■「有害」規制に関する用語集

 

帯紙措置

<帯紙措置の概要>

 出版界の業界団体・出版倫理協議会(日本出版取次協会、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本書店商業組合連合会の4団体で構成)による自主規制の一つ。東京都青少年健全育成審議会において、連続3回または年通算5回「不健全」指定を受けた雑誌類に対し、次の号から「18歳未満の方々には販売できません」という帯紙をつけるよう通知するというもの。帯紙をつけない雑誌は取次で扱われず、たとえ帯紙がついていても販売店から注文がない限り送品されない。昭和40年6月1日から実施されている。

 

<帯紙措置の流れ>

(1)雑誌類が東京都青少年健全育成審議会において、連続3回または年通算5回「不健全」指定を受ける。

(2)(1)の雑誌類を発行する出版社に対し、出版倫理協議会が次号から帯紙をつけるよう通知する。

(3)出版社は該当誌の全てに帯紙をつけなければならず、帯紙のないものは取次で扱われない。

(4)取次は帯紙措置を適用された雑誌類を販売店に送品するさい、定期部数の再確認を行い、必要部数の申し込みを受ける。申し込みのない販売店への送品は行われない。

(5)この帯紙措置を適用されると、「流通部数が極端に減ってしまうために、休刊(実質的な廃刊)を余儀なくされてしまうのが通例」(長岡義幸「東京都「不健全」図書指定に宝島社の反撃」『創』2001年1-2月号、115頁)という。

 

<帯紙措置の特徴>

(1)「出版倫理協議会の自主規制についての申し合わせ」(昭和40年5月7日)では、帯紙措置の導入について、次のように説明している。

 当協議会は、青少年の健全育成の世論にそい、業界の自主規制を促進する一策として、種々の協議の結果、昭和40年6月1日以降、つぎのような措置を実行することに決定いたしました。

(2)「出版倫理協議会の自主規制についての申し合わせ」(昭和40年5月7日)では、帯紙措置の対象について、「東京都青少年健全育成審議会で、青少年の健全な育成を阻害するものとして、連続3回の指定を受けた雑誌類」または「年通算五回指定されたもの」と定めている。

(3)東京都はいわゆる「包括指定」を導入していないが、たとえ導入したとしても、東京都青少年健全育成審議会による指定ではないため、帯紙措置は適用されない。

(4)東京都はいわゆる「緊急指定」を導入していないが、小委員会制度を導入している。小委員会の決定は東京都青少年健全育成審議会の決定と同じ効力を有するため、帯紙措置の適用がある。

(5)東京都青少年健全育成審議会は、連続3回または年通算5回「不健全」指定を行うことで、その雑誌類を休刊に追い込むことが可能である。

(6)「出版倫理協議会の自主規制についての申し合わせ」(昭和40年5月7日)では、帯紙の形状について、「「18歳未満の方々には販売できません」という字句を印刷した帯紙(幅3センチ以上5センチ、薄いブルーまたはグリーン)」と定めている。

 

【関連リンク】

宝島社裁判と帯紙措置

出版倫理協議会による流通規制

 

<関連情報>

1.帯紙措置が適用された最近の例としては、コアマガジン発行の雑誌『お宝ワイドショー』(隔月刊)が、2003年8月、10月、12月の東京都青少年健全育成審議会で連続3回「不健全」指定を受け、休刊している。

▼東京都「不健全」指定状況一覧

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/sitei/tokyo.htm(「有害」規制監視隊)

2.包括指定緊急指定の導入を検討していた東京都青少年問題協議会は2004年1月、これらの導入を見送り、小委員会を常設とするなど、個別指定を強化すべきだと提言している。これは、包括指定では帯紙措置が適用されないこと、小委員会による個別指定には帯紙措置の適用があること――などを考慮した結果だと思われる。

3.東京都青少年健全育成審議会の運営について定めた「東京都青少年健全育成審議会運営要領」は次の通りである。

東京都青少年健全育成審議会運営要領

昭和39年10月7日第  1回審議会決定

昭和60年1月22日第275回審議会決定

平成 4年3月31日第363回審議会決定

平成12年1月20日第476回審議会決定

平成13年6月21日第495回審議会決定

平成16年5月20日第530回審議会決定

1 運営方針

 審議会は、知事が東京都青少年の健全な育成に関する条例(昭和39年東京都条例第181号)(以下「条例」という。)に基づき、青少年を健全に育成することを目的として、図書類及び映画等並びにがん具類並びに刃物並びに広告物について推奨、指定又は措置命令をするに当たり、世論の代表として適切な審議を行い、もって公正な意見を述べる。

 

2 審議会の任務

(1) 条例第5条の規定に基づき、知事が、図書類及び映画等並びにがん具類について、青少年を健全に育成する上で有益であると認められるものを推奨するに際して、意見を述べる。

(2) 条例第8条の規定に基づき、知事が、図書類及び映画等並びにがん具類並びに刃物について、青少年の健全な育成を阻害するものとして指定するに際して、意見を述べる。

(3) 条例第14条の規定に基づき、知事が、広告物について、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認め、形態又は内容の変更その他必要な措置を命ずるに際して、意見を述べる。

 

3 審議の方法

(1) 図書類について

 図書類については、委員が審議会において当該図書類を閲覧又は観覧し、審議する。ただし、審議会において閲覧又は観覧することが困難なものについては、委員が審議会開催日前に当該図書類を閲覧又は観覧し、審議会において審議する。

(2) 映画等について

 映画等については、委員が審議会開催日前に当該映画等観覧し、審議会において審議する。

(3) がん具類について

 がん具類については、委員が審議会において当該がん具類を実見し、審議する。

(4) 刃物について

 刃物については、委員が審議会において当該刃物を実見し、審議する。

(5) 有害広告物について

 広告物については、委員が審議会において当該広告物の写真を実見し、審議する。

 

4 専門委員

(1) 知事は、専門の事項を調査するため必要があると認めるときは、審議会に専門委員を置くことができる。

(2) 委員は、専門委員の設置、調査事項等について、意見を述べることができる。

 

5 会議

(1) 審議会は公開で行うものとする。ただし、審議会の決定により非公開とすることができる。

(2) 審議会の会議録等は、公開するものとする。ただし、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)第7条の規定に該当する箇所を除く。

 

6 開催

審議会は、原則としておおむね、月一回開催する.

 

7 小委員会

(1) 開催

 小委員会は、次のいずれかに該当し、会長が必要と認める場合に開催する。

① 指定直後の時期に相当に販売され、又は頒布されている図書類等が、迅速に不健全図書類として指定する必要があると認められる場合

② 定期刊行物等で販売期間が比較的短期であるため、審議会に条例第18条の2の規定に基づく諮問をするいとまがないと認められる図書類が相当に販売又は貸出に供されている状況にある場合

(2) 委員の指名

 小委員会の委員の指名は、条例第20条各号に掲げる区分ごとに、原則として順番に行う。

(3) 議決等

① 条例第24条の2第6項の規定に基づき、小委員会の議決は、審議会の議決とする。

② 小委員会は、当該審議事項について、審議会で審議すべきである旨の決定を行うことができる。

③ 前項の決定があったときは、会長は、速やかに知事にその旨を連絡する。

(4) 報告

 会長は、小委員会の決議について、直近の時期に開催される審議会に報告し、その確認を受けなければならない。

 

8 事務

 審議会の庶務は、生活文化局都民生活部男女平等参画・青少年対策室において行う。

 

   附則

 この要領は、平成4年7月23日から施行する。

 

   附則

 この要領は、平成12年1月20日から施行する。

 

   附則

 この要領は、平成13年7月16日から施行する。

 

   附則

 この要領は、平成16年6月1日から施行する。


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