみが趣旨採択された。
3月7日
東京都議会本会議で東京都書店商業組合が昨年12月に提出した「「青少年健全育成条例」の一部改正等に関する請願」が一部採択される。今回採択されたのは業界の実態把握のみで、買取り規制新設は審議未了となった。
3月21日
『全国書店新聞』3面に「東京組合の請願、都が採択 万引非行防止へ 業界の実態把握着手」という記事が掲載される。記事によると、青少年条例で古物買受けを規制している40道府県のうち、18県で「書籍を除く」との但し書きがあることから、「日書連2月理事会で萬田貴久会長は、出版物除外の但し書き撤廃をはじめ条例改正と運用強化の運動を進めるよう各県に呼びかけた」という。
4月9日
東京都は東京都書店商業組合から万引きの実態についてヒアリングを行った。『新文化』2003年4月24日付2面「万引きの実態をヒアリング 東京都」という記事によると、東京組合は青少年による万引き実態報告書を資料として提示し、万引き被害に苦しむ中小書店の実態を説明したという。同組合が行った請願は青少年条例の改正が審議未了になっており、「引き続き、粘り強く都議会に対し働きかけていく」考えだという。
4月13日
『上毛新聞』15面に「本の万引き深刻 新古書店で換金狙い」という記事が掲載される。記事によると、日本書店商業組合連合会は「本の買い取りの際に、年齢や親の同意確認を義務付けるように、各都道府県の青少年健全育成条例の改正を求める活動」を展開。群馬県書店商業組合は「五月の理事会で要請を検討する」という。
5月9日
『西日本新聞』夕刊9面に「書店の万引深刻 被害半年で1000万円も」という記事が掲載される。記事によると、福岡県書店商業組合は「話題本を買ってくれる新古書店の増大が背景にある」として、「十八歳未満の古物の買い取りのチェックを厳しくするよう県青少年健全育成条例の改正を働きかけることを検討」しているという。これに対し、新古書店側は「未成年には親の同意書を持参させ、何度も大量に持ち込む人は受け付けない」と話しているという。
5月11日
『日本経済新聞』に「万引き防止 本棚の陰に目あり」という特集記事が掲載される。青少年条例では「未成年が骨とう品店などで物品を売りさばくのを禁じているが、なぜか多くの自治体が書物に限って除外している」ことから、書店主らの見方では、こうした適用除外が中古本市場の成長とともに換金目的の万引きを助長していると指摘。「本の売買を規制しているのは全国都道府県のうち神奈川県などわずか」だとして、書店主らによる青少年条例の改定・強化の働きかけを支援する内容となっている。
5月26日
群馬県書店商業組合の総会が開催される。『全国書店新聞』2003年7月1日付3面に掲載された「県青少年条例一部改正の請願決議 群馬総会」という記事によると、26日の総会では「群馬県青少年保護育成条例の第10条、古物営業法における「書籍を除く」部分の改正について県議会へ請願することを満場一致で決議した」という。
6月2日
岐阜県青少年育成審議会が開催される。県が公表した資料によると「青少年の健全育成の柱である岐阜県青少年健全育成条例中に明確な基本理念、県民運動の展開、家庭の役割、県の役割などを盛り込むとともに、有害環境の除去についても現代に対応した内容とすべく条例の全面的な見直しを目指したい」として、健全育成のあり方と総合的な推進の方策について諮問したという。
7月1日
秋田県は「有害図書類、有害がん具類の包括指定方式の導入」などを柱とする「秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例」見直し案について意見の募集を開始した。募集期間は2003年7月31日まで。
※公表された「条例改正案の概要」に古物買受け規制は含まれていなかった。ところが、平成15年9月定例会に提出された条例案には古物買受け規制が盛り込まれていた。
8月1日
東京都は竹花豊・東京都副知事を本部長とする「緊急治安対策本部」を設置した。竹花副知事は決意表明で「万引きで本屋さんの経営が揺らぎかねないというのでは社会の質を問われかねません」と指摘。「「こんなことで良いのか。何とかならないのか。」と多くの人々が感じているのに、半ば放置されてきたことにより、規範の低下をもたらし、治安の悪化に直接、間接の影響を与えている問題の解決にチャレンジします」と宣言している。なお、竹花副知事の著書『子どもたちを救おう』(幻冬舎、2005年)には、次のような場面がある(158-159頁)。
緊急治安対策本部を設置して程ない、平成15年8月、東京都書店商業組合の方々5~6名が私を訪ねてきた。「業界は万引きで大被害を受けています。中には廃業に追い込まれるものまで出ています。最近は何冊もの本やCDを盗んでこれを新古書店に持ち込んでお金にする子どもが増え、参っています。何とかしてください」と切羽詰った物言いである。
神奈川県で、平成15年1月、古書店の店主に追いかけられた万引き少年が逃走中、無理に遮断機をくぐり抜け、列車にはねられ死亡した事件が思い出された。この店主もマスコミのあれこれの報道の中で、嫌気がさしたのか店を閉じたそうだ。「新古書店が子どもから盗品を買い受けないように規制してください」とおっしゃる。
※『全国書店新聞』2003年9月11日付2面「都と協力し万引き対策に取り組む 東京理事会」という記事によると、東京都書店商業組合は2003年8月21日、万引き問題について竹花副知事と意見交換したという。
8月13日
中古本チェーン7社が運営する「リサイクルブックストア協議会」は買取統一ルールを改訂した。発表によると「古物営業法・青少年育成条例(一部で問題化の指摘もある「万引き商品の買取り場所」になることを防止する等)などの法令・規定の趣旨を踏まえ、さらに一歩進んだ自主的な取り組みを行うため、ルールを一部改訂し、新しく設定」したという。新たな自主規制は(1)同一アイテムを2点以上は買い取らない、(2)18歳未満は全て本人確認を行う――の2点。(1)は直ちに実施し、(2)は加盟各社の直営店舗は9月1目から、加盟店舗は10月1目から実施するという。
8月21日
東京都緊急治安対策本部が設置した「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」の第1回会合が開催される。
8月28日
『毎日新聞』31面に「同じ本2冊買い取らない 18歳未満は全員身分確認 万引き対策 ブックオフなどが新ルール」という記事が掲載される。
9月2日
東京都書店商業組合の定例理事会が開催される。『全国書店新聞』2003年9月11日付2面「都と協力し万引き対策に取り組む 東京理事会」という記事によると、8月21日に竹花豊・東京都副知事と行った意見交換について、万引き対策の担当者は「万引き犯への損害賠償請求など、書店の自衛策について前向きで具体的な提案をいただいた」と報告したという。また、萬田貴久・東京都書店商業組合理事長は「都と一緒になって万引き対策に取り組みたい」と提案。理事会で承認されたという。
9月5日
東京都緊急治安対策本部が設置した「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」の第2回会合が開催される。
9月9日
第451回群馬県青少年保護育成審議会が開催される。県が公表した会議結果によると、青少年の非行防止、健全育成の観点から、「現行群馬県青少年保護育成条例第10条中「(書籍を除く。)」部分を削除する」よう求める要望書を知事あてに提出したという。
9月14日
『上毛新聞』16面に「青少年からの古書買い取り 県が禁止の方針」という記事が掲載される。
9月18日
石原慎太郎・東京都知事は平成15年第三回都議会定例会の所信表明で「犯罪の被害は、地域社会の隅々にまで及んでおります。万引きの横行で書店の経営が危うくなったり、無法な落書きで街並みが汚され、さらに自転車やバイクの盗難が日常化しております」という認識を示した。対策については「少年犯罪が急増する一方で、子どもが犯罪に巻き込まれるケースも目立っております。少年少女が加害者にも被害者にもならないようにすることが、我々大人の責任だと思います。先月、専門家による「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」を発足させ、近く具体的な提言をいただく予定であります」と説明した。
9月25日
1.東京都議会本会議で大西英男議員(自由民主党)は少年犯罪対策について質問した。生活文化局長は「現在、有識者等で構成する、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会において、具体的な方策を種々検討しておりますが、ここからの提言も踏まえて、東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正も視野に入れながら検討してまいります」と答えた。
2.群馬県議会で金子泰造議員(自由民主党)は、「現行の条例を見ますと、青少年からの古物の買い受け等については原則として保護者の同意なしにはできないとされていますものの、例外的に書籍については保護者の同意がなくても自由に買い受けができるようになっており、このことが書籍の万引きを誘発する原因のひとつになっているのではないか」と指摘。県の認識と対応策を質した。保健福祉部長は「近年、青少年による万引きの問題が深刻化していると承知をしております。そして、このような状況の背景としては、青少年の規範意識の低下と、青少年が万引きした商品を換金できる仕組みの存在も無関係ではないものと認識している」として、「警察本部や教育委員会等とも連携協議しながら、できるだけ早い時期に群馬県青少年保護育成条例の一部改正を行う方向で検討を進めたい」との方針を示した。
9月26日
秋田県議会福祉環境委員会で県民文化政策課長は「秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例の一部を改正する条例案」について、「他県の規制内容等もつぶさに調べまして、いいところを取り入れるといった形で改正内容を立案したということでございます」と説明した。
9月30日
東京都緊急治安対策本部が設置した「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」の第3回会合が開催される。
10月3日
1.「子どもを犯罪に巻きこまないための方策を提言する会」(座長:前田雅英・東京都立大学教授)は「~緊急提言~子どもを犯罪に巻き込まないための方策」を竹花豊・東京都副知事に提出した。子どもの万引き防止については、販売店に声かけや警察・保護者・学校への通報徹底、損害賠償請求の検討などを求める一方、本の買い取り制度を問題視。次の提言が盛り込まれた。
○ 万引きされた本を買い取る店に対する何らかの対策も
書店では万引き被害が拡大し、経営を脅かされているところもあると言われている。万引きの実態を見ると、専門書やコミック本のセットがひと揃いで万引きされるなど、その後に高く買い取ってもらうことを狙っているものがあると思われる。いわゆる新古書店では、本を持ち込んできた者の年齢確認を行ったり、明らかに万引きされたと分かる本は買い取らないなどの対策を採っているところもあるが、そのような対応をしていないところもあり、本を買い取る店に対する何らかの対策も検討すべきである。
2.秋田県議会は古物買受け規制などを新設する「秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより、保護者の委託または承諾がある場合その他正当な理由があると認められる場合を除き、質屋及び古物商が青少年から質受け及び古物の買受け等を行うことが禁止された。違反した場合は10万円以下の罰金。施行は2004年4月1日から。
10月7日
『上毛新聞』17面に「社長ら書類送検 親の承諾ないゲームソフト 中高生から購入 高崎署」という記事が掲載される。記事によると、県警少年課と高崎署は6日、親の承諾なしに中高生からゲームソフトを買い取ったとして、高崎市内のゲームソフト買い取り・販売会社と同社社長、アルバイトを県青少年保護育成条例違反の容疑で書類送検したという。同署は今年7月、大型書店などでゲームソフトなどの窃盗を繰り返していた男子生徒ら4人を逮捕。その供述から今回の事件が発覚したという。
10月23日
東京都は10月28日に第25期東京都青少年問題協議会第2回総会を開催すると発表した。「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の見直しについて諮問するという。
10月28日
第25期東京都青少年問題協議会第2回総会が開催される。公表された議事録によると、「~緊急提言~子どもを犯罪に巻き込まないための方策」が参考資料として配られ、青少年条例の見直しが諮問された。
都議会議員の野島善司委員(自由民主党)は、書籍の買取り規制新設などを求める東京都書店商業組合の請願について「これは今年の2月18日の東京新聞ですが、いわば少年の万引きが非常に多発をしている」「青少年の本に限っての窃盗行為を防止するために、健全育成条例に古書店といったところが子どもから本を買う場合には全部確認をとりなさいみたいな、そういうものはなかなか困難だというのは承知しておりますが、新聞報道もありますように、そういうことが犯罪の温床になっている」と指摘。「本屋さんの経営までおかしくしているというふうなことがあれば、やはり明確に規制なりしていくべきだろうという立場も、あながち否定はできない」と主張した。
また、総会終了後に開かれた第1回専門部会では、青少年課長が「古物買受け等の制限の新設」などを検討すると説明した。
11月1日
『全国書店新聞』3面に「群馬県議会が青少年条例改正の請願採択」という記事が掲載される。
11月6日
『新文化』4面に「万引防止で条例改正を検討 群馬県」という記事が掲載される。
11月13日
東京都議会文教委員会で曽根肇委員(日本共産党)は、東京都書店商業組合の請願について「新古書店の進出が本当に書店組合のいっている青少年の万引きなどの増加の要因となっている事実が認められるのか」と質問した。都民協働部長は「統計的な裏づけ、それから論理的な因果関係等々につきましては、青少年問題協議会の方に知事の方から諮問させていただきまして、この古物の買い取り規制につきましてご議論いただいている、その中で、多角的な観点からご議論いただけるものじゃなかろうか」と答弁した。
11月19日
第25期東京都青少年問題協議会第4回専門部会が開催される。公表された議事録によると、古物買受け規制の検討にあたり、青少年課長は次のように説明している。
12月に書店商業組合のほうから請願が東京都議会に出されまして、古書店や新古書店が、青少年から書籍等を買い取る際に親の同意確認を取っているかなど、実態を把握してほしい。あるいは、青少年から書籍等を買い取る際に、親の同意確認を義務づけるよう青少年健全育成条例を改正すること、ということで請願書が提出されました。健全育成条例の改正につきましては青少協にかけるべきでございますので、今回お諮りしているというようなことでございます。
古書店・新古書店が青少年の万引きを誘発しているのか、という因果関係についての議論はなく、委員からは「規制すべき」「規制せざるを得ない」などの意見が相次ぎ、規制新設の方向性が決定した。
11月26日
小寺弘之・群馬県知事は平成15年11月定例会に提出した「群馬県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」について、県議会で「青少年の健全育成を図るため、古物商が青少年からの買い受け等を制限されている古物に書籍を含めようとするものであります」と説明した。
12月2日
石原慎太郎・東京都知事は平成15年第四回都議会定例会の所信表明で「少年による万引きは、殆ど罪の意識がないまま常習化することが多く、また、書店などの経営にも無視できない影響を与えております。このため、万引きの被害を受けている書店業界をはじめ、出版や警備などの関係団体と協力して「万引防止対策協議会(仮称)」を今月中に設置し、総合的かつ具体的な対策を検討してまいります」と説明した。
12月9日
東京都議会本会議で樺山たかし議員(自由民主党)は青少年の健全育成について質問した。竹花豊副知事は「子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会」の緊急提言を具体化すべく、非行防止や犯罪の被害防止を目的としたセーフティー教室の実施や、万引き防止のための協議会設立を予定していると説明。また「子どもを犯罪に誘いかねないさまざまな有害環境の改善が提起をされておりますが、これにつきましては、過日、知事から東京都青少年問題協議会に諮問を行い、現在、同協議会で検討を進めております」と答えた。
12月15日
群馬県議会は古物買受け規制の対象に「書籍」を含める「群馬県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより古物商が青少年から古書を買い取る場合は、保護者の委託または同意の確認が必要となった。違反した場合は10万円以下の罰金。施行は2004年4月1日から。
12月18日
1.平成15年度第1回鳥取県青少年問題協議会が開催される。県が公表した会議概要によると、県書店商業組合の代表は「古物買い取り規制の検討に入っていただけることはありがたい。充分に審議していただきたい」と発言している。
※ 鳥取県青少年問題協議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は花井満・県書店商業組合副理事長が委員を務めていた。
2.東京都は12月25日に第1回「万引防止協議会」を開催すると発表した。発表資料では「都内で万引で検挙された者のうち約3分の1が少年である。万引は、軽微な犯罪と捉えられる傾向にあるが、万引を繰り返すうちに規範意識を失い、より重大な罪を犯すようになっていく場合もある。非行の入口である万引に対し、適切な対応をし、更なる非行を防いでいくことは重要である」「販売店に限らず、製造関係、警備関係などの諸団体が一体となり、万引防止の具体策などを検討する」と説明している。参加団体は、東京都書店商業組合、リサイクルブックストア協議会、東京都古書籍商業協同組合、日本出版インフラセンターなど20団体だという。
12月24日
第25期東京都青少年問題協議会第6回専門部会が開催される。公表された答申原案には、古物買受け規制について「青少年の健全育成という観点から、規制を導入すべきであろう」という提言が盛り込まれていた。なお、原案に意見のある委員は2004年1月9日の第4回起草委員会までに修正案を提出すること、当日は起草委員に限らず専門部会の委員も出席して答申案を検討すること――が決定した。
2004年(H16)
1月1日
『全国書店新聞』1-2面に萬田貴久・日本書店商業組合連合会会長のインタビューが掲載される。萬田会長は万引き対策について
最近の万引き調査では中高生の万引きが増加し換金目的のケースも増えています。
それで、日書連は18歳未満の青少年からの買い入れ禁止を各県青少年保護育成条例で図る運用強化と、一部の県では出版物を除く条項が入っているので、出版物も含めるよう改正してもらう。条例による青少年対策を地域の皆さんとともに進めていこうと方針転換しました。
と説明。さらに「東京組合は一昨年12月に青少年条例の一部改正を都議会に請願しました。昨年8月に東京都は竹花副知事が緊急治安対策本部長に就任された。さっそく面会に伺い、そのときに竹花副知事から「書店が店内でも声をかけるような積極的取り組みをするなら東京都、警視庁も応援する」ということになった。それで、東京組合は12月10日から青少年の非行防止と万引き減少を呼びかけるポスターを一斉掲示しています」と話している。
一方、古物営業法については
万引きは窃盗ですから古物営業法に基づく対策がありますが、この法律は金額1万円以下のものは買い入れ時にチェックが働かない。警察庁に古物営業法改正を働きかけましたが、規制緩和の流れの中で取り上げてくれなかった。
と述べている。
※当時は古物商が書籍やCD・DVDなどを買い取る場合、対価の総額が1万円未満であれば本人確認義務や帳簿等への記載義務が免除されていた。その後、出版業界による規制強化運動が成功し、この免除をなくす「古物営業法施行規則の一部を改正する規則」が2011年2月9日に公布され、同年4月1日から施行されている。
1月9日
第25期東京都青少年問題協議会第4回起草委員会が開催される。委員の修正案をまとめた「答申原案に対する意見比較表」が配布され、答申案の最終的な検討が行われた。古物買受け規制については、前田俊房委員から「業界が助けてくれと言っているから規制するというプロセスはやめるべき」「19県が(買受け規制の対象から書籍を)除外している事実を踏まえると書籍を含めるかどうか慎重に検討すべき」などの意見があったが、規制新設の方向性は変わらなかった。なお、意見比較表の「古物買受け等の制限」に関する部分は以下の通り(保坂=千葉大学教授の保坂亨委員、前田(俊)=弁護士の前田俊房委員)。
「古物買受け等の制限」について
①都内における万引きの現状等(P18)
原案
保坂修正案
答申案
他方、近年、換金の容易な中古品市場の拡大に伴い、コミック本や写真集などを主力商品とする新古書店が各地に店舗を展開し、持ち込まれる品が新しい物であればそれだけ高く買い取ることから、換金目的と考えられる万引き被害を増大させ、書店の経営の悪化を招くこととなった。 他方、近年、換金の容易な中古品市場の拡大に伴い、コミック本や写真集などを主力商品とする新古書店が各地に店舗を展開し、持ち込まれる品が新しい物であればそれだけ高く買い取ることから、換金目的と考えられる万引き被害を増大させ、書店の経営の悪化を招くこととなったという報告もある。 保坂修正案の通り ④提 言(P19)
原案
前田(俊)修正案
答申案
万引きは、少年犯罪において大きな比率を占め、本格的な他の非行への入り口となる初発型非行とも言われているが、その動機の中には換金目的もある。また、昨今、万引きを犯罪と思わない青少年が増加し、果ては、万引きをして見つかった子どもの親が「金を払えば良い。」「他の店では万引きはない。万引きし易い環境をつくる店にも問題がある。」と言う例すら報じられている。社会の規範意識の信じ難いまでの低下に対して、何らかの意思表示が必要となっている。また、業界団体に加盟していない事業者には、自主規制の効果が及ばないことも事実である。 青少年が換金目的で万引きをしているのか、また、古書店等が買取っているのか、その関係は明確でない。また、既に条例で規定している県を例に取ると、その買取規制が万引き防止を抑止する効果の程度は不明である。ちなみに、他県で規定されている規制の内容と同等の自主規制もなされているため、東京都が条例で規制することについて、一概に不可欠とまで言える事情も見つからない。
しかし、昨今、万引きを犯罪と思わない青少年が増加し、果ては、万引きをして見つかった子どもの親が「金を払えば良い。」「他の店では万引きはない。万引きし易い環境をつくる店にも問題がある。」と言う例すら報じられている。社会の規範意識の低下が見られる、との報告もある。万引きは、(略=原案通り)報じられている。社会の規範意識の 信じ難いまでの低下に対して、何らかの意思表示が必要となっている。また、古物商等の業界団体では青少年からの買受について自主規制を実施しているが、団体に加盟していない事業者には、効果が及ばないという限界もある。
原案
保坂修正案
前田(俊)修正案
答申案 以上の状況を総合的に勘案し、東京都は、青少年の健全育成という観点から、規制を導入すべきであろう。すなわち、青少年の保護育成、自ら成長発達する機会の保障という観点から、小学生や高校生など年齢に応じた生活行動、成長の実態に合わせた規制方法を検討することにより、青少年が正当な目的で古物を売却する権利まで制限しないよう配慮すべきである。 以上の状況を総合的に勘案し、東京都は、青少年の健全育成という観点から、規制を導入すべきであるとの意見も出された。その場合、青少年の健全育成、自ら成長発達する機会の保障という観点から、小学生や高校生など年齢に応じた生活行動、成長の実態に合わせた規制方法を検討することにより、青少年が正当な目的で古物を売却する権利まで制限しないよう配慮すべきである。 以上の状況を総合的に勘案し、東京都は、青少年の健全育成という観点から、規制を導入すべきか否かを、具体的に青少年の万引きが果たしてどの程度のものか等検討し、その規制の実効性と必要性、合理性の観点から慎重に考えるべきである。また、青少年の保護育成、自ら成長発達する機会の保障という観点から、小学生や高校生など年齢に応じた生活行動、成長の実態に合わせた規制方法を検討することにより、その青少年が正当な目的で古物を売却する権利まで制限しないよう配慮すべきである。 原案通り 考え方:○自主規制には限界があるため、条例による規制を行う。
○「意見も出された」という事実の記述だけでは、答申にふさわしくない。
1月19日
1.第25期東京都青少年問題協議会総会が開催される。専門部会のまとめた答申案が承認され、部会長である加藤諦三・早大教授が竹花豊・都副知事に答申を手渡した(写真)。
答申では古物買受け規制について
平成14年12月には東京都書店商業組合から、書店等における青少年の換金目的による万引きを防止するため、都議会に対して、古書店や新古書店が、青少年から書籍等を買い取る際に、親の同意確認を行っているかなど自主的な取組状況を把握することと、親の同意確認を義務付けるよう都健全育成条例を改正することについて請願書が提出された。また、日本書店商業組合連合会は、青少年からの古物買受け等の制限の規定がない、又は、制限から書籍等を適用除外している府県に対して、議会に条例改正を働きかけている。
などの現状を説明。「東京都は、青少年の健全育成という観点から、青少年から書籍等を含む古物を買受け等することに規制を導入すべきであろう。その場合、青少年の保護育成、自ら成長発達する機会の保障という観点から、小学生や高校生など年齢に応じた生活行動、成長の実態に合わせた規制方法を検討することにより、青少年が正当な目的で古物を売却する権利まで制限しないよう配慮すべきである」と提言した。
答申を受けた竹花副知事は「速やかに東京都健全育成条例の一部改正の作業に着手したい」と述べた。なお、東京都書店商業組合は2002年2月に青少年の書籍買取り業者への売却禁止などを求める要望書を石原慎太郎知事に提出。2003年8月には竹花副知事を訪問し「新古書店が子どもから盗品を買い受けないように規制してください」と要請している。
2.東京都は第25期東京都青少年問題協議会から「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部改正(平成15年10月28日諮問)」について答申があったと発表した。主なポイントとして「指定図書の包装の義務付け、表示図書の包装の努力義務化」「書籍等を含む古物の買受け等の規制」などを列挙。1月20日から2月2日まで答申への意見を募集することも発表された。
3月4日
鳥取県議会で松田一三議員(信、米子書店社長)は換金目的の万引き対策について質問した。警察本部長は新古書店やリサイクルショップ等に古物営業法の遵守を指導する一方、「法律の義務づけを超えまして、いわば買い取りの自主的なルールづくりをそれぞれお願いをしている」と述べ、具体的には「18歳未満の者につきましては、買い取り時におきまして1万円以下でも本人確認、そして保護者の同意書といったものを徴集する。それから、同じ本、同じ品物が2点以上あるというのはやっぱりちょっと不自然でありますので、1回に同一の商品を2点以上買い取りしないなどについて働きかけをやっておりまして、現在、リサイクルブックストア協議会加盟の店舗では、こうしたことをもう既に実施していただいております」と説明した。また、松田議員が「青少年からの古物買い上げ規制についての条例追加が今上がってきているようでありますので、そういった点においても、条例にその趣旨を生かしていっていただきたい」と求めると、片山善博知事は「現在検討中であります」と答えた。
4月11日
『全国書店新聞』1面に「群馬県も条例改正 青少年から本の買受け禁止」という記事が掲載される。
6月11日
群馬県議会で木暮繁俊議員(自由民主党)は保健福祉常任委員会での議論について「青少年による書籍の万引き防止を目的に、昨年12月に改正された青少年保護育成条例に関連して、条例改正後の状況や警察本部、教育委員会との連携などについて質疑されたほか、古書籍買い取り業者の意識改革の重要性について意見が交わされました」と報告した。群馬県では2003年12月に古物買受け規制の「(書籍を除く。)」が削除されている。
7月13日
平成16年度第1回愛知県青少年保護育成審議会が開催される。会議録によると、委員の一人は次のように発言している。
書店は青少年の万引きに本当に困っています。小さい書店が今どんどんなくなっている原因の一番目が万引きによる被害なのです。
それで業を煮やして、愛知県書店商業組合では、今年「万引き対策特別委員会」を設置いたしました。
具体的にこんなことを言っていいのかどうか分からないのですが、新古書店と呼ばれるお店がたくさん増えておりますが、そのようなお店で換金することを目的に子ども達が万引きをするという事例が増えております。経済産業省が平成14年度に実施したアンケートによりますと、万引きの中で、換金目的によるものが14%を占めているということです。
子どもが書店から万引きしたものを持っていった場合に、新古書店がそれを買い取るかということにつきましては、現在の愛知県青少年保護育成条例第18条第2項において、「古物営業法(昭和24年法律第108号)による古物商は、青少年が保護者の委託又は同意を受けた場合その他正当な理由がある場合を除き、青少年から古物(書籍及び雑誌を除く。)を受け取らないようにしなければならない。」と規定されており、書籍・雑誌が除かれているため、新古書店は子どもから書籍を買い取ることができるということになります。
条例がこのようになっているのは、昔、書籍・雑誌をお金に替えないと勉強ができないという苦学生への配慮ということでしたが、先程おっしゃられたとおり、昔作られた条例で今の時代にあわなくなっている部分なのです。「書籍及び雑誌を除く」というのは昔は大変意味があった。ところが現在においては、その裏をとって、書籍・雑誌なら子どもでも換金できるということになっているのです。
今、私たちは業界をあげて、この「書籍及び雑誌を除く」という項目を削除してほしいという運動をしております。昨年から群馬県も条例改正に向けて動き出しましたが、現在では、条例に「書籍及び雑誌を除く」という項目を入れているところが少なくなってきております。こうした現状を皆さん考慮して頂いて、古物営業の青少年に対する規制で、書籍及び雑誌を除外することがないように進めていただきたいと考えております。
また、これに違反した場合には罰則が付加されるよう、業界は切に願っております。
この他にも「現状では、書店の1年の総売り上げの1~2%が万引きされています。1~2%万引きされると多くの店で経営が成り立ちません。その全てが換金目的とは言いませんが、新古書店が広がるにつれて、換金問題も大きくなってきております。当然、因果関係もあると思いますし、実際、万引きの14%が換金目的、これが高いのか低いのかは別としましても、そのようなデータもありますので、今後その対策も検討していただきたい」と述べるなど、万引き対策には古物買受け規制が必要だと主張した。
※ 愛知県青少年保護育成審議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は髙須博久・県書店商業組合理事長が委員を務めていた。
7月14日
小寺弘之・群馬県知事は県青少年保護育成審議会に対し、(1)「有害図書等を収納する自動販売機の規制のあり方について」、(2)「群馬県の青少年健全育成施策のあり方やその対策について」を諮問した。
9月17日
大阪府青少年問題協議会が開催される。会議要旨によると、「青少年健全育成条例の見直しも含めた今後の方向性について、問題点が多岐にわたっておりそれぞれ専門的な分野の検討が必要なことから、大阪府青少年問題協議会規則第6条に基づき、時代に対応した青少年育成環境の整備について検討するための特別委員会を設置し、そこで具体的な審議を行っていくこと」になったという。
9月22日
愛知県議会で大見 正議員(自由民主党)は、県青少年保護育成条例の見直しについて質問した。県民生活部長は「本年七月に開催いたしました青少年保護育成審議会では、アダルト雑誌を一般図書と適切に区分して陳列する問題や、青少年が深夜にインターネットカフェ、カラオケボックスなどを利用している問題などについて御意見をお伺いしたところでありますが、各委員からは、青少年の図書類の万引きが増加していることや自殺が多く発生していることなど、新たな問題についても御意見があったところであります」と説明。「今後、こうした問題を初め、議員からお示しの点などを含めまして、幅広く御意見をいただきながら、可能であれば条例改正も視野に入れ、有効な対策を検討、研究してまいりたい」と答弁した。
10月1日
1.千葉県議会で西尾憲一議員(自由民主党)は、県青少年健全育成条例による買受け規制について、「古書籍を除くこととしたのは、青少年の大半が学生であり、勉学の用に供するために書籍を売却する場合があることを考慮したためとされています。しかし、条例が制定された昭和39年当時はともかく、現在の経済状況に照らせば、古書籍を殊さら除外する理由は乏しく、また、最近では青少年が遊興費等を得るために書籍を万引きし、古物商に販売して対価を得るということも行われていると聞いています」と述べ、古書の買受けも規制対象に含めるべきではないかと質問した。堂本暁子・千葉県知事は「青少年からの古書の買い受けの制限については、御指摘のように社会状況の変化もあることから、今後改正する方向で検討を進めたい」との考えを示した。
2.大阪府議会で西野茂議員(自由民主党)は「府の条例には古物買い受けに関する禁止規定がないため、お隣の県で万引きした本をわざわざ大阪に持ち込んで処分するなど、府の対応のおくれが直ちに青少年の非行行動に影響しています」と指摘。「今年度中、条例の抜本的な見直しを行い、現実に即した内容にするため、直ちに条例を改正すべき」と主張した。これに対し、太田房江・大阪府知事は「条例改正についての方向性を今年度中に取りまとめてまいります」と答弁した。
10月7日
鳥取県は「鳥取県青少年健全育成条例を一部改正する条例(案)の骨子」について意見の募集を開始した。公表された資料によると、「初発型の犯罪である万引きの抑制に効果があると見込まれる青少年からの古物買い取り等を規制します」として、(1)質受け、古物買い入れの相手が青少年でないことの確認を義務化、(2)青少年からの質受け、古物買い入れは、保護者の同行がない場合等は禁止、(3)青少年からの古物買い入れの際に住所・氏名等の記録・保存を義務化、(4)違反について罰則を規定(30万円以下の罰金)――の4点を検討しているという。骨子には図書類自動販売機の規制強化なども盛り込まれている。募集期間は10月29日まで。
10月27日
大阪府青少年問題協議会第1回青少年育成環境問題特別委員会が開催される。会議要旨によると、「大阪府青少年健全育成条例のこれまでの経緯」や「青少年健全育成条例に関する府議会答弁の要旨」などについて事務局が説明したという。
11月1日
平成16年度第2回愛知県青少年保護育成審議会が開催される。会議録によると、県民生活部長は「7月の第1回の審議会におきましては、有害図書類の区分陳列の問題を始め、書籍の万引きの問題、さらには青少年の自傷行為への対応などにつきまして貴重なご意見をいただいた」「これらの問題につきましては、現在、条例改正を含めた対応策の検討を進めている」と説明した。なお、会議資料「第1回審議会の意見項目(古物及び自傷等)について」には、委員の意見などが次のようにまとめられていた。
項 目
委 員 意 見(要旨)
現 行 条 例 の 状 況 業 界 の 状 況 等 他 県 の 状 況 ① 古物(書籍及び雑誌)の受取り規制について ○ 子ども達が換金目的で万引きをしてしまうという事例が増えてきている。
○ 現行条例で青少年からの古物の受取り規制から書籍、雑誌が除かれている理由は、書籍・雑誌をお金に替えないと勉強ができないという苦学生のためであり、今の時代にあわなくなっている。逆に、書籍・雑誌なら子どもでも換金できるということになってしまっている。
○ 条例規制から書籍及び雑誌を除外しないでほしい。
・書籍、雑誌は受け取り禁止規定から除外されている。 ・ブックオフ等の新古書店は買受の自主規制を実施。 ・古物受取規定のある県(40県)
・除外規定のある県(13県)
11月19日
岐阜県青少年育成審議会は「社会環境の変化により、書籍売買の目的が、条例制定当初に想定されていた勉学のためというよりは、遊興のために行われていることが指摘されており、また、最近の万引きなどの状況を鑑みれば、条例第11条(古物の買い受け等の制限)における書籍除外規定を見直すべきである」と提言した。なお、答申では「全国では書店商業組合からの条例規定見直し要望が出されている例もある」と指摘している。
11月25日
群馬県青少年保護育成審議会は2004年7月14日に諮問されたテーマのうち、(1)「有害図書等を収納する自動販売機の規制のあり方について」答申した。答申によると、諮問事項(2)「群馬県の青少年健全育成施策のあり方やその対策について」は審議検討を継続していくという。
12月1日
片山善博・鳥取県知事は平成16年12月定例会に「鳥取県青少年健全育成条例の一部改正について」を提出した。県議会では「青少年による万引き等の防止を図るため、青少年からの古物買い受けの規制等を行おうとするものであります」と説明。
12月8日
千葉県は千葉県青少年健全育成条例・同施行規則の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると「現行条例では、古物商が青少年から古物を買い取ることを禁止していますが、「古書籍」については、除外規定を設けて例外的に認めています。古書籍についても保護者の委託・同意がない場合は、買い取りを禁止することとします」という。募集期間は2005年1月6日まで。
12月10日
大阪府はインターネット府政モニター500人を対象としたアンケート「青少年を取り巻く社会環境整備について」の調査結果を発表した。アンケートは2004年11月9日~11月15日に実施され、405人(回答率81.0%)が回答。買受け規制に関する質問は次のとおり。
質問番号 | 回答者数 | 保護者の同意を義務付けるなど条例で、青少年からの買受けを制限すればよい | 保護者の同意を義務付けるなど新古書店等が、自主的に買受けを制限すればよい | そもそも書店などが、万引きされないよう対策を強化すべきであり、新古書店等における買受けの制限は、あまり意味がない | わからない |
Q04 青少年が書店で万引きした本を「新古書店」(注)に持ち込んで換金することを防止するため、新古書店等に対して規制することについてどう思いますか。 (注)ここでいう「新古書店」とは、コミック本や写真集を主たる商品として買受けや販売を行なう店舗をさします |
405 |
215 |
99 |
77 |
14 |
- |
53.09% |
24.44% |
19.01% |
3.46% |
12月13日
大阪府青少年問題協議会第2回青少年育成環境問題特別委員会が開催される。会議要旨によると、10日に発表された「青少年を取り巻く社会環境整備について」のアンケート結果に沿って議論が進められたという。換金目的の万引きに関しては「こういう話はよく聞くが、実態として多いのかどうなのかわからない」という意見があり、事務局は「信憑性のあるデータかどうかはわからないが、経産省の委託を受けて日本書店商業組合連合会が実施したアンケート調査によると、万引きした青少年へアンケート調査したところ、換金目的で万引きした、と回答した青少年が全体の10数%。これを多いとみるかその程度とみるかは別として、データとして把握しているのはその程度」と説明。一方、委員の一人は「データとしては持っていないが、地域で補導等に関わっている経験から言うと、中学生や小学生で万引きする子は読みたい本があるから万引きするのではなく、まず換金目的。万引きしたら即換金する」と話している。この他、委員からは「この辺のことは業界自身が考えるべき問題。商売ということを考えると、万引きはどの業界でもある。法令で規制すべきというよりは、業界の自己防衛として取り組むべき問題だと思う」などの意見があったという。
12月14日
平成16年度千葉県青少年問題協議会が開催される。議事録によると、県民生活課長は古物の買受け規制について、「社会状況の変化ということで、今まで古書籍を特別扱いして除外していたものを今回削除して、古書籍についても古物商が買ってはいけませんよという改正をしたい」と説明している。
12月16日
宮城県は「青少年保護条例の一部改正(案)」について意見の募集を開始した。公表された資料によると「転売目的の万引き事犯の多発に対処するため、古物の買い受け禁止規定で適用除外にしている雑誌、書籍の規定を廃止し、適用対象とする」という。募集期間は2005年1月14日まで。
12月17日
鳥取県議会は古物買受け規制などを新設する「鳥取県青少年健全育成条例の一部改正について」を可決した。青少年が保護者と同行する場合または保護者の委託を受け、もしくは承諾を得ていると認められる場合を除き、古物商などは青少年から古物の買受け等を行うことが禁止された。違反した場合は30万円以下の罰金。また、古物の買受け等を申し出た者が明らかに青少年でないと認められる場合を除き、古物商などは青少年でないことを確認しなければならず、青少年から買取り等を行う場合は相手方の住所、氏名、年齢などの記録と3年間の保存が義務付けられた。年齢確認と記録・保存に罰則はない。施行は2005年4月1日から。
12月20日
平成16年度宮城県青少年問題協議会が開催される。議事録によると、青少年課長は古物買い入れ品目の除外規定を廃止することについて、「書店から書籍雑誌を万引きして古書販売店等で現金化するというようなことも結構増えてきております。書店組合からも書籍雑誌を削除してほしいという声もございまして、今回、除くものでございます」と説明。また、仙台地方検察庁の検事は、万引きを誘発する環境として「要するにそういった本を買い取るお店がある。ああいうところですと盗んだその足で売りに行くということですから、お金を稼ぐためだけに本を盗んで売るという事情があります」と指摘。「古物の買い取りを禁止するということは非行を減少させるという意味でも効果があるのではないか」と述べている。
12月21日
大分県は「青少年の健全な育成に関する条例(仮称)」の概要(案)等について意見の募集を開始した。公表された資料では「有害環境に係る規制強化」の一つに「古物買受け等の制限強化」が挙げられている。具体的には古本を規制対象に加えるという。募集期間は2005年1月20日まで。
2005年(H17)
1月1日
『河北新報』35面に「青少年保護条例 アダルトや自殺、薬物… 有害情報閲覧規制へ」という記事が掲載される。記事では、書籍・雑誌の買取り規制を導入することについて、「古書店に転売する目的でコミックや雑誌を書店で万引する少年犯罪が相次いでいる実態を重視したため。古書店に対し、保護者の同意が確認できない場合は、18歳未満の青少年から買い取らないよう義務付ける」と説明している。
1月19日
鳥取県企画部協働推進室は「鳥取県青少年健全育成条例を一部改正する条例(案)の骨子」に対するパブリックコメントの結果を発表した。古物買取り等の規制には賛成が4人で反対意見はなかったという。「パブリックコメントでいただいた主な御意見と、協働推進室からの回答」は次のとおり。
項目 いただいた御意見
協働推進室からの回答
2 古 物 ・書籍の売買システムの中に、保護者同伴でなければ買い取りはできない認識を、店・業者に確立してもらうお願いをすべき ・改正条例での青少年からの古物買受けは、保護者同伴を原則としており、質屋・古物商に改正条例の趣旨を周知します。
(条例改正の内容:17条の7・26条)
・保護者の同伴又は規則で定める場合以外の青少年からの質受け及び古物買受けの禁止と違反への罰則の新設(30万円以下の罰金)
1月21日
大阪府青少年問題協議会第3回青少年育成環境問題特別委員会が開催される。会議要旨によると、これまでの議論を踏まえた「青少年健全育成条例のあり方に関する提言」(素案)が示され、委員が意見を述べたという。素案では新古書店による買取りについて「万引きは紛れもなく窃盗犯であり、こうした業態の店舗の存在が、青少年の万引きの引き金になっているならば、それを未然に防止するための社会環境の問題として、何らかの対策を検討する価値は十分にある」と指摘。「根本的な対策にはならないまでも、新古書店など古物を買い取ったり質受けしたりする店舗に対しては、営業者の社会的責任として、青少年からの買取り、質受けについて、一定の配慮を求めるべきである。既に大手の新古書店で構成される、リサイクルブックストア協議会では、青少年からの買取り制限について自主的な取組みを進めているが、協議会に加入していない新古書店が多くを占めるというのが現状であることから、条例により規制を行うことが適当である」と記されている。なお、会議資料「業界団体の状況について」によると、新古書店などに関する部分は次のとおり(レイアウトは一部変更。誤字は修正済み)。
自主規制規約締結団体
対象業種 自主規制規約届出団体名 加盟店舗数(H16.5時点) 団体組織率 図書類の販売・貸付業 (第10条第1項) 大阪府書店商業組合 504 約50% 図書類の販売・貸付業 (第10条第1項) 大阪府古書籍商業協同組合 事業者数247、店舗数297 不明 ※団体組織率は団体からの聞き取りによる
自主規制規約未締結団体
対象業種 業界団体名 加盟店舗数 団体組織率 備 考 図書類の販売・貸付業 (第10条第1項) リサイクルブックストア協議会 37 (H16.5時点) 不明 ・新古書店大手7社で構成
・自主買取ルールを定め、青少年からの買取手続を定めている
図書類の販売・貸付業(第10条第1項) 日本フランチャイズチェーン協会(コンビニエンスストア部会) 2,653(H16.5時点) 約93% ・ローソン、ファミリーマート、デイリーヤマザキから営業に関する自主宣言の届出あり ※団体は府が把握している範囲内で列挙
※団体組織率は団体からの聞き取りによる
自主規制対象外業界団体
業種 業界団体名 加盟店舗数 団体組織率 備 考 質屋 大阪質屋協同組合 384(H17.1時点) ほぼ100% (参考)
・平成13年度事業所・企業統計調査
質屋 397※提言素案の内容に関係が深い業界のうち、府が把握している範囲内で列挙
※団体組織率は団体からの聞き取りによる
1月27日
平成16年度第1回三重県青少年健全育成審議会全体会が開催される。県が公表した議事録によると、「インターネット上の有害情報への対応について」「非行等を助長する行為への対策について」「有害環境対策について」の3項目を中心に「青少年の健全育成のあり方」を検討するよう諮問があったという。
2月10日
大阪府青少年問題協議会が開催され、青少年育成環境問題特別委員会がまとめた「青少年健全育成条例のあり方に関する提言」が大阪府に提出された。会議要旨・資料によると、古物の買取り、質受けの制限について素案から修正された部分はなく、生活文化部長は「できれば9月議会に提出の予定で、条例改正に向けて具体的なご意見をお聞きする必要があると思っている。そこで、改めて当協議会に諮問し、ご意見を頂戴したい」と話している。なお、委員からは「警察現場を抱えている立場として、ひとつお願いを申し上げたい。いろんな規制を設けてだめなものはだめ、と言うということは重要だと思うが、犯罪捜査の中で犯人を捜すというのは大変な業務であり、規制を維持することは大変労力がかかる」「警察官に立入調査権限を付与するとのことだが、逆に警察に実態把握してくれ、というのは犯罪が多発している中、これ以上なかなか手が回らないという実情もある」との意見が出ている。
※ 大阪府青少年問題協議会には大阪府警から委員が選ばれている。当時は伊藤智・大阪府警察本部生活安全部長が委員を務めていた。ただし、伊藤委員は提言をまとめた青少年育成環境問題特別委員会のメンバーではない。
2月17日
千葉県議会は古物買受け品目の「古書籍を除く」を削る「千葉県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより保護者の委託または同意を得た場合を除き、古物商が青少年から古書籍を買い取ることが禁止された。違反した場合は10万円以下の罰金または科料。施行は2005年9月1日から。
2月21日
愛媛県青少年保護審議会が開催される。県が公表した会議結果によると、事務局が「愛媛県青少年保護条例等の改正の概要案」について説明し、質問・意見を聴取したという。概要案には「古物の買受け違反者への罰則創設」が検討項目として示されており、「現在、青少年からの古物の買受けを禁止していますが、書籍の転売を目的とした書店における万引きの防止をより実効あるものとするため、古物の買受けについて罰則を設けます。併せて、質物の受入れについても罰則を設けます」としている。
2月22日
平成16年度第2回兵庫県青少年愛護審議会が開催される。県が公表した議事概要によると、事務局は青少年愛護条例の見直しについて報告したという。古物の買受け関しては「青少年から買受けてはならないということになっているのですが、書籍については除くという条文がございます。業界では自主規制として、買い受けるときには年齢確認や保護者の承諾書を求めるというような対応がなされているのが現状です。このような除外規定をおくことについて、現在の社会情勢に照らしたときにどうなのかといったような検討が必要になってきます」と説明している。
3月18日
宮城県議会は古物買受け品目の「書籍及び雑誌を除く」を廃止する「青少年保護条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより保護者の委託または同意を得た場合などを除き、古物商が青少年から書籍や雑誌を買い取ることが禁止された。違反した場合は10万円以下の罰金または科料。施行は2005年7月1日から。
3月18日
愛知県議会は古物受取り品目の「書籍及び雑誌を除く」を削る「愛知県青少年保護育成条例の一部改正について」を可決した。これにより保護者の委託または同意を得た場合などを除き、古物商が青少年から書籍及び雑誌を受け取ることが禁止された。ただし、罰則はない。施行は2005年7月1日から。
3月22日
愛媛県は「愛媛県青少年保護条例の改正等の概要案」について意見の募集を開始した。公表された資料には「古物の買受け違反者への罰則創設」が掲げられている。募集期間は2005年4月22日まで。
3月23日
熊本県議会は古物買受け品目の「書籍を除く」を削る「熊本県少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決した。古物商の買受け制限に書籍が含まれたほか、買受け制限の例外事由に「その他正当な理由があると認められる場合」などが追加された。違反した場合は10万円以下の罰金または科料。施行は2005年4月1日から。
3月30日
大分県議会は古物買受け品目の「古書籍を除く」を削る「青少年のための環境浄化に関する条例の一部改正について」を可決した。これにより保護者の委託または同意を得た場合などを除き、古物商が青少年から書籍を買い取ることが禁止された。違反した場合は10万円以下の罰金または科料。施行は2005年7月1日から。
5月9日
大阪府青少年問題協議会第3回青少年育成環境問題特別委員会が開催される。会議要旨によると、委員の一人は次のように発言している。
(委員)
各都道府県に書店組合があるが、その総まとめとして日書連という組織が東京にあるが、そこが万引きに対するアンケート調査をした。先程の通産省の調査との関係もあるが、近年万引きが増えているかを調べている。この10年、新古書店が増えている。いままでの古本屋は、その本の価値がどの程度あるかによって本を買い取っていたが、ところが新古書店は新しければ価格が高い。一番高いのは新刊書である。新古書店の買取担当者は、アルバイトであったり店長であったり、共に若い人がその本がきれいであるかどうかによって買い取っているように見受けることがある。もちろん、商売であるのでよく売れているものを買い取る。コミックがよく売れている。コミックのシリーズものが発売される日には、そのシリーズを買い取るとの広告を出している書店もあると聞いている。明らかに、このことはその本を求めてくる客が多いと言うことである。だから、それを高く買う。きれいなものを高く買う傾向がある。高い状態で買ってもらうために、万引きということに結びついてくる。日書連参加の小売り書店の近くに新古書店ができたために、万引きが増えたとの事例が絶対にある。因果関係はともかくとして、常識的に考えて、小売書店で万引きした本を新古書店にすぐに持っていくことは考えられないが、現実には、新古書店が近くに開店したら、非常に万引きが多くなった。極端に言えばその店は万引きのために廃業を余儀なくされたという事例を聞いたことがある。新古書店は、新しいものの方が値段も高い。そして、種類はコミック。しかもそのコミックも新刊でシリーズとして揃っていないとなかなかいい値段がつかない。委員が言われたようにごそっと取っていく。グループを組んで、コミックを取っていくということを見たり聞いたりしたことがある。古物商が買うのでなく、新古書店が買うものの中には、非常に万引き率の高いものがあるので、ぜひ大阪府でも、青少年から買い受けをするということに制限を設けてほしいということを何度も、何年も申し入れている。過去にはあったが、いつの間にか書籍の方が消えてしまった。これができれば、少しはましになると思う。コミックは、審議会の中でも述べたが、子どもが何度も読むので親御さんが売りなさいと言って売りに行かせることもあると言っている、当然だろうと思う。その場合、保護者が同行される。それは当然いいことであろうと思う。子どもが遊び感覚で万引きし、それを換金する。昔は、万引きは自分が読みたいために本を万引きしたが、今は換金するために万引きをする。これが、子どもにとって万引きの一番の魅力になっている。大阪の新古書店は買ってくれるということになると良くない傾向になるので、私たち日書連では、各府県で必ずこの条例を設けてほしいと運動をしている。
※ 平成17年度の大阪府青少年問題協議会青少年育成環境問題特別委員会には関係業界から2人の委員が選ばれていた。一人は大阪府カラオケボックス協会会長。もう一人は金田喜徳郎・大阪府書店商業組合副理事長である。
他の委員からは「表面にでていないだけで、すごい実態はあると思う」「新古書店に対する規制、まったく野放ししておく訳にはいかないと思う」などの意見がある一方、「店舗以外にもインターネット、フリーマーケット、リサイクルショップ、個人売買などいろいろなところに広がっているので、視点を広げる必要がある」「書店を通じての売買よりも、個人で行う売買に移行してきているようだ。したがって、書店への規制は果たしていいのかどうか疑問に思う」などの意見があったという。また、府警関係者は次のように話している。
(府警本部)
たいへん難しい問題である。私は、平成10年から12年まで高槻警察署にいたが、その当時まだ新古書店はなかったが、換金目的で万引きをする子どももいた。ただ、すべての万引きがそうかというとそうでもない。文房具品であるとか、女子であれば化粧品、衣料とかもある。しかし、新古書店が増えている現実もあって、換金目的の万引きが増えるであろうと思われるが、警察で検挙している子どもの数は極端には増えていない。平成11年が2,500人ほど、平成12年が2,100人ほど、平成13年は2,200人、平成14年が2,400人で平成15年は2,050人、昨年は2,000人弱ということであるが、先程、委員がおっしゃったように、当事者間で処理する案件が相当あると思われる。それが、把握できないために盗品等の法律があっても、なかなか適用できないということになっているのではないかと思う。学校、お店、保護者がお金で解決できると考えていることが問題である。万引きが犯罪であるという認識を、保護者もお店も持ってほしい。確かに、警察に届けると事務が煩雑であるが、コンビニでも、きちっと被害届けを出されるところもある。しかし、我々も盗品だけを捜査すればよいのかというと、そうも言っておれない。ひったくりが29年連続ワーストワン、自転車盗、オートバイ盗も多い。いろんな犯罪が多い中で、お店もしっかりした対策を立てていただいた上で、こういう実態があるがどうだというのであれば、我々も考えていかなければならないかもしれないが、いろんな要素がある中で、もう少しやるべきことがあるのではないか。警察力は限られているので、いまどういう問題が起きているのか。例えば、寝屋川の少年の事件、東大阪の事件。限られた警察力はそういうところにシフトしていかざるを得ない。おっしゃるところは重々理解している。
5月16日
大阪府青少年問題協議会第4回青少年育成環境問題特別委員会が開催され、「時代の変化に対応した青少年育成環境の整備について(答申)素案」が提示された。素案では、古物の買取り、質受けの制限について「質屋、古物商が青少年から質受け又は古物買受け等を行うことの禁止規定を追加すべきである。その際、質屋、古物商は、質受け又は古物等買受け等を申し出た者について、身分証明書の提示等により、青少年でないことを確認しなければならない旨の規定を設け、買取り手続を厳格にするべきであろう」とした。ただし、「自分が読んで不要になった本などを処分するために売却することなど、正当な理由による買取り等を禁止することはできない」ので、「保護者と同行のうえの買取り、又は保護者の委託や同意を受けたと認められる場合などの除外規定を設けるべき」としている。この他、自主規制対象業者に「古物の買取りや質受けに係る業種については、追加すべき」との考えが示された。
5月23日
平成17年度第1回三重県青少年健全育成審議会全体会が開催される。県が公表した議事録によると、平成17年1月27日付け諮問事項について「前回審議会の開催後、専門委員会(上野会長他計7名)を4回開催し、諮問事項を検討して「基本的な考え方(案)」としてまとめた」という。
5月26日
1.岡山県は県青少年問題協議会に青少年条例の見直しを諮問すると発表した。発表資料によると、5月31日の協議会で諮問書を手交し、「古物(書籍)の買受制限」などを検討するという。
2.愛媛県青少年保護審議会が開催される。県が公表した会議結果によると、説明会及びパブリック・コメントでの意見を踏まえた「愛媛県青少年保護条例の改正等の概要修正案」について質問・意見を聴取したという。なお「古物の買受け違反者への罰則創設」について修正された部分はない。
5月30日
大阪府青少年問題協議会第5回青少年育成環境問題特別委員会が開催され、「時代の変化に対応した青少年育成環境の整備について(報告)案」の検討が行われた。会議要旨によると、委員長が「ここに示したものを特別委員会からの報告として、6月9日の青少年問題協議会へ報告してよろしいか」と確認すると、異議なく承認されたという。
6月9日
大阪府青少年問題協議会が開かれ、答申が決定される。
6月10日
愛媛県は「先般実施しました愛媛県青少年保護条例の改正等の概要案に対するパブリック・コメントで県民の皆さんから寄せられた意見を踏まえ、概要修正案を作成いたしました」として「愛媛県青少年保護条例の改正等の概要修正案」への意見募集を開始した。募集期間は2005年6月24日まで。
6月13日
大阪府は6月15日に府青少年問題協議会の座長から副知事に対し、答申「大阪府青少年健全育成条例の改正について」が手交されると発表した。
6月15日
大阪府は府青少年問題協議会の座長から答申「大阪府青少年健全育成条例の改正について」が副知事に手交されたと発表した。答申では、(1)「質屋、古物商が青少年から質受け又は古物買受け等を禁止する規定を追加すべき」、(2)「身分証明書の提示等により、青少年でないことを確認しなければならない旨の規定を設け、買取り等の手続を厳格にすべき」、(3)「保護者と同行のうえの買取り、又は保護者の委託や同意を受けたと認められる場合などの除外規定を設けるべき」との考えが示された。また「中古本等古物の買取り等を行う業種については、自主規制対象業種に追加すべき」と提言した。
6月20日
大阪府は大阪府青少年健全育成条例の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると、古物の買取り、質受けの制限に関しては、「近年、青少年がコミック本などを万引きし、新古書店といわれる店舗に持ち込んで換金しているとの指摘があります。そのため、新古書店などの古物商や質屋は、古物等の買取り又は質受けを申し出た者について、身分証明書の提示等により、青少年でないことを確認しなければならない旨の規定を設けます」という。また「古物商、質屋が青少年から古物等の買取り又は質受けを行うことを禁止し、罰則を設けます。ただし、保護者の同行、又は保護者の委託や同意を受けたと認められる場合は除きます」と説明している。この他、自主規制対象業者に「中古本等古物の買取り等を業として行う者」を追加するという。募集期間は2005年7月19日まで。
6月28日
平成17年度第1回愛知県青少年保護育成審議会が開催される。会議録によると、委員の一人は「この7月に条例が改正されまして、書店の業界でも古くから要望しておりましたが、古物商の除外規定を削除していただいてありがとうございます。これで少しは万引きも減るのかなと思います」と発言している。
※愛知県青少年保護育成審議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は髙須博久・県書店商業組合理事長が委員を務めていた。
7月6日
平成17年度第1回兵庫県青少年愛護審議会が開催される。県が公表した議事概要によると、事務局は「県書店商業組合の方からは、換金目的の万引き抑止のための書籍を古物買受け制限の対象とする要望もいただきました」として、「苦学生を配慮して書籍については古物買受け制限から除外してきたのですが、昨今新刊本の大量万引きという事件もありますので、書籍の除外規定を外す形での改正を考えております」と説明した。これに対し、委員の一人は
依然として書籍の万引きが多く、特に漫画本を含め、子どもたちが新刊書店から万引きして、新古書店に売りに行くとような流れは、なかなかとらえることができません。
万引きをさせないように、やはり書店側も管理体制をきっちりしなさいよという形を整えつつあるんですが、なかなか相手も、その上前を行くという形の追っかけ合いをやっている。
あと自分が読むならいいんですが、読むことなく売りに行く、そこで、条例の規定がないので相手側も買ってしまう。是非、この条例、こういうような形で付け加えていただきましたら大変うれしいなと感じております。
と述べている。
※ 兵庫県青少年愛護審議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は村田耕平・県書店商業組合執行理事が委員を務めていた。
7月8日
三重県は「「青少年の健全育成のあり方について~平成17年1月27日諮問に対する基本的な考え方~(案)」」を公表し、意見の募集を開始した。募集期間は2005年8月7日まで。
8月29日
兵庫県は青少年愛護条例の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると、「非行につながる行為への対応強化」として、古物買取り規制の除外規定を削除するという。骨子案では「近年、青少年がコミック本などを万引きし、新古書店といわれる店舗に持ち込んで換金しているとの指摘があります。そのため、書籍についても、他の古物と同様、保護者の同意なく青少年から買取り又は質受けしてはならないこととします」と説明している。募集期間は2005年9月26日まで。
9月9日
栃木県青少年問題協議会が開催される。県が発表した会議結果によると、栃木県青少年健全育成条例について「条例改正に向けた今後の予定等を事務局が説明し、各委員間で意見交換を行った」という。会議資料「「栃木県青少年健全育成条例」全面改正スケジュール」には、2006年9月議会に上程し、2007年4月1日から施行する案が示されている。
9月15日
平成17年度第2回三重県青少年健全育成審議会全体会が開催される。県が公表した議事録によると、「基本的な考え方(案)」に対する意見募集および県内5地域(伊賀市、御薗村、津市、熊野市、四日市市)で開催された意見交換会の結果をふまえ、「深夜外出対策として、深夜商業施設営業者の声かけ義務を条例で規定すべきこと」「家庭用ゲーム機ソフト対策として保護者等への啓発、県内販売店への働きかけ、関係業界への要望等を行なう必要があること」の2点を答申に盛り込むという。さらに「現行条例規定の精査の結果、諮問の各項目以外にも次の各項目について条例改正の必要性があると認められる」として、「古物商が青少年から買い受け、又は売却の委託を受けないようにしなければならない古物から書籍を除外する規定を削除する」ことなども答申でふれるという。
9月21日
岐阜県議会平成17年9月定例会に「岐阜県青少年健全育成条例の一部を改正する条例案」が提出される。古田肇・岐阜県知事は「近年、青少年を取り巻く環境は大きく変化し、青少年が犯罪の被害に遭う事件が多発するなど大変深刻な状況となっております。このため、岐阜県青少年育成審議会の答申や政策総点検における意見を踏まえまして、青少年の健全育成に係る基本理念及び県などの関係者の責務や役割を明確化し、あわせて有害環境の浄化を図るため、全国的に見ても厳しい罰則への改正や新たな禁止行為の追加など規制の強化を行い、総合的な青少年健全育成の推進を図ってまいります」と説明した。
9月28日
大阪府は府青少年健全育成条例の見直しに対する意見募集の結果を発表した。古物の買取り、質受けの制限への意見と回答は次のとおり。
通番 意見の概要
大阪府の考え方
24 保護者に対して、青少年に古物商、質屋を利用させない努力義務を設けるべきではないか。 保護者の責務として、青少年の規範意識を醸成することを求めていくとしており、その中で青少年のさまざまな行動に対する保護者の適切な対応を期待することとしております。 25 めんどくさいから、古本とか古着を売るときに保護者の同意書はいらない。 換金目的による青少年の万引き等を防ぐためには、保護者の同伴若しくは承諾等を得ることが必要と考えます。また保護者の承諾等を得ているかどうかの確認方法まで限定していません。
9月29日
愛媛県は「愛媛県青少年保護条例の改正等の概要案」に対する意見募集の結果を公表した。「古物の買受け違反者への罰則創設」については「古物買受けの罰則は、具体的に何を考えているのか。売った青少年に対して罰則を科さないのか」という意見があり、県は「10万円以下の罰金又は科料としております。なお、売った青少年に対しては、罰則は課しません」と説明している。
10月6日
1.岐阜県議会は古物買受け品目の「書籍を除く」を削る「岐阜県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」を全会一致で可決した。これにより保護者の委託または同意がある場合を除き、古物商が青少年から書籍を買い取ることが禁止された。違反した場合は10万円以下の罰金または科料。施行は2006年2月1日から。
2.愛媛県議会は古物買受け違反などに罰則を新設する「愛媛県青少年保護条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより質屋及び古物商が買受等制限に違反した場合、10万円以下の罰金または科料が課されることとなった。施行は2006年1月1日から。
10月19日
平成17年度第3回三重県青少年健全育成審議会全体会が開催される。県が公表した議事録によると、答申案を検討した専門委員会から報告があり、了承されたという。また「「使用済み下着の売買行為と風俗営業等へのスカウト行為」を答申に加えることについて提案があり、審議の結果、愛知・岐阜の両県でこれらの行為が禁止され、県内への影響が懸念されることから、三重県でも禁止する必要がある旨を専門委員会報告の内容に追加することに決定した」という。
10月21日
1.大阪府議会は古物買受け規制などを新設する「大阪府青少年健全育成条例一部改正の件」を可決した。自主規制対象業者に古物商などが追加されたほか、青少年が保護者と同伴する場合または保護者の委託を受け、もしくは承諾を得ていると認められる場合を除き、古物商などは青少年から古物の買受け等を行うことが禁止された。違反した場合は30万円以下の罰金。また、古物の売却等を申し出た者が明らかに青少年でないと認められる場合を除き、古物商などに青少年でないことの確認が義務付けられた。ただし、罰則はない。施行は2006年2月1日から。
2.三重県青少年健全育成審議会会長は知事に「青少年の健全育成のあり方について」答申した。答申では古物買受け規制について、「古物商の一業種に「新古書店」と呼ばれる業態が現れ、書籍の買い取りによる換金が容易に行われ、持ち込まれる商品が新しいものほど高く買い取られている現状があります」と指摘。「現在、書籍の売却が主として換金目的になり、青少年の一般書店での万引きを助長しているとの指摘もある」ことから、「書籍を除外する規定を削除する必要があります」と提言した。
3.岡山県は県青少年問題協議会から答申があったと発表した。答申では古物買受け規制について「換金目的での書籍の万引きも見受けられることから、不健全な金銭の入手経路を断つためには、書籍も含め、青少年からの買受等を規制することが適当である」と提言。ただし「規制の対象者を古物営業法に規定する古物商のみならず、商行為として行う者やすべての県民に拡大して規制することについて検討したが、取締が恣意的になるおそれがあることや一部他法令での対応が可能なこと等から、今後の課題とする」として、規制対象者の拡大には慎重な判断が示された。
10月26日
青少年愛護条例の見直しをテーマに平成17年度第3回兵庫県青少年愛護審議会が開催される。県が公表した議事概要によると、県民政策部長は、古物買受け規制の「書籍」除外規定を削除することについて「非行につながる行為をできるだけ少なくしようということで、古物売買が万引きにつながる問題への対応要請があり、もともと古物のうち書籍を外していましたが、万引き書籍の売払い問題等が増えていることに対応するものです」と説明。その他の検討項目とともに「今回の審議でご意見をいただいたものをまとめ、できれば11月の本会議での条例改正を目指したい」という方針を示した。これに対し、委員の一人は
この古物買い受け制限のうち、書籍を除外するということが長く続いていました。これを各地の青少年フォーラムを通じて、条例改正をしてほしいと長年お願いをしてきました。ようやく皆様方のご理解の中で、条例の改正の対象にしていただき、大変喜んでおります。
青少年が書店から万引きをして、すぐに新古書店で売る事例は数多くございます。それで、コンビニエンスストアの協会もそういうことはしないようにしていると承っていたのですが、実態としては、なかなかうまくいっておらず、各書店が非常に頭を悩ませていました。条例が改正されたからといって万引きがなくなることはないと思いますが、一つの糧にして、われわれも万引きされない工夫を当然考えなければいけませんので、今後とも努力していきたいと思います。
と話している。
※ 兵庫県青少年愛護審議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は村田耕平・県書店商業組合執行理事が委員を務めていた。なお、平成17年度第1回青少年愛護審議会では県書店商業組合が「書籍」除外規定の削除を要望していたことが明らかになっている。
11月16日
岡山県は県青少年保護育成条例の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると、「現条例では、古物商が正当な理由(保護者の同意等)なく、青少年から書籍を除く古物を買受けること等を禁止していますが、書籍も禁止の対象とします」という。募集期間は2005年12月15日まで。
11月21日
井戸敏三・兵庫県知事は定例記者会見で青少年愛護条例の見直しについて「昔は苦学生がいたということで、古物買い取り制限の対象から書籍を除外していましたけれども、今の実態に合わせて本も買い取り制限の対象としました」と報告した。なお、発表資料には「県書店商業組合から書籍の古物買受制限に関する要望があった」と記されている。
11月24日
井戸敏三・兵庫県知事は平成17年11月定例会に提案した「青少年愛護条例の一部を改正する条例」について「図書やがん具などの有害指定基準の拡大、古物買取制限の対象に書籍を追加することなど有害情報等や非行につながる行為への対応を強化するとともに、深夜外出を抑止するため、深夜営業施設への立入制限などを新設します」と説明した。
12月6日
沖縄県は県青少年保護育成条例の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると、古物買受け規制の「(古書籍を除く。)」を削除する方針で「青少年による万引きを防止するため、万引きの一因となっている青少年からの古本の買い受けについても原則として禁止する必要があります」と説明している。募集期間は2006年1月5日まで。
12月12日
福岡県は「福岡県青少年健全育成条例の改正について(案)」を公表し、意見の募集を開始した。公表された資料によると「非行につながる行為への対応強化」として、古物の買取り、質受けの制限強化を検討しているという。具体的には「現在、古物商、質屋が青少年から古物等の買取り又は質受けを行うことを禁止していますが、青少年がコミック本などを万引きし、換金しているという実態があります。このため、青少年から買取りや質受けをした場合の罰則を設け、強化します。ただし、保護者が同行、又は保護者の指示や同意を受けた場合は除きます」という。募集期間は2005年12月26日まで。
12月20日
兵庫県議会は古物買受け規制の「書籍」除外規定削除などを盛り込んだ「青少年愛護条例の一部を改正する条例」を全会一致で可決した。これにより青少年が保護者の委託を受け、または同意を得たと認められる場合を除き、古物商などは青少年から書籍の買受け等を行うことが禁止された。違反した場合は20万円以下の罰金または科料。施行は2006年4月1日から。
2006年(H18)
1月13日
岡山県は県青少年保護育成条例見直し案に対する意見募集の結果を発表した。古物(書籍)の買受け等禁止への意見と回答は次のとおり。
ご意見の要旨
県の考え方
万引きが増加しており、改正に賛成だ。保護者の同意と本人の年齢確認を義務付け、遵守されているかどうかチェックをしてはどうか。
古物商が買受け等を行う場合には、明らかに青少年でない場合を除いて「本人の年齢確認」が必要となりますし、また、他の正当な理由がない場合には「保護者の同意確認」が必要となります。
遵守状況等については、立入調査等の際にチェックすることとします。
1月17日
栃木県青少年問題協議会が開催される。県が発表した会議結果によると、「事務局が条例改正の概要を説明し、各委員間で意見交換を行った」という。
1月18日
『下野新聞』3面に「県青少年条例 全面改正へ」という記事が掲載される。
1月21日
三重県は「三重県青少年健全育成条例の一部改正にかかる骨子案」を公表した。骨子案によると、「転売目的による書籍の万引き事案の多発に対処するため、青少年から買い受けてはならない古物に書籍を加えます」という。
1月27日
平成17年度第3回鹿児島県青少年保護育成審議会が開催される。県が公表した会議結果によると、「県青少年保護育成条例改正案について了承」したという。
2月1日
青森県は2月6日に県青少年問題協議会を開催すると発表した。青森県青少年健全育成条例の見直しについて協議するという。
2月14日
沖縄県は県青少年保護育成条例見直し案に対する意見募集の結果を発表した。古物買受け規制への意見と回答は次のとおり。
通番 意見の概要
県の考え方
14 「古書籍の買い受けを原則禁止」とあるが、ゲームソフトやCD等も含んだ方がよいと思う。 今回の改正により、すべての古物について青少年からの買い受け等が禁止されることになります。
2月15日
『南日本新聞』28面に「有害図書規制拡大へ 鹿県条例改正案 遠隔監視自販機も対象」という記事が掲載される。記事によると、鹿児島県は14日までに県青少年保護育成条例見直し案をまとめたという。「青少年による換金目的の万引が増加傾向にあるため、青少年からの古書籍の買い受けを禁止」する方針で「違反者には10万円以下の罰金を科す」という。
2月24日
静岡県青少年環境整備審議会が開催される。県が公表した議事要旨によると、「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の見直しについて事務局が説明したという。
3月7日
岡山県議会で遠藤康洋議員(自由民主党)は古物(書籍)買い取り等の規制強化について「万引き本の持ち込みが多いという現実を踏まえての改正でしょうが、そうではない、少ないお小遣いを上手にやりくりするために古本を売っている青少年が多いのではないでしょうか。私は、現場が混乱しないように、古本屋や青少年、さらには親にも周知徹底をする必要があると思いますが、どのような周知方法を考えておられるのか」と質問した。これに対し、生活環境部長は「7月の条例施行に向けまして、買い受け業者に対する説明会やパンフレットの配布などにより周知徹底を図ってまいりたい」「青少年やその保護者に対しては、教育関係機関やPTA等関係団体の御協力を得まして、さらに警察本部とも連携いたしまして、その周知を図ってまいりたい」と答えた。
3月14日
1.鹿児島県議会環境生活厚生委員会で青少年男女共同参画課長は、古物買受け等の規制対象に古書籍を加える「鹿児島県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」(案)について、「全国的に書店におきます万引きが問題となっております。また実際私ども県内の書店の経営者からも、少年の万引きがふえているなという声も懇談会などを通じて聞いております。それとまた先ほど申し上げました昭和三十六年にこの条例をつくっておりますけれども、その条例の制定当時と経済情勢も変わってきているというふうなことから、古書籍についても今回規制対象外から除外する、すなわち規制の対象としようとするものでございます」と説明した。
2.群馬県は2006年3月16日に県青少年保護育成審議会会長から「群馬県の青少年健全育成施策のあり方やその対策について」に関する答申を受けると発表した。
3月16日
群馬県青少年保護育成審議会は2004年7月14日に諮問された事項のうち、(2)「群馬県の青少年健全育成施策のあり方やその対策について」答申した。答申では青少年の健全育成を阻害するおそれのある行為について「他の都道府県条例では、青少年を取り巻く今日的課題に対応するため、商業的活動や非行を誘発・助長するおそれのある行為などに対して様々な規制が行われている」と指摘。こうした現状を踏まえ「群馬県青少年保護育成条例の既存規定の見直しと、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある新たな行為の規制を検討する必要がある」と提言した。
3月17日
1.栃木県青少年問題協議会が開催される。県が発表した会議結果によると、「事務局が条例改正の骨子を説明し、各委員間で意見交換を行った」という。会議資料「「栃木県青少年健全育成条例」の全面改正(案)の概要」には「近年、青少年が書籍等を万引きし、新古書店等に持ち込んで換金しているとの指摘があることから、現行の「古書籍及び古雑誌を除く」との規定を削除します」とあるほか、「これまで罰則が規定されていない「物品の買受け及び古物の質受け等の制限」、「深夜の青少年入場禁止施設」の罰則新設を検討します」と記されている。
2.『上毛新聞』22面に「保護育成条例の改正を盛り込む 県青少年保護育成審議会が答申」という記事が掲載される。
3月20日
岡山県議会は古物買受け規制の強化などを盛り込んだ「岡山県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより古物商は正当な理由がある場合を除き、青少年から書籍を買い受けること等が禁止された。違反者は30万円以下の罰金。施行は2006年7月1日から。
3月23日
三重県議会は古物買受け規制の「書籍を除く」を削る「三重県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」を全会一致で可決した。これにより青少年が保護者の委託を受けまたは同意を得たと認められる場合を除き、古物商が青少年から書籍を買い受けまたは売却の委託を受けることは禁止された。ただし、罰則はない。施行は2006年7月1日から。
3月24日
鹿児島県議会は古物買受け規制の強化などを盛り込んだ「鹿児島県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決した。古物買受け等の制限から「(古書籍を除く。)」が削られたことにより、青少年が保護者の委託を受け、または同意を得たと認められる場合などを除き、古物商による青少年からの古書籍の買受け等が禁止された。違反者は10万円以下の罰金または科料。施行は2006年7月1日から。
3月27日
福岡県議会は古物の買取り、質受け制限違反に罰則を新設する「福岡県青少年健全育成条例の一部を改正する条例」を可決した。これにより古物の買取り、質受け制限に違反した場合は20万円以下の罰金または科料が課されることとなった。施行は2006年7月1日から。
3月29日
沖縄県議会は古物買受け規制の強化などを盛り込んだ「沖縄県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決した。古物買受け等の制限から「(古書籍を除く。)」が削られた結果、青少年が保護者の委託を受けまたは同意を得たと認められる場合などを除き、古物商による青少年からの古書籍の買受け等が禁止された。違反者は20万円以下の罰金。施行は2006年7月1日から。
4月11日
福岡県議会警察委員会において県警察本部生活安全部長は、県内約400の書店商業組合加盟店で導入される代金支払済証明シールについて説明した。「書店のレジで代金が支払われた際、はがれにくいシールを本に貼付しておきます。シールの有無により、買った本かそうでない本かが、この識別が容易になりますことから、シールのない、すなわち万引きした本を少年が古書店に持ち込めなくする制度でありまして、万引き防止に効果が期待できる」といい、県警では制度の周知を図るために新聞広告等の啓発活動を行うという。また、7月1日から施行される青少年条例による古物買受け規制強化については「書店における万引き防止方策の実効性を担保するため、青少年から書籍等を買い取った古物商に対する罰則規定、二十万円以下の罰金または科料としております、を新たに設けました」と報告した。
5月11日
沖縄県は県青少年保護育成条例関係業者説明会を開催すると発表した。日時は2006年5月19日(金)14時30分~16時。場所は県庁4階の講堂。発表では「今回の改正は、「一部改正」ではありますが、罰則の強化、努力義務の新設等、広範囲にわたって大幅な改正となっております。関係する業者の皆様方、県民の皆様方におかれましては、この機会に、ぜひ説明会へ出席くださいますよう、よろしくお願い申し上げます」と呼びかけている。
5月12日
第315回岩手県青少年環境浄化審議会が開催される。県が公表した議事録によると、事務局が「青少年のための環境浄化に関する条例」の「一部改正の背景、改正時期、改正の方向性について情報提供」し、委員が意見を述べたという。
6月1日
栃木県は「「栃木県青少年健全育成条例」改正案の概要」などを公表し、意見の募集を開始した。公表された資料によると、「健全育成を阻害する行為等に対する規制の新設、拡大」の一つとして「現行条例の「古書籍及び古雑誌を除く」との規定を削除し、古物商等が古書籍及び古雑誌の買受け等することを制限の対象とします」という。また「物品の質受け及び古物の買受け等の制限違反」に罰則を新設するという。募集期間は2006年6月30日まで。
6月8日
石川県の谷本正憲知事は県議会で「子ども総合条例につきましては、子育て支援、子供の健全育成、子供の権利擁護といった幅広い分野を包含し、次代を担う子供に関する総合的な条例にしたいと考えており、来年四月の施行を目指し、各分野の専門家で構成する検討委員会を設置するなど、具体的な検討作業を進める」という方針を示した。
6月22日
『山陽新聞』30面に「「県青少年健全育成条例」来月1日施行 有害図書など罰則強化 きょう津山あす岡山業者向け説明会」という記事が掲載される。
6月30日
鹿児島県議会環境生活厚生委員会で青少年男女共同参画課長は、7月1日から施行される「鹿児島県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」で古書籍が古物買受け等の規制対象に加えられたことについて、「県内の古書籍等を取り扱う書店等に対して、個別に文書で通知するとともに、七月から実施します県内一斉立入調査の際にも対象店舗にパンフレット等を配布するなどして、周知を図ることといたしております」と説明した。また、「書店等における万引き事件等が多発しておりまして、その原因と言いますのは、万引きをしましたものを古本屋さんに持っていって売り払うと、換金するということでございます。そういったのに非常に効果がございますので、この条例、七月一日からかなり効果を持つんじゃないかと思っております」と話し、万引き防止に効果が期待できるとの認識を示した。
7月1日
『山陽新聞』32面に「青少年育成条例知って 岡山駅前で啓発イベント」という記事が掲載される。
7月8日
第1回石川県子ども総合条例(仮称)検討委員会が開催される。公表された資料によると、子ども総合条例(仮称)は「次代を担うこどもたちが自由闊達に活動でき、健全な心身を形成し、自立した大人に成長していくことを保障」「子育て支援、子どもの健全育成、子どもの権利擁護を包含した総合的な条例」を目指すものだという。
7月28日
静岡県は「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部改正の素案」に対する意見募集を開始した。「改正条例案の骨子」には、(1)「有害図書類等の指定対象の拡大」、(2)「図書類の定義」、(3)「自動販売機等の定義」、(4)「有害図書類の陳列場所の区分等」、(5)「図書類等自動販売機の設置場所にかかる制限」、(6)「深夜営業店の青少年の入場制限等」、(7)「インターネット上の有害情報にかかる規制」、(8)「罰則の整備」の8項目が示されている。募集期間は2006年8月25日まで。
8月2日
青森県は「青森県青少年健全育成条例改正案の骨子」を公表し、意見の募集を開始した。古物買受け規制を新設する方針で「書籍買取店、リサイクルショップ店の増加に伴い、青少年が保護者の知らないところで換金している実態や、換金して得た金銭を不健全な遊興等に消費している事例があることから、青少年による非行の未然防止を目的として、新たに古物商・質屋に対して、罰則を課して古物の買い受け等に関する規制の強化を図るものです」と説明している。募集期間は2006年9月1日まで。
8月10日
静岡県青少年環境整備審議会が開催される。県が公表した議事要旨によると、「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の見直し案について事務局が説明したという。
8月22日
『東奥日報』夕刊3面に「罰則付き規定へ強化 青少年条例改正案 県が意見を募集」という記事が掲載される。
8月25日
栃木県青少年問題協議会が開催される。県が発表した会議結果によると、「事務局が条例改正(案)について説明し、審議を行った」という。
9月1日
第3回石川県子ども総合条例(仮称)検討委員会が開催される。議事録によると、事務局がまとめた石川県子ども総合条例の骨子(案)について議論したという。会議資料には、石川県青少年健全育成条例を子ども総合条例に統合する案が示されていた。
9月5日
石川県議会次世代育成支援特別委員会が開催される。健康福祉部長は石川県子ども総合条例(仮称)について「11月中旬に予定しております第4回目の検討委員会におきまして条例素案の審議をしていただき、そして来年1月下旬の第5回目の検討委員会におきまして条例案を審議し、案として決定したいと考えております」と説明した。
9月11日
群馬県は県青少年保護育成条例の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると、古物買受け等の制限については「違反者への罰則の引き上げを行います」という。条例案は平成19年2月議会に提出される予定。募集期間は2006年10月2日まで。
9月12日
1.『上毛新聞』1面に「非行助長に懲役・罰金 県青少年条例改正案」という記事が掲載される。群馬県が11日に公表した県青少年保護育成条例見直し案について報じている。また「大人の自覚を促す」という解説記事では「非行の低年齢化、少年犯罪の増加―など問題の背景には、それを誘発する大人の影がある。厳罰化により、大人の自覚を促し、環境を適正化する必要に迫られている」と説明している。
2.石川県の谷本正憲知事は県議会で「子ども総合条例につきましては、去る七月八日に各分野の専門家で構成する検討委員会を立ち上げ、これまで三回の会議を開催し、条例のおおよその枠組みなどについて御審議をいただいたところであります。引き続き、検討委員会において十分御審議をいただくと同時に、各部局が連携をし、来年当初議会への条例案の提出に向け、具体的な検討作業を進めていく」と説明した。
9月21日
静岡県は「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部改正の素案」に対する意見募集の結果を発表した。3個人1団体から5件の意見があり、素案にはなかった「質物の受入れ及び古物の買受制限の除外規定」について、以下の要望があったという。
区分・項目 意見概要
意見に対する概要
質物の受入れ及び古物の買受制限の除外規定 古物営業法では、一度使用された書籍については古書店等に買取りにいった場合は古物として扱われているが、条例の第14条の質物の受入れ及び古物の買受制限の除外規定に「書籍を除く。」とされている。県内では、万引きした書籍の買受けなど多発している状況から「書籍を除く。」という条文を削除して欲しい。 ご指摘のとおりであり、書籍も古物の品目に該当するので「書籍を除く。」という条例の除外規定を削除することを検討します。
同日、静岡県議会に提出された「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例案」には、古物買受け制限の「(書籍を除く。)」を削除することが盛り込まれていた。石川嘉延・静岡県知事は提案理由について「青少年を取り巻く環境の大きな変化に対応し、良好な環境の整備を図るための条例の改正であります」と説明している。
9月22日
三村申吾・青森県知事は平成18年9月定例会に提出した「青森県青少年健全育成条例の一部を改正する条例案」について、「深夜において、保護者が同伴する場合を除き、個室カラオケ営業の営業場所に青少年を客として立ち入らせることを禁止し、古物商等について、正当な理由がある場合を除き、青少年からの古物の買受け等を禁止し、インターネットの利用により得られる青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報から青少年を保護するために必要な措置を定め、正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめることを禁止する等の改正を行うものであります」と説明した。
9月27日
青森県は「青森県青少年健全育成条例改正案の骨子」に対する意見募集の結果を発表した。古物買受け規制への意見はなかったという。
10月2日
栃木県議会厚生環境委員会で女性青少年課長は、栃木県青少年健全育成条例の見直しについて「現行では規制されていない書籍等についても古物買い取り制限対象とする」と説明。県議会文教警察委員会では生活安全部長が「罰則を新設するものとしては、物品の質受け及び古物の買い受け等の制限等の3条文があります」と報告した。
10月10日
1.青森県議会は古物買受け規制の新設などを盛り込んだ「青森県青少年健全育成条例の一部を改正する条例案」を可決した。これにより、古物商は青少年が保護者の委託を受けまたは同意を得たと認められる場合などを除き、青少年から古物を買い受けること等が禁止された。違反者は10万円以下の罰金。古物商が立入調査を拒否した場合なども10万円以下の罰金が課される。施行は2007年4月1日から。
2.栃木県議会は県青少年健全育成条例を全面的に改める「栃木県青少年健全育成条例の制定について」を可決した。古物買受け等制限の「古書籍及び古雑誌を除く」が削除され、青少年が保護者の委託を受けまたは同意を得たと認められる場合を除き、古物商が青少年から書籍や雑誌を買い受けることなどが禁止された。さらに罰則が新設され、違反者には20万円以下の罰金または科料が課されることとなった。この他、「何人も、正当な理由がある場合を除き、物品の質入れ又は古物の売却若しくは交換について、青少年からの委託を受けることのないようにしなければならない」という規定が設けられたが、罰則はない。新条例は一部の規定を除き、2007年4月1日から施行される。
10月12日
静岡県議会は古物買受け制限の「(書籍を除く。)」の削除などを盛り込んだ「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部を改正する条例」を可決した。除外規定が削除されたことにより、青少年が保護者の委託を受けまたは同意を得たと認められる場合を除き、古物商が青少年から書籍を買い受けることが禁止された。違反者は10万円以下の罰金。施行は2007年4月1日から。
10月13日
栃木県は「「栃木県青少年健全育成条例」改正案」への意見募集の結果を発表した。古物買受け規制への意見はなかったという。
10月16日
島根県は「島根県青少年の健全な育成に関する条例」の見直しについて意見の募集を開始した。公表された資料によると、「換金目的の万引きを防止するため、青少年が書籍類を古物商に売る場合は、保護者の同意を必要とする規定に改めます」という。具体的には古物買受け規制の「書籍及び雑誌を除く」を削除する方針。募集期間は2006年11月15日まで。
11月17日
第4回石川県子ども総合条例(仮称)検討委員会が開催される。公表された議事録によると、事務局がまとめた石川県子ども総合条例の素案について議論したという。会議資料によると、「青少年に対する有害行為の規制」の一つとして「古物の青少年からの買受け規制の改正(古書籍・古雑誌を規制対象とする)」を予定しているという。現行の石川県青少年健全育成条例では、古物買受け規制の対象から「古書籍及び古雑誌を除く」と明記されている。なお、同日開かれた県議会厚生環境委員会ででも条例素案について県から説明があった。
11月20日
岩手県は「青少年のための環境浄化に関する条例の改正方向(案)」などを公表し、意見の募集を開始した。「青少年の健全な成長を阻害すると認められる行為を行う業者に対する規制」の一つとして、「質屋や古物商は、青少年から、物を質に取って金銭を貸し付けたり、古物を買ったり、交換したりしてはならない旨の規定を設ける」という。違反者には30万円以下の罰金を課す方針。募集期間は2006年12月19日まで。
11月21日
石川県議会次世代育成支援特別委員会が開催される。健康福祉部長は石川県子ども総合条例(仮称)素案に盛られた規制制度について「現行の青少年健全育成条例において規定されております有害な興行や図書などに関する業者への規制や、青少年に対する有害行為の規制などの規定を統合いたしますとともに、先般11月に開設されました青少年健全育成審議会におきまして御了承いただきました書店等における有害図書等の個別包装の義務づけなど、幾つかの新たな規制を追加したいと考えているところです」と説明した。
11月26日
『岩手日報』1面に「健全育成へ罰則強化 県、環境浄化条例改正へ」という記事が掲載される。古物買受け規制については「これまで罰則がなかった▽保護者の同意を得ずに深夜(午後十一時以降)に青少年を連れ出した者▽深夜カラオケ店などに入場させた経営者▽青少年からの古物の買い取りや質受け―なども三十万円以下の罰金となる」と報じている。
※深夜における施設への立入制限、質受け及び古物買受け等の制限は罰則付きの規定が新設されるのであり、「これまで罰則がなかった」のは深夜連れ出しだけである。
11月28日
石川県の谷本正憲知事は県議会で「子ども総合条例につきましては、子どもの健全育成、若者の自立に向けた支援、子育て支援、食育の推進及び子どもの権利擁護を柱とする素案を取りまとめたところであります。来年当初議会への条例案の提出に向け、県議会や検討委員会においてさらに御議論を深めていただくとともに、パブリックコメントを実施をし、広く県民の皆様方の御意見をお聞きすることとしております」と説明した。
12月18日
青森県は県青少年健全育成条例について「条例改正に伴い説明会を開催します」と発表した。関係業者や青少年育成機関・団体などを対象に2006年12月19日~2007年1月30日にかけて県内6地区で実施するという。
12月25日
石川県は「石川県子ども総合条例(仮称)」素案への意見募集を開始した。公表された資料によると、現行の青少年条例を子ども総合条例に統合するほか、古書籍などを古物買受け規制の対象に加えるという。古物買受け規制の強化は2007年7月1日から施行される予定。募集期間は2007年1月15日まで。
2007年(H19)
1月4日
島根県は「島根県青少年の健全な育成に関する条例」見直し案に対する意見募集の結果を発表した。書籍の万引きへの対策(古物買受け規制の「書籍及び雑誌を除く」の削除)については次のような意見があったという。
項目 番号 ご意見 考え方 書籍の万引きへの対策 15 保護者の同意を文書でとっている古本屋があると聞いている。同意書の書式を規定する等し、学校や古本屋へ周知・徹底が必要である。 関係業者には既に保護者の同伴や同意書による確認を実施しているところもあります。保護者の同意の確認については、これらの状況を踏まえ「保護者の同伴」「電話による確認」「同意書」によることとし、この取り扱いについて関係業者へ周知・徹底したいと考えています。 16 万引きした品物を現金化することは「万引き+現金化」で二重に悪質である。学校教育でも「万引きは犯罪」であることを学習させることが必要である。 小・中・高等学校では、初発型犯罪の一つである万引きを犯罪の入り口と捉えており、夏休み前など機会があるごとに指導を行っています。また、多くの学校では警察官が学校に出向いて児童生徒の規範意識を醸成する「非行防止教室」も活用し指導に努めています。
1月23日
石川県議会次世代育成支援特別委員会が開催される。健康福祉部長は石川県子ども総合条例(仮称)案について「今後、本日の委員会の皆様方の御意見や、2日後に開催されます厚生環境委員会などの御意見も踏まえまして、1月30日に開催を予定しております第5回目の検討委員会において、この条例案を決定し、2月から開催される予定であります平成19年当初議会に条例案を提出したい」と説明した。
1月24日
平成18年度岩手県青少年問題協議会が開催される。県が公表した会議結果によると「「青少年のための環境浄化に関する条例」の一部改正について説明し、意見交換を行った」という。また、会議資料「青少年のための環境浄化に関する条例の一部改正(案)の概要」によると、質受け及び古物買い受け等の禁止は「37都道府県で規定」されているという。
1月30日
第5回石川県子ども総合条例(仮称)検討委員会が開催される。公表された議事録によると、「いしかわ子ども総合条例(仮称)の最終素案」がまとまったという。
1月31日
群馬県は県青少年保護育成条例見直し案に対する意見募集の結果を発表した。古物買受け規制への意見はなかったが、青少年の万引きに関連して次のような意見があったという。
No ご意見の概要
県の考え方
2 子どもの万引きは、親と店の責任が大きい。万引きを犯した子どもの親への指導を徹底するとともに、万引きをさせない店づくりに努めてほしい。 本条例では、保護者や事業者の責務等を定めて、それぞれの立場における役割や責任を明確にしています。
万引き防止対策は、非行防止の観点から重要でありますので、具体的には基本計画の中で検討していきたいと考えています。
11 青少年が携帯電話を使って、書店で書籍の情報を盗撮する行為を禁止する必要があるのではないか。 本条例は、青少年を取り締まることを目的とするものではなく、「行為の規制」に関しては、あくまでも大人(青少年以外)の行為を規制して、青少年を保護することを目的としています。
したがって、本条例で青少年の行為そのものを規制することはできませんが、他の法令や条例に抵触する場合には、それらの法令等の違反として問われることは言うまでもありません。
(参考)「青少年が携帯電話を使って、書店で書籍の情報を盗撮する行為」はデジタル万引きと呼ばれることがある。『日経パソコン』2011年11月14日号53頁「デジタル万引きって、何がいけないの?」によると、法的扱いは次のようになるという。
「万引き」という強い言葉を含むものの、情報は財物に該当せず、窃盗罪にはならない。著作権法上は、他人の所有物からの複製であっても私的複製に分類されるため、著作権侵害にも該当しない。とはいえ、店員の制止に従わないなど悪質な場合は威力業務妨害罪が成立し得るほか、損害賠償請求される可能性もある。
2月5日
群馬県は県青少年保護育成条例見直し案について発表した。発表によると「万引きした商品を買い受ける古物業者が後を絶たず、青少年の万引きを助長するおそれがあることから、この種の事犯の抑止を図るため古物買受け等の制限に係る罰則を引き上げる」という。具体的には「10万円以下の罰金」を「30万円以下の罰金」に引き上げる予定。県は2007年10月1日の施行を目指している。
2月8日
1.石川県子ども総合条例(仮称)検討委員会の会長は「いしかわ子ども総合条例[仮称]最終案」を谷本正憲知事に報告した。報告書は「県においては、平成19年第1回石川県議会定例会に提出される予定の条例案に、この最終案を最大限尊重されるよう求めます」としている。なお、検討委員会で議論のあった「条例の趣旨や内容について、県民に対し誤解を与えないよう留意すること」「条例の趣旨や内容について、小中高校生に対して、分かりやすく周知すること」などを求める補足意見も合わせて提出された。
2.石川県は「石川県子ども総合条例(仮称)」素案に対するパブリックコメントの結果を発表した。古物買受け規制への意見はなかったという。
2月16日
岩手県は「青少年のための環境浄化に関する条例の一部を改正する条例(案)」に係るパブリックコメントの実施結果を発表した。「質受け及び古物買い受け等の禁止」への意見と回答は次のとおり。
意見等の内容
対応等
質屋や古物商とあるが、中古CDショップや古本屋、市内でよく見られる大手チェーン店等のリサイクルショップも対象となるのか。(中高生の利用も多いと思うが)業界からの反発はないのか。 中古CDショップや古本屋、リサイクルショップも対象となります。
質屋営業法第1条第1項に規定する質屋、古物営業法第2条第1項第1号に規定する古物商を対象とすることを考えています。ただし、親の委託や承諾がある場合その他正当な理由がある場合は除外する規定も盛り込む考えです。
現在のところ、業界からの反対意見は寄せられておりません。
2月22日
石川県の谷本正憲知事は平成19年2月定例会に提案した「いしかわ子ども総合条例」について「子育て支援、子供の健全育成、子供の権利擁護といった幅広い分野を包含するものであり、この条例を核に次代を担う子供たちが自由濶達に活動でき、健全な心身を形成し、自立した大人に成長していくことができる社会の実現を目指し、積極的な施策を展開してまいる所存であります」と説明した。
2月26日
島根県議会文教厚生委員会で青少年家庭課長は「島根県青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」について、「現在、古物商に、要は古着ですとかそういうものを売るに当たっては保護者の同意が必要ということになっていますが、図書につきましては苦学生への配慮ということから除外されております。ただ、苦学生という、そういう社会的背景も薄れていること、さらには、下にも書いてございますが、換金目的の万引きというものも出てきてることから、古本につきましても古物商は保護者の同意がなければ青少年から書籍を買い取らないように定めていきたいと考えております」と説明した。
3月2日
島根県議会は古物買受け規制の「(書籍及び雑誌を除く。以下この項において同じ。)」の削除などを盛り込んだ「島根県青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」を全会一致で可決した。除外規定が削除されたことにより、青少年が保護者の委託または同意を得たと認められる場合その他正当な理由があると認められる場合を除き、古物商が青少年から書籍や雑誌を買い受けることなどが禁止された。違反者は20万円以下の罰金。施行は2007年7月1日から。
3月9日
群馬県議会は県青少年保護育成条例を全面的に改める「群馬県青少年健全育成条例」を可決した。古物買受け規制の罰金は「10万円以下」から「30万円以下」に引き上げられている。施行は2007年10月1日から。
3月14日
岩手県議会環境福祉委員会で「青少年のための環境浄化に関する条例の一部を改正する条例」(案)が審議される。佐々木一榮委員(民主・県民会議)が関係者への周知方法を尋ねたところ、男女共同参画課総括課長は「県の方では、パンフレットを作成して配付する。あるいは説明会に来ていただいて説明する。あるいは、来ていただけないところには、条例の改正内容を書いた書類等を見せて勉強していただくとか、そういったことを、半年かけてやっていきたい」と説明した。
3月15日
岩手県議会は古物買受け規制の新設などを盛り込んだ「青少年のための環境浄化に関する条例の一部を改正する条例」を全会一致で可決した。これにより古物商は青少年が保護者の委託を受けまたは承諾を得たと認められる場合などを除き、青少年から古物を買い受けること等が禁止された。違反者は30万円以下の罰金。施行は2007年10月1日から。
3月16日
石川県議会は旧「石川県青少年健全育成条例」の統合などを盛り込んだ「いしかわ子ども総合条例」を可決した。古物買受け規制については「古書籍及び古雑誌を除く」が削除され、保護者の委託を受けている場合、保護者の同意を得ている場合、その他正当な理由があると認められる場合を除き、古物商が青少年から古書籍・古雑誌を買い受けることなどが禁止された。違反者は30万円以下の罰金。古物買受け規制の強化は2007年4月1日から施行される。
2008年(H20)
6月24日
静岡県は県政インターネットモニターアンケート「青少年を取り巻く社会環境と青少年条例に関する意識調査」の結果を発表した。調査はモニター478人のうち、452人が回答(回答率94.6%)。「本条例には青少年の健全育成のため、様々な規定があります。次の規定の中であなたが知っているものはどれですか。知っているものをすべてお答えください。(知っているものがない場合は、無回答で構いません)」という質問に対し、「青少年からの古物等の買受けの制限」を選んだ者は55人(12.2%)だったという。調査期間は2008年5月26日~6月8日まで。
6月25日
『静岡新聞』27面に「青少年の環境 「10年前より悪化」9割」という記事が掲載される。静岡県が行った県政インターネットモニターアンケートについて報じている。
7月11日
平成20年度第1回愛知県青少年保護育成審議会が開催される。公表された会議概要によると、少年非行に関する質疑のなかで委員の一人は次のように述べている。
少し意見になってしまいますが、万引きを激減させる方法があります。それは青少年の古物の売買に親の同伴を義務付ける条例を作ることです。愛知県の条例ではずっと長い間、青少年の古物の売買などに、除く書籍と書いてあって、親の同意書が要りませんでした。数年前に親の同意書が要るようになりました。親の同伴を義務付ければ万引きは全国で激減します。本屋の被害から言ってるわけではなくて、もし、初発型で最初に捕まえることで変わるというなら、青少年の健全育成に絶大な効果があろうかと思います。大半の場合は親が、なんだお前こんなに小遣い与えてないぞ、なんで同じもの5冊も持ってるんだということになるはずです。前にニュースで見たら、本の万引きと化粧品の万引きが多いというんです。化粧品は中国に闇ルートがあるということだそうです。資生堂などの商品が正規にはなかなか買えないのでそういうルートがあると。本の場合は、新古書店で換金。コミックの場合、このごろは20冊、30冊やられます。捕まえましてこれどうするつもりだったと聞きますと、例外なく売りに行くと言います。1冊50円位でしか取ってくれませんので、1000円稼ごうと思うと20冊要るんです。こういうことが、親の同伴を義務付ける条例をつくれば、激減して日本の世の中が変わるんではないかと思うんですが、ここでお願いして良いのかどうか分かりませんが、いかがでしょうか。この提案に事務局が難色を示したことから、以下のような議論になったという。
(委員)
今申し上げた後の方ですが、条例を変えるというのは難しいもんですか。
先ほども条例を変えましたというお話がありましたが。
(事務局)
この青少年保護育成条例は、第1条で「青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し」ということでありますので、そういったことも考えられるかもしれませんが、有害環境を規制するということになりますと、今仰った内容が有害環境になるかどうかということ、ちょっと規制をする手段というか、方法論としてなじまないという感じがします。
今お話になった古物商というか、買取業者のところに行くとき、親の同伴が必要だよということだと思うんですが、買取をしてもらう環境が、有害環境かということです。
一部の人だけが万引きして行くという中で、一律的な規制をするということが、今の私の感想ですけれども、この青少年保護育成条例になじむかどうかというと、ちょっと疑問だと感じております。
(委員)
私の感覚は親の同意書と同一線上にあると思っております。同意書は要りますよね。そのことと一緒だと思っております。
一方、他の委員は「民法では子どもの行為については取り消すことができると書いてるだけです。親が何でこんなことをしたんだと取り消すことができるんですけれども、親がついて来なければいけないというと、民法の大原則に反する規制になってくるので、それを条例で決めるのは問題かなと思います」と指摘。さらに「原則的には親が取り消すことができる行為であるけれども、取り消さなければ子どもは買うことができますよね」「子どもが売り買いする時には親が来なければいけないということになりませんか」と疑問を呈している。
こうした意見を受け、事務局は「お二人の話を参考に勉強させていただきたいと思います」と述べている。
※愛知県青少年保護育成審議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は谷口正明・県書店商業組合理事長が委員を務めていた。なお、谷口氏は2009年1月の日書連理事会において、親の同伴を義務化するために「青少年条例の改正を求めるべきではないか」と提案している。
2009年(H21)
1月23日
日本書店商業組合連合会の理事会が開催される。『全国書店新聞』2009年2月1日付2面によると、谷口正明・日書連副会長は「新古書店は青少年からコミック等を買い上げる場合、親の同意書が必要としているが、実際に効果があるのは親の同意より立会い。青少年条例の改正を求めるべきではないか」と問題提起したという。
3月9日
青森県は県内の小・中・高校生1258人を対象とした「青少年の意識に関する調査」結果報告書を発表した。「あなたは、過去1年の間に、保護者に知らせないで、ゲームソフトやマンガ本などを買い取り店に売ったことがありますか」という質問に「ある」と答えた割合は8.8%(111人)だったという(無回答3人)。調査時期は2008年10月~11月。青森県では2006年10月に古物買受け規制が新設され、2007年4月1日から施行されている。
2010年(H22)
12月17日
警察庁生活安全局は「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」を公表し、意見の募集を開始した。公表された資料によると、改正の概要は次の通り。
法第15条及び第16条は、古物商等に対し取引の相手方の本人確認義務及び取引時の帳 簿等への記載義務を課しているが、対価の総額が1万円未満となる取引については、こ れらの義務を免除している(法第15条第2項、古物営業法施行規則(平成7年国家公安 委員会規則第10号。以下「規則」という。)第16条第1項)。ただし、オートバイや家庭 用コンピュータゲームソフトについては、例外的に取引金額の多寡にかかわらず、本人 確認義務等を免除しないこととしている(規則第16条第2項)。
ところで、近年、書籍やCD・DVD等の換金を目的とする万引きの被害が大きな社 会問題となっている。そこで、万引被害に係る書籍やCD・DVD等の古物市場への流 入を抑止するため、規則を改正し、書籍やCD・DVD等については、取引金額の多寡 にかかわらず本人確認義務等を免除しない古物に加えることとするものである。
募集期間は平成23年1月21日まで。施行は平成23年4月1日を予定しているという。
→古物営業法施行規則の一部を改正する規則案に対する意見の募集について
※東京都書店商業組合は2002年2月に石原慎太郎・東京都知事へ提出した「青少年の健全育成に関する要望書」で「現在、古物営業法において免除されている1万円以下の書籍・雑誌等を買い取る場合の記帳義務について住所、氏名、年齢、職業、書名、金額等の記帳を義務化して下さい」と要求していた。
2011年(H23)
2月9日
警察庁生活安全局は「古物営業法施行規則の一部を改正する規則案」への意見募集の結果を公表した。
→古物営業法施行規則の一部を改正する規則案に対する意見の募集について
3月16日
青森県は県内の小・中・高校生1255人を対象とした「青少年の意識に関する調査」結果報告書を発表した。「あなたは、過去1年の間に、保護者に知らせないで、ゲームソフトやマンガ本などを買い取り店に売ったことがありますか」という質問に「ある」と答えた割合は5.0%(62人)だったという(無回答12人)。「ある」と回答した者に当てはまる売却理由をすべて選ばせたところ、「お金に換えたかったから」が69.4%(43人)、「飽きてしまったから」が38.7%(24人)、「おもしろい物ではなかったから」が24.2%(15人)、「その他」が9.7%(6人)、保護者に知らせなかった理由では「知らせる必要がないと思った」が77.0%(47人)、「知られると叱られるから」が13.1%(8人)、「知られたくなかったから」が6.6%(4人)、「その他」が11.5%(7人)だったという(無回答1人)。調査時期は2010年10月~11月。前回の調査結果は2009年3月に公表されている。
7月20日
警視庁は都内に在住または在学する小学生・中学生・高校生を対象に万引き防止ポスターの募集を開始した。ポスターには万引き防止の標語を入れるものとし、「生徒の視点から、自分達の決意を述べるもの」「同年代に訴えるもの」「大人(一般)に訴えるもの」など訴える対象は自由。募集期間は2011年9月30日まで。
8月10日
石川県警は万引き実態調査結果を公表した。調査は2011年2月1日~4月30日までの3ヶ月間に万引きで検挙された少年54人、成人83人、高齢者(65歳以上)66人を対象に任意で実施。「万引きした品物をどうするつもりだったか」と尋ねたところ、自己消費195件(96.1%)、友人への譲渡5件(2.5%)、売却1件(0.5%)、その他2件(1%)だったという。なお、少年の犯行場所は古物店が26.4%と最も多く、以下スーパー24.5%、コンビニ15.1%、ホームセンター11.3%、書店9.4%、ホームセンター5.7%、その他7.5%だったという。また、少年の目的物はカード20.0%、菓子14.5%、化粧品12.7%、書籍12.7%、食料品5.5%、衣料品5.5%、家電製品1.8%、その他27.3%だったという。
11月18日
東京都公安委員会が開催される。公表された議事概要によると、警視庁は古物営業法違反(不正品申告義務違反)に該当することが判明した古物商について、「聴聞を実施した上で古物営業の停止処分を行うほか、業務改善に向けた指示を行う予定である」と報告したという。委員からは「この種の事案については、行政処分と併せて、万引き防止対策等の観点から、店舗側の刑事責任も追及すべきではないか。また、業界全体に対して警鐘を鳴らす必要がある」との意見があり、警視庁は「今後とも古物商が、不正品の疑いのある物を漫然と買い取ることがないよう、刑事処分についても視野に入れ、業界に対する指導取締りを行っていく」と説明したという。
11月24日
『朝日新聞』夕刊21面に「盗品CD買い営業停止へ ツタヤの店疑いつつ通報せず」という記事が掲載される。記事によると、万引きされたゲームソフトやCDを少年から買い取った際、盗品であると疑いながら警察に申告しなかったとして、警視庁は「TSUTAYAイオンモール日の出」店を古物営業法に基づく営業停止処分にするよう都公安委員会に求めるという。営業停止期間は2週間程度の見込みで、ツタヤを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)についても再発防止を求める指示処分にするという。また、少年が万引きしたゲーム機などを買い取りながら不申告だったゲオについては、経営陣が交代したため行政処分とはされないが、悪質な場合は刑法の盗品等有償譲り受け容疑で店員の立件を検討するという。『読売新聞』夕刊19面には「ツタヤ盗品買い取りか 都内の店舗 警視庁立ち入り」、『日本経済新聞』夕刊17面には「盗品疑い品届け出ず 都内のTSUTAYA店舗 都公安委、行政処分へ」という記事が掲載された。
11月25日
『毎日新聞』31面に「ツタヤ盗品買い取り 行政処分へ 疑念抱くが通報せず」という記事が掲載される。『産経新聞』25面には「盗品買い取りのツタヤ店舗 届け出怠り営業停止へ」、『東京新聞』30面には「ツタヤ店舗を処分へ 盗品買い取り申告せず」という記事が掲載された。
11月29日
1.カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は古物営業法に基づく警察への届け出義務を怠ったことについて、事件の状況と今後の対策を発表した。発表によると、2011年7月23日、7月25日、8月15日に「TSUTAYA 日の出店」で買い取られたCD、ゲーム、トレーディングカードなど計137点(買取額109,545円)が集団万引きグループによって万引きされた盗品であることが判明。不正品の疑いのある商品を買い取った際の届け出義務違反にあたるとして警察から指導を受けたという。発表では買い取り時の状況について
この度の買取にあたって、当該店舗では、古物営業法に基づき、
①本人確認
②未成年者であったため保護者への確認
③買取台帳への記載・保管
を行っていました。
しかしながら、保護者への確認において、
万引犯から保護者と偽った仲間の電話番号を教えられたこと、
および、このような点数の買い取りも通常業務としてあることから
対応したアルバイトスタッフは、不正品の疑いを持たず、店長への報告もすることなく、
結果、警察官への届け出義務を怠ってしまったものです。
と説明。CCCとしては「不正品と分かってもしくは疑いを持って買取を行った事実はないものの、疑いを持つことが出来なかった店舗での買取オペレーション及び教育指導に問題があったと反省」し、今後の対策として(1)「TSUTAYA 日の出店」では適切な買取オペレーションと教育の徹底が出来るまで18歳未満からの買取は行わない、(2)全店舗で特に疑わしい買取は警察官に相談・報告する、(3)18歳未満からの買取は保護者確認を徹底する――という。
※発表資料にある「②未成年者であったため保護者への確認」は古物営業法とは無関係である。これは青少年条例(東京都の場合は「東京都青少年の健全な育成に関する条例」)に基づく規制であり、東京都では出版業界の要望を受け、2004年3月に新設されている。
2.『読売新聞』夕刊15面に「ツタヤ盗品問題事実関係認める 都公安委が聴聞」という記事が掲載される。記事によると、「TSUTAYA 日の出店」が盗品の疑いがあるCDなどを買い取っていた問題で、都公安委員会は29日、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)側の弁明を聞く聴聞を開いたという。同社の買い取り部門担当者は「マニュアルには(申告義務を)記載していたが、日々の教育ができていなかった。ご迷惑をおかけした」と事実関係を認め、マニュアルの改訂や教育の徹底などを行うと説明したという。都公安委員会は来月2日にも中古品の買い取り・販売について、同店を営業停止にする方針だという。『東京新聞』夕刊8面には「盗品買い取り ツタヤ担当者を聴聞 都公安委 日の出店営業停止へ」、『日本経済新聞』夕刊15面には「TSUTAYAを聴聞 盗品不届け都公安委」という記事が掲載された。
12月2日
『毎日新聞』夕刊10面に「ツタヤ14日間営業停止 日の出の1店舗 盗品買い取りで」という記事が掲載される。記事によると、東京都公安委員会は2日、古物営業法に基づき「TSUTAYAイオンモール日の出店」の中古品販売や買い取り業務について、12月5日から14日間の営業停止を命じたという。『読売新聞』夕刊16面には「「ツタヤ」日の出店処分」、『東京新聞』夕刊8面には「ツタヤ店舗の営業停止処分 盗品届け怠る」、『日本経済新聞』夕刊17面には「中古品販売14日間停止 TSUTAYA店舗を処分」という記事が掲載された。
12月3日
『産経新聞』25面に「盗品届け怠ったツタヤ1店舗処分」という記事が掲載される。
12月5日
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、東京都公安委員会から古物営業法に基づき「TSUTAYA 日の出店」のDVD・CD・ゲームソフトのリサイクル販売および買取りについて、12月5日~18日まで14日間の営業停止処分を受けたと発表した。
12月6日
警察庁は古物商における盗品流入防止策の強化を各都道府県警察に通達した。公表された資料によると、「大手古物商において、高校生から大量の新品ゲーム、CD等を買い受けた際、店長や店員がこれらが盗品であるとの疑いを認めたにもかかわらず、古物営業法(昭和24年法律第108号)に定められた警察官への申告をせず、万引き犯人に安易な換金を許してしまうといった事案が発生した」ことから、各都道府県警察に古物商の義務履行状況の確認および古物商に対する指導の徹底を指示したという。また、全国古物商組合防犯協力会連合会、日本リユース業協会、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合、日本テレビゲーム商業組合、リサイクルブックストア協議会の5団体に対し、「盗品等不正品発見時の適切な対応について要請を行った」という。
12月12日
第5回「東京万引き防止官民合同会議」が開催される。『読売新聞』(東京版)2011年12月13日付32面に掲載された「万引きの実態と対策 警視庁と業者が会議」という記事によると、12日の会議では都内のリサイクルショップなど24店で盗品が持ち込まれていた事実などが報告されたという。警視庁の話では、未成年者からの買い取り時に保護者の同意確認をしていないケースも目立つという。
※「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は古物商が青少年(18歳未満)から古物を買い取ることを原則として禁止している。ただし、保護者の同意がある場合などは買い取りが認められている。この規制は出版業界の要望を受け、2004年3月に新設されている。
12月16日
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、「TSUTAYA 日の出店」が盗品の疑いがあるCDなどを買い取っていた件を受け、12月15日付で「青少年保護推進委員会」を設置したと発表した。発表では、同委員会の役割について「青少年保護の推進・対策を実施するための現状調査、及びその対策の決定と実行、ならびにその最重要項目である当社フランチャイズ店舗全店における古物営業法の防犯三大運用の理解徹底を実施して参ります」と説明している。
12月19日
1.『朝日新聞』夕刊17面に「ゲオ3店を家宅捜索 万引き品買い取り容疑 警視庁」という記事が掲載される。記事によると、少年3人から万引き品を買い取ったとされる問題で、警視庁は19日、レンタル大手「ゲオ」の都内3店舗を盗品等有償譲り受け容疑で家宅捜索したという。ゲオの東京や神奈川の22店では、少年らが万引きしたゲーム機などを47回、計約135万円で買い取る一方、警察には不申告だったことが判明しており、同庁はこれらの店の店長や店員らを同容疑で一斉に事情聴取する方針だという。少年らは調べに対し「万引きしたゲームソフトの包装紙を店員の前で破ったのに黙って買い取ったケースもあった」と話しているという。『読売新聞』夕刊13面には「ゲオ盗品知り買い取りか 警視庁、都内3店を捜索」、『毎日新聞』夕刊9面には「ゲオも盗品買い取り 容疑で都内3店舗捜索 警視庁」、『東京新聞』夕刊7面には「「盗品」認識し買い取り容疑 ゲオ3店舗を捜索 警視庁」、『日本経済新聞』夕刊15面には「ゲオを盗品買い取り 警視庁 容疑で3店舗を捜索」という記事が掲載された。
2.ゲオホールディングスは子会社店舗が家宅捜索を受けたと発表した。発表によると、ゲオショップ池上店、平和島店、駒澤大学店の3店舗が盗品等有償譲受け容疑で警視庁の捜索を受けたという。発表では「当社といたしましては、盗品等有償譲受けに関わる疑いを受けたことを重く受け止め、今後の捜査にグループとして全面的に協力し、真摯に対応してまいります」と説明している。
2012年(H24)
2月1日
『読売新聞』(東京版)31面に「レンタル店一斉立ち入り 警視庁 400店で盗品調査」という記事が掲載される。記事によると、警視庁は昨年12月から都内のレンタル店など約400店舗を対象に古物営業法に基づく一斉立ち入り調査を開始。3月末までにすべての調査を終える予定だという。盗品買い取りの有無や本人確認が行われているかなどを調べ、問題があれば行政処分も検討するという。
2月15日
群馬県青少年健全育成審議会が開催される。公表された結果概要によると、委員から「ぐんま青少年基本調査」の質問方法について「中高生に非常に万引きが多く万引きで店を閉める書店もある」「万引きは窃盗罪になるが、保護者の考え方も普通の考え方と違って、イタズラの延長でそれほど大した罪ではなく、捕まってもお金を払えばいい程度の感覚でいる人もいる」という意見があったという。また、無断外泊や喫煙と並んで万引きに関する質問があることに「同列に並べられては、万引きが無断外泊や喫煙と同じような位置づけに取られてしまうのではないか」「この点の質問の方法にも気遣いをお願いしたい」という要望があったという。
※ 群馬県青少年健全育成審議会には県書店商業組合から委員が選ばれている。当時は竹内靖博・県書店商業組合理事長が委員を務めていた。なお、群馬県は県書店商業組合の要望を受け2003年12月に古物買受け規制の「(書籍を除く。)」を削除。また、2007年3月には青少年の万引きを助長しないよう古物買受け規制の罰金を「10万円以下」から「30万円以下」に引き上げている。
3月13日
ゲオホールディングスは万引き品を買い取ったとして盗品等有償譲受け容疑で家宅捜索を受けた事件について、その後の対応状況と再発防止策を発表した。発表によると、1月から全国のグループ全店舗で18歳未満からの買取を停止するなど、法令順守と防犯意識の向上に努めているという。また3月14日には警視庁の要請を受け、グループの店舗管理者を中心とした盗品買取防止会議で同庁から指導を受けるという。
3月14日
『産経新聞』26面に「ゲオ立件見送りへ 「盗品」認識断定できず」という記事が掲載される。記事によると、ゲオの店舗が万引き品を買い取ったとして盗品等有償譲受け容疑で家宅捜索を受けた事件について、警視庁少年事件課は、店員らに盗品の認識があったとは断定できないとして同容疑での立件を見送る方針だという。『毎日新聞』27面には「ソフト買い取り18歳未満は停止 ゲオ・立件見送り」という記事が掲載された。
3月15日
『毎日新聞』(東京版)24面に「「ゲオ」幹部らに再発防止を要請 万引き品買い取り問題で警視庁」という記事が掲載される。記事によると、警視庁は14日、本部庁舎で「盗品買取り防止会議」を開催。ゲオの幹部らに買い取りマニュアルの形骸化や従業員教育の不備を指摘したという。ゲオ側は18歳未満からの買取禁止の継続、盗品買取防止マニュアルの作成、不審な買取についての情報共有化などを推進する予定だという。『朝日新聞』(東京版)29面には「万引き品買い取り問題 社内教育徹底を「ゲオ」側に要求」、『読売新聞』(東京版)33面には「盗品買い取り問題 ゲオの立件見送り 警視庁、再発防止要請」、『日本経済新聞』39面には「ゲオに教育改善要請 盗品買い取りで警視庁」、『東京新聞』夕刊8面には「ゲオ店長らに指導」という記事が掲載された。
4月20日
警視庁はインターネットを利用したアンケート調査に回答する「平成24年度けいしちょう安全安心モニター」の募集を開始した。公表された資料によると、1回のアンケートは20問程度の選択式および自由回答で、回数は4回を予定しているという。任期は平成24年6月上旬頃から平成25年3月31日。募集人数は1000人。応募資格は東京都内に在住、在勤または在学している、満18歳以上(平成24年4月1日現在)などの条件を満たしていること。ただし、警視庁職員や同居親族は応募できない。応募者の中から、性別、年代、居住地域等を考慮しモニターを決定する。募集期間は2012年5月16日まで。
5月18日
1.『朝日新聞』39面に「少年からのゲーム買い取り隠す ゲオを書類送検へ」という記事が掲載される。記事によると、都内にあるゲオ店舗の20代社員は昨年4月、17歳の少年からゲームソフトを買い取る際、買い取り申込書に書かれた生年月日を大人であるように書き換えた疑いがあるという。ゲームソフトは少年が盗んだもので、窃盗容疑で少年が逮捕されたことをきっかけに容疑が浮上。警視庁はゲオホールディングスとこの社員を古物営業法違反(帳簿等の虚偽記載)容疑で書類送検する方針だという。都条例では、未成年者からの買い取りは保護者の同意なしには禁じられており、社員は調べに「保護者の同意なしに買い取ったことが発覚するとまずいと思った」と説明。容疑を認めているという。
※「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は古物商が青少年(18歳未満)から古物を買い取ることを原則として禁止している。ただし、保護者の同意がある場合などは買い取りが認められている。この規制は出版業界の要望を受け、2004年3月に新設されている。
2.『読売新聞』夕刊17面に「「ゲオ」と社員書類送検 ソフト買い取り 少年の申込書改ざん容疑」という記事が掲載される。記事によると、ゲオ田無駅前店の副店長がゲームソフト24本を大人から買い取ったと装うために少年の申込書の生年月日を書き換えたとして、警視庁は18日、ゲオホールディングスとこの社員(26)を古物営業法違反(帳簿等の虚偽記載)容疑で書類送検したという。同店のアルバイト店員が、当時17歳だった少年からの買い取りで東京都青少年健全育成条例で義務づけられている親の同意確認をしなかったため、後で気付いた社員が年齢を偽るために書き換えたという。少年はこれらのゲームソフトを小平市の大手スーパーから盗んだとして、窃盗容疑で逮捕されているという。『朝日新聞』夕刊13面には「記録改ざん容疑ゲオを書類送検 警視庁」、『毎日新聞』夕刊12面には「ゲオを書類送検 ゲーム買い取り 少年を「成年」に 書類改ざん容疑」、『東京新聞』夕刊9面には「ゲオ買い取り虚偽記載 容疑で書類送検 年齢、18歳以上装い」、『日本経済新聞』夕刊15面には「ゲーム買い取り、客の年齢偽った疑い ゲオを書類送検 警視庁」という記事が掲載された。
3.ゲオホールディングスは「本日、一部報道機関において、当社に関する報道がありましたが、事実関係については現在確認中でございます」「今後、当社としてお知らせすべき事実が発生した場合には、すみやかに開示いたします」と発表した。
5月19日
『産経新聞』24面に「少年を「成年」書類偽装、ゲオ書類送検」という記事が掲載される。
5月25日
東京都公安委員会が開催される。公表された議事概要によると、警視庁は「昨年以降、大手古物商の古物営業法違反(不正申告義務、帳簿等の虚偽記載)の取締りを行ったほか、平成23年12月21日から平成24年3月21日までの間、大手古物商401店舗に対して緊急立入りを実施し、営業実態を確認した上で、各店舗に必要な指導を行った」と報告。さらに「平成24年6月4日、警視庁本部において、都内大手古物商約60業者の出席のもと、適正な古物営業確保に向けた連絡会議の開催を予定しており、引き続き、犯罪インフラ対策を推進していく」と説明したという。
6月5日
『朝日新聞』(東京版)29面に「被害品買い取り昨年2000件 古物業者 警視庁摘発の事件で」という記事が掲載される。記事によると、万引きや詐欺などの刑法犯で警視庁が昨年摘発した事件のうち、古物業者が犯人から被害品を買い取ったケースが約2千回あったことが、同庁の調べで分かったという。また、昨年12月から都内の古物業者約400店舗に立ち入りを行ったところ、19業者で少年から親の同意なく買い取りをしていたほか、買い取り品の帳簿への記載不備が発覚したという。同庁は4日、都内の古物業者らに買い取り時の確認作業の徹底を申し入れたという。『読売新聞』(東京版)30面には「レンタル業者集まり 買い取り規定を確認」、『毎日新聞』(東京版)24面には「盗品の売却防止 古物商は徹底を 警視庁が連絡会議」という記事が掲載された。
※「東京都青少年の健全な育成に関する条例」は古物商が青少年から古物を買い取ることを原則として禁止している。ただし、保護者の同意がある場合などは買い取りが認められている。この規制は出版業界の要望を受け、2004年3月に新設されている。
7月3日
長野県警本部長は古物商に対する指導等の徹底を所属長に通達した。公表された資料によると「平成23年11月、都内の「TSUTAYA」における古物営業法違反(不正品申告義務違反)の発生以降、古物商への盗品等の流入防止対策を強化しているところであるが、依然として、被疑者が盗品等を古物商において処分している実態が認められる」ことから、古物商に対する指導徹底を図るという。青少年健全育成の観点から、買取の相手方が18歳未満の場合は保護者の同伴や同意書を持参させるなど、保護者の同意確認を依頼するほか、古物営業法の「防犯三大義務」(取引相手の本人確認義務、不正品の申告義務、帳簿等への記載義務)の徹底などを指導するという。
※ 長野県は青少年条例を制定していないが、長野市の「長野市青少年保護育成条例」は古物商が青少年から「古物(書籍を除く。)」を買い取ることを原則として禁止している。ただし、保護者の同意がある場合などは買い取りが認められている。
8月29日
『日本経済新聞』夕刊17面に「センサー遮断のバッグで万引き 容疑者の3人警視庁逮捕」という記事が掲載される。記事によると、レンタルビデオ店からDVDを万引きした窃盗容疑で、警視庁少年事件課は29日までに24歳、17歳、18歳の3人を逮捕したという。容疑者らは盗難防止センサーを遮断するバッグの作り方をインターネットで見つけて自作。2010年10月~今年7月に都内などの大手レンタルビデオ店から販売用のDVD約200万円分を万引きし、別のレンタルビデオ店に約160回にわたって計約120万円で売却していたという。また『読売新聞』夕刊15面に掲載された「センサーに反応なし 特殊バッグで万引き 容疑の3人逮捕」という記事によると、警視庁は買い取り店についても盗品と気付きながら買い取った疑いがあるとみて調べているという。『朝日新聞』夕刊12面には「バッグ改造、防犯センサー遮断 DVD万引き容疑 少年ら3人を逮捕」という記事が掲載された。
8月30日
『毎日新聞』(東京版)23面に「特殊加工バッグで万引き 葛飾・DVD4枚 3容疑者逮捕」という記事が掲載される。『産経新聞』(東京版)23面には「万引防止装置欺きDVDを盗み転売 容疑の3人逮捕」、『東京新聞』(東京版)26面には「DVD万引き容疑で3人逮捕」という記事が掲載された。
10月18日
1.千葉県警は古物営業法に係る処分基準の改定について意見募集を開始した。公表された資料によると「大手古物商における不正品申告義務違反等事件の発生により、古物商の3大義務(相手方の身分確認義務、不正品申告義務、帳簿等の記載義務)違反に係る処分基準が他の義務違反と比較して軽いことが再認識されたこと」や「警察庁から改定したモデル基準が示されたこと」などから、処分基準を改めるという。具体的には、公安委員会による営業停止命令の最長期間を120日から6か月にするほか、法令違反の回数に応じて営業停止14日~30日だった3大義務違反に対する量定を回数を問わず営業停止1か月にするなど処分を重くする。募集期間は2012年11月16日まで。
2.『読売新聞』夕刊13面に「DVD買い取り2店捜索 警視庁、盗品譲り受け容疑」という記事が掲載される。記事によると、警視庁は18日、中古品買い取り販売チェーン「エンターキング」の綾瀬店と草加店を盗品等有償譲り受け容疑で捜索したという。同庁は8月、万引き防止センサーが反応しない加工を施したバッグを使ってDVDを万引きしたとして、少年ら3人を逮捕。その後の調べで少年らは2010年10月から今年8月までの間、万引きしたDVDなど約850枚をエンターキングの5店舗に持ち込み約161万円で売却していたことが判明しており、捜索を受けた両店はDVDなど計9枚を盗品と知りながら買い取った疑いがあるという。『毎日新聞』夕刊12面には「中古品販売店を捜索 警視庁 万引き品買い取り容疑」という記事が掲載された。
3.エンターキングを運営するサンセットコーポレイションは、草加店・綾瀬店が万引き事件で警視庁の家宅捜索を受けたと発表した。発表では「現段階で、捜査令状の確認も出来ておらず、只今当社では事実確認に努めております」「捜査に全面協力すると共に、事実確認後、真摯に対応して参ります」としている。なお、不正品の買取防止策については「POSシステム上で同一店舗にて、同一人物からの同一商品の買取の際に、警告が出るシステムを導入しております」「買取の際は同一商品の2点以上の買取を行わない旨を、お客様にもお知らせし、スタッフも徹底して行うよう指導しております」と説明している。
4.『朝日新聞』夕刊10面に「「万引き用バッグ」に苦慮」 防犯センサーすり抜け窃盗容疑」という記事が掲載される。
12月6日
1.『東京新聞』夕刊9面に「盗品のDVDを買い取り容疑 店員を書類送検」という記事が掲載される。記事によると、警視庁少年事件課は6日、盗品等有償譲り受け容疑でDVD買い取り販売店「エンターキング」の男性店員(23)を書類送検したという。エンターキング草加店で6月19日に無職少年(18)ら3人が盗んだDVD3枚(約2万7千円相当)を盗品と知りながら9千5百円で買い取った疑いがあるといい、警視庁は少年らが頻繁に最新作などを持ち込んでいたことから盗品と認識していたと判断。店員は調べに「実績向上のため不正品と思いつつ買い取った」と話しているという。
2.盗品等有償譲り受け容疑で10月18日に運営店舗が家宅捜索を受けたサンセットコーポレイションは経過報告を発表した。エンターキング草加店社員が書類送検されたとの報道には「現時点で書類送検の事実を確認できておらず、只今事実確認に努めております」「今件において不正品と分かっていて故意に買取を行った事実はないと考えておりますが、疑いを持つに至れなかった事実については、大いに反省し、重く受け止めております」とコメント。同社は不正品の買取防止を強化するため、11月1日に買取マニュアル、POSシステムを改訂・改修したほか、12月10日からは勉強会をスタートさせるという。
12月7日
『毎日新聞』31面に「盗品買い取りで従業員書類送検 容疑認める」という記事が掲載される。
2013年(H25)
2月12日
大分県公安委員会が開催される。公表された議事概要によると、古物営業法などの処分基準の改定について、パブリックコメントを実施することを決定したという。
2月13日
大分県警は古物営業法に係る処分基準の改定について意見募集を開始した。公表された資料によると「近年、貴金属、CD・DVD、ゲームソフト等の古物を大量に取り扱う古物商が増加し、他県では、古物商が古物営業法に基づく義務を怠ったことにより、大量の盗品を買い取るといった事案が発生したことなどから、古物営業法に基づく指示、営業停止命令及び許可の取り消しに係る処分基準を改定する」という。法令違反の回数に応じて14~30日だった3大義務(取引相手の確認義務、不正品申告義務、帳簿等への記載義務)違反に対する営業停止期間を1月にするほか、営業停止命令の最長期間を120日から6か月にするなど処分を重くする。募集期間は2013年3月12日まで。
2月22日
警視庁は「身近な犯罪の防止と規範意識の向上」についてのアンケート結果を発表した。公表された資料によると、調査は2012年12月19日~12月28日に「平成24年度けいしちょう安全安心モニター」950人を対象にインターネットで実施。865人(91.1%)の回答を得たという。万引き対策で最も力を入れるべきことを尋ねたところ「店員による声掛けや防犯カメラの設置など万引きをさせない店づくり」36.3%、「少年への指導や教育による規範意識の向上」21.0%、「万引き犯人の警察への引渡しの徹底」19.5%、「リサイクルショップ等による万引きした商品を買取りしない取組」11.4%、「新聞やテレビによる広報やキャンペーンの実施」5.7%、「その他」6.0%だったという。さらに
【事例】
高校生の少年A君は、近所の書店から人気歌手のCDや新作映画のDVDを万引きし、別のお店に転売することを思いつきました。
A君が盗んだCDやDVDを売りに行ったお店では、未成年者からの買取りの際、運転免許証や学生証などによる身分確認と、保護者の同意書を確認していました。そのため、「親に知られては面倒だ。」と思ったA君は、学校の先輩から同意書の保護者欄に署名してもらい、それを提出して転売しました。
※ 「古物営業法」では、盗品の流通を防止するため、リサイクルショップ等がバイク(部品を含む。)・CDやDVD・ゲームソフト・書籍の取引をする場合は、金額を問わず買取り時に身分確認をすることを義務付けています。
また、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」では、リサイクルショップ等が18歳未満の者からの品物の買取りをする場合、その保護者の同伴若しくは同意を得ているときを除いて禁止しています。
という説明に続いて買取り制度について質問すると、以下の結果になったという(n=865)。
Q14 少年から品物を買い取ることについて、どう思いますか。
該当する項目を1つだけ選んでください。
少年から品物を買い取ること自体が問題だ 64.6% 保護者の同意と身分確認をしっかり行えば問題ない 23.9% 盗品ではないかよく確認すれば問題ない 10.1% 特に問題はない 1.4%
Q15 少年による盗品の転売を防ぐためには、買取り店側はどのようなことに気をつければいいと思いますか。
該当する項目を1つだけ選んでください。
少年から買取りをしない 33.5% 保護者同伴のほかは少年からの買取りをしない 29.9% 保護者への電話連絡など確実な同意の確認をする 21.0% 新品や同一商品など盗品の疑いがある品物は買い取らない 14.0% その他 0.9% 特に気を付けるべきことはない 0.6%
3月27日
青森県は県内の小・中・高校生1300人を対象とした「青少年の意識に関する調査」結果報告書を発表した。「あなたは、過去1年の間に、保護者に知らせないで、ゲームソフトやマンガ本などを買い取り店に売ったことがありますか」という質問に「ある」と答えた割合は2.3%(29人)だったという(無回答15人)。「ある」と回答した者に当てはまる売却理由をすべて選ばせたところ、「何度も使用したり見たりして飽きてしまったから」が65.4%(17人)、「お金に換えたかったから」が46.2%(12人)、「おもしろい物ではなかったから」が19.2%(5人)、「その他」が3.8%(1人)だったという(無回答3人)。調査時期は2012年6月~7月。前回の調査結果は2011年3月に公表されている。
3月29日
運営店舗が盗品等有償譲り受け容疑で家宅捜索を受けたサンセットコーポレイションは経過報告を発表した。発表によると、昨年10月18日に家宅捜索された2店舗のうち、エンターキング綾瀬店は書類送検が見送られ、同草加店は「盗品と分かっていながら故意に買取をした事実はないものの「盗品だと気付けて然るべき」」として社員一名が書類送検されたという。社員の起訴、不起訴処分および行政処分の有無は決まっておらず、進捗がありしだい発表するという。
5月1日
中古品買い取り販売チェーン「エンターキング」を運営するサンセットコーポレイションは盗品等有償譲り受け容疑で家宅捜索を受けた事件の経過報告を発表した。「盗品の疑いがあると知りながら買取った疑い」があるとして昨年12月6日に書類送検されたエンターキング草加店社員は、4月10日時点で不起訴処分になっていたことがわかったという。今後の経営については「正式な公安委員会の裁定を待ちながら、一層の不正品買取防止に努め、社会正義に準じた企業の姿勢を示していく」と説明している。
7月16日
中古品買い取り販売チェーン「エンターキング」を運営するサンセットコーポレイションは盗品等有償譲り受け容疑の処分が確定したと発表した。古物営業許可の取消しや営業停止命令には至らなかったものの、エンターキング草加店の一部取引で商品の特徴が記載されていない帳簿等記載等義務違反が見つかったという。このため埼玉県公安委員会より同店に対し、「古物の売買等をしたときは、その都度、法第16号各号に掲げる事項を帳簿等に記載し、又は電磁的方法により記録しておくこと」という指示処分があったという。この処分決定をもって一連の捜査、ならびに処分は全て確定したという。
<出版業界による規制強化運動以後(H14~)の古物買受け規制の強化内容一覧>
※「着用済み下着等の買受け等の禁止」を除く。
(1)古物買受け規制を新設
秋田県(H15.10)、東京都(H16.3)、鳥取県(H16.12)、大阪府(H17.10)、青森県(H18.10)、岩手県(H19.3)
(2)「書籍」の除外規定を削除
群馬県(H15.12)、千葉県(H17.2)、宮城県(H17.3)、愛知県(H17.3)※罰則なし、熊本県(H17.3)、大分県(H17.3)、岐阜県(H17.10)、兵庫県(H17.12)、岡山県(H18.3)、三重県(H18.3)※罰則なし、鹿児島県(H18.3)、沖縄県(H18.3)、栃木県(H18.10)、静岡県(H18.10)、島根県(H19.3)、石川県(H19.3)
(3)罰則を新設
愛媛県(H17.10)、福岡県(H18.3)、栃木県(H18.10)
(4)罰則を強化
群馬県(H19.3)
【関連リンク】
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