■「有害」規制ニュース
4都県が共同して取り組むゲームソフト規制について、神奈川県は2006年2月6日、県児童福祉審議会社会環境部会で検討の方向性を明らかにした。当日配布された資料によると、今後、(1)各都県共同で指定対象ゲームソフトを選定できるよう、各県の選定基準等を踏まえた一定の選定基準の設定、(2)(1)の基準により選定されたゲームソフトの購入(試買)数量の割振り、試買対象リスト作成の分担等を事務レベルで検討するという。
事務局は検討の方向性について、「こちらに一任されている」と説明。ただ、青少年課長は「4都県の基準も鋭意検討したいが(次回の審議会が開かれる)5月までというのは難しい」という見通しを示している。
4都県では2005年6月に神奈川県、9月に埼玉県、12月に千葉県が同一のゲームソフト1本を個別指定している。共同基準が設定された場合は、基準にそってゲームソフトが選定され、各都県の審議会に諮問されることになる。なお、神奈川県は業界が新たに設ける「Z」区分のゲームソフトを次回の審議会で視聴し、団体指定の導入について引き続き協議する予定だ。
(2006/2/14 06:15)
【関連情報】
1.神奈川県は2005年5月30日、県児童福祉審議会社会環境部会にゲームソフトを諮問したさい、次のような選定基準を示している(資料1「諮問対象のゲームソフトについて」より抜粋)。
○ 諮問対象の選定について 今回、諮問対象を一定の基準により選定するために、次の2要件に該当するゲームソフトを諮問対象としました。 1 サンプル要件 サンプル試買のための要件であり、次のいずれかの要件に該当するものを諮問候補とする。 (1) 青少年の健全育成の観点から懸念される内容として、新聞等により近年話題となったもの (2) 現在、県内の販売店において誰でも容易に購入できる状態で陳列されており、そのパッケージの表示から残虐な内容、反社会的な内容等を推測されるもの (3) 雑誌やインターネットのサイト等で、その内容が残虐性や反社会性等を有するとの指摘されているもの 2 現実性要件 サンプル試買したものの中から、あらかじめその映像を確認し、次の要件に全て該当するものを諮問対象とする。 (1) 殺傷又は暴力の対象が現存の生命体と認められること(対象の現実性) (2) 殺傷又は暴力の手段が現実に採り得ると認められること(手段の現実性) (3) ゲームの場面設定が限りなく現実の社会に近いと認められること(場面の現実性) |
2.埼玉県は2005年9月9日、県青少年健全育成審議会にゲームソフトを諮問している。このとき示された選定基準は次のページで確認することができる。
▼「諮問の対象とする残虐なゲームソフトの選定要領」
http://www.pref.saitama.lg.jp/A01/BR00/seisyounen/03sinngikai/gijiroku/h17-18/siryo2-23.htm
3.千葉県は2005年11月17日、県青少年問題協議会指導育成部会にゲームソフトを諮問している。このとき1や2のような選定基準は示されていない。
4.テレビゲーム業界にレーティング制度の見直しなどを求めていた東京都は2005年12月1日、第2回「テレビゲームと子どもに関する協議会」を開催している。このとき、ソフトの審査を担当しているNPO法人のCEROは、2006年2月1日以降に受付けた審査から、従来の年齢別表記を「A」「B」「C」「D」とし、新たに「Z」区分を設けると発表している。また、業界団体のCESAは「Z」区分を「18歳未満販売禁止」にする方針を示している。
なお、神奈川県の青少年課長は2006年2月6日、県児童福祉審議会社会環境部会において、これまで「18歳以上対象」とされてきたゲームソフトは、「もう1回レーティング」し直される予定であると述べている。
5.「Z」区分=「18歳未満販売禁止」だとして、「Z」区分とされたゲームソフトは個別指定されないのだろうか。
書籍では、「18禁」表示の有無に関係なく個別指定されている。群馬県や岡山県などで個別指定されていた鶴見済『完全自殺マニュアル』(1993年)は、1999年8月以降、出版社が著者の意向に反して、「18歳未満の方の購入はご遠慮ください。」という帯を付け、本全体をビニールパックしたが、その後も埼玉県(2001年2月9日)や愛知県(2005年7月8日)で個別指定されている。
【注】
事務局や青少年課長の発言内容は傍聴人のメモによった。
【関連リンク】
▼残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き