■「有害」規制法案・条例の状況

 

神奈川県青少年保護育成条例


<H16-1>

1.松沢成文・神奈川県知事は2003年11月18日の定例記者会見で、「有害」図書の販売方法に対し、「棚を変えただけではほとんど一緒」「きっちりと壁の仕切りをするなどもう少しさまざまな規制強化をした方がいいんじゃないか」と述べている。一方、「有害」図書の判断については、「表現の自由との関係でかなり難しい点がある」との認識を示している。(2003/11/27)

▼「定例記者会見(2003.11.18)結果概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/031118.htm

 

2.毎日新聞ホームページに2003年11月26日付で掲載された「市長の権限を強化へ 県青少年保護条例運用で合意--三首長懇」という記事などによると、松沢成文・神奈川県知事、中田宏・横浜市長、阿部孝夫・川崎市長は25日、県青少年保護育成条例を改定し、書店などへの立ち入り調査権を両市長が指定した者にも認めていく方向で合意したという。(2003/11/27)

▼「市長の権限を強化へ 県青少年保護条例運用で合意--三首長懇」

http://www.mainichi.co.jp/area/kanagawa/news/20031126k0000c014003000c.html

▼「青少年育成で連携確認」

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news02.asp?kiji=4805

▼「少年犯罪抑制 条例見直しへ」

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news002.htm

 

<H16-2>

1.『東京新聞』2004年5月14日付「8都県市 連携めぐり白熱」という記事によると、松沢成文・神奈川県知事は、12日に開催された8都県市首脳会議(首都圏サミット)の席上、青少年条例について、「神奈川では、都の条例改正の内容との共通化を目指し、事務作業を進めている」と述べたという。(2004/5/14 09:30)

 

2.神奈川県は平成16年度中に「かながわ青少年育成指針(仮称)」を策定する方針である。「有害」規制に係る項目が盛り込まれるかは不明。(2004/5/16 06:30)

 

<H16-3>

 神奈川県は2004年9月14日に県児童福祉審議会社会環境部会の開催を予定している。

 八都県市では青少年条例による規制の強化・共通化を進めているが、神奈川県児童福祉審議会社会環境部会も2004年5月27日、今年度の重点的協議事項を「深夜営業及び有害情報の氾濫の状況等について」としている。また、横浜市では、「有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会」を設置し、2004年7月28日に第1回の会議を開催。9月上旬に第2回の開催を予定している。さらに埼玉県では、共通化とは別に独自の規制を盛り込んだ青少年条例改定案を9月県議会に提出する予定だ。

 神奈川県が条例を改定・共通化する際にも、社会環境部会や販売防止対策検討委員会の議論によっては、独自の規制を行う可能性がある。(2004/9/2 01:30)

 

<H16-4>

1.『朝日新聞』2004年10月23日付「18歳未満深夜外出ダメ 親の義務に 「意識薄い」と条例化 神奈川」という記事によると、神奈川県は22日、青少年保護育成条例を改定し、現行の「深夜(午後11時から翌朝4時)に、青少年を外出させないよう努めなければならない」という保護者への努力規定を「深夜に青少年を外出させないようにしなければならない」という義務規定にする方針だという。罰則は設けないといい、県は来年2月の県議会に条例改定案を提出したい考えだという。

 また、『神奈川新聞』2004年10月23日付「県青少年保護育成条例改正案 保護者責任を義務化 県議会提案へ 深夜外出抑止で全国初」という記事によると、「有害図書」のビニール包装なども改定案に盛り込むという。(2004/10/23 06:30)

 

2.神奈川県青少年保護育成条例では、「深夜外出の制限」について次のように規定している。

(深夜外出の制限)

第5条 保護者は、特別の事情がある場合の外は、深夜(午後11時から午前4時までの間をいう。以下同じ。)に、青少年を外出させないように努めなければならない。

2 何人も、正当の理由なく保護者の嘱託又は承諾を得ないで、深夜に青少年を同行して外出してはならない。

 『神奈川県青少年保護育成条例の解説』(2002年4月発行)では、この規定の要旨を次のように説明している。

 「本条は、青少年の深夜外出を制限することによって、望ましくない誘惑や危害から守ろうとするものである」(14頁)

 なお、この『解説』によると、「『特別の事情がある場合』とは、例えば、夜学、夜勤、新聞配達等で外出する場合、火災、盗難、急病等の緊急事態を急報する場合又は青少年健全育成活動の一環として指導者のもとに行われるスポーツ等の合宿、ナイトウオークラリー等への参加の場合がこれに該当する」という。また、「『深夜外出』とは、午後11時から午前4時までの間、青少年がその住居所を離れているすべての状態をいうもので、街路通行、はいかいはもちろん、旅館やその他の宿泊等も当然に外出とみなされるものである」という。(2004/10/23 06:40)

 

<H16-5>

 松沢成文・神奈川県知事は2004年10月22日の定例記者会見で、青少年保護育成条例の見直しについて、「青少年の深夜外出の抑止」「有害情報の規制」「性的被害の防止」という3つの方向性を示した。具体的には、八都県市で進めている深夜立入制限施設の共通化や生セラ規制、スカウト規制の新設を行うほか、区分陳列規制や自販機規制の強化、さらにはインターネットの「有害情報」対策も検討しているという。今後は、横浜・川崎の両市長と行う三首長懇談会や、八都県市首脳会議(首都圏サミット)などの議論を踏まえ、来年2月にも条例改定案を提出したい考えだという。「定例記者会見(2004.10.22)結果概要」や参考資料は次のページで確認できる。(2004/10/26 07:00)

▼「知事定例記者会見」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/kaikenhyou.htm

 

<H16-6>

 「青少年の健全育成に向けた取組」などをテーマとした三首長懇談会は2004年10月27日に開催される。出席者は、松沢成文・神奈川県知事、阿部孝夫・川崎市長、中田宏・横浜市長(座長)。懇談会に関する情報は次のページで確認できる。(2004/10/27 07:00)

▼「第30回県・横浜・川崎三首長懇談会の開催について」

http://www.pref.kanagawa.jp/press/0410/21054/index.htm

 

<H16-7>

 『東京新聞』(横浜版)2004年10月28日付「水源税、両市長とも賛意 3首長懇談会 「都市部に還元を」 有害図書立ち入り権、市に委譲へ」という記事によると、松沢成文・神奈川県知事は27日に開かれた三首長懇談会で、県青少年保護育成条例改定案を説明し、中田宏・横浜市長と阿部孝夫・川崎市長はこれを前向きに評価したという。また、両市長は販売店への立ち入り調査権を政令市の職員にも移譲するよう知事に求めたという。(2004/10/28 23:40)

 

<H16-8>

 第46回八都県市首脳会議(首都圏サミット)は2004年11月10日に開催される。平成15年(2003年11月13日)および平成16年春(2004年5月12日)の首都圏サミットでは、青少年条例の強化・共通化を進めることが確認されている。また、松沢成文・神奈川県知事は2004年10月22日の定例記者会見で、今後は、首都圏サミットなどの議論を踏まえ、来年2月の県議会で青少年条例を改定したい考えを示している。(2004/11/10 05:00)

▼「第46回八都県市首脳会議の開催について」

http://www.pref.kanagawa.jp/press/0410/21098/index.htm

▼「知事定例記者会見」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/kaikenhyou.htm

 

<H16-9>

 「青少年の深夜外出防止対策と有害情報の効果的規制の考え方について」をテーマに平成16年度第3回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会が2004年11月29日に開かれた。参加者の話によると、神奈川県は12月1日~28日まで、青少年の深夜徘徊と「有害図書類」への規制のあり方について、県民意見を募集するという。県の施設などで「今日の青少年を取り巻く社会環境と青少年保護育成条例の見直しに関する県民意見の募集について」というリーフレットを配布するほか、県ホームページでも意見を募るという。提出された意見は事務局でまとめられ、平成16年度第4回社会環境部会(2005年2月7日開催予定)の参考資料になるという。(2004/11/30 07:30)

 

<H16-10>

 県青少年保護育成条例の見直しを検討している神奈川県は、(1)青少年の深夜外出の防止と社会の責務、(2)「有害情報」の氾濫と対策――をテーマに意見を募集している。募集期間は平成16年12月1日(水)~平成16年12月28日(火)。意見は郵便、FAX、電子メールいずれかの方法により提出する。提出された意見は事務局でまとめられ、平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会(2005年2月7日開催予定)の参考資料となる。提出先など詳しい内容は次のページで確認することができる。(2004/12/2 07:00)

▼「今日の青少年を取り巻く社会環境と青少年保護育成条例の見直しに関する県民意見の募集について」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jyorei.htm

 

<H16-11>

1.神奈川県は「神奈川県児童福祉審議会社会環境部会」を2005年2月7日(月)午前10時から開催する。会場はワークピア横浜2階(201号室)。傍聴の受付は、当日午前9時30分から9時45分まで会場において行われる(傍聴希望者が10人を超えた場合は抽選)。議題は「神奈川県青少年保護育成条例の見直しの概要について」など。(2005/1/26 06:40)

▼審議会等の会議開催予定

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/kaisai/index17-2.htm

 

2.『朝日新聞』(大阪版)2004年10月5日付夕刊に掲載された「『有害』雑誌封印大阪も 府、条例改正へ ビニール包装義務化」という記事によると、東京都で施行され、大阪府も導入する方針を固めたという「有害図書類」の包装義務化について、ミニストップ(本社・千葉市)は、「東京以外でもこうした動きは出てくると予想していた。今後は規制に先回りし、他の地域での措置も検討したい」と話しているという。

 

3.横浜市が設置する「有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会」では、「コンビニエンスストア販売実態調査」の一環として、チェーン本部13社に対するヒアリングが行われた。チェーン店への指導方針などをまとめた調査結果は2004年9月7日の第2回会合で配布されている。

 また、第5回会合(2005年1月26日開催)で配布された「青少年育成に向けての12の提言 -有害図書の青少年への販売防止対策-」(案)を「有害」規制監視隊が入手したところ、「業界・店舗に向けての提案」として次のような提言が盛り込まれていた。

提言5 青少年の育成に配慮した経営

 各店舗においては、有害図書を置かない、販売しないということだけでなく、青少年が安心して利用できるよう、青少年の育成に配慮した経営方針を採るべきだ。

 有害図書を置いていない店舗であるということを表示することや、PRすることで、地域のつながり、信頼関係を築き、地域に愛される店舗をめざしていくべきだ。

 もし、有害図書の販売を行うとしても、区分陳列・販売の徹底を図り、グレーゾーン誌のシール止めをはがれにくく目立つようにする、紐かけやビニール包装にするなどの工夫をさらに行うべきだ。

 また、各店舗では、「青少年への販売禁止」の徹底を図るとともに、立ち読みしている青少年がいた場合には、より積極的な声かけを行うべきだ。

 委員会は今後、2月に提言(案)を公開して市民から意見を募り、3月の第6回検討委員会で提言を確定する予定。

【関連リンク】

▼横浜市青少年問題協議会

http://www.city.yokohama.jp/me/shimin/seishonen/seisyoukyou.html

横浜市 グレーゾーン対策も検討へ 第2回販売防止対策検討委員会

 

4.平成16年度第3回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会(2004年11月29日開催)で配布された「青少年の深夜外出防止対策と有害情報の効果的規制の考え方 (神奈川県青少年保護育成条例の改正に向けて)」(案)を「有害」規制監視隊が入手したところ、「有害図書類」については次のような取組等が盛り込まれていた。

・「本県においても書籍等の個別名称が公表できる個別指定のあり方も再検討の必要がある」

・「今後は、区分陳列の実効性をより徹底するための区分陳列の強化が求められている。また、罰則のあり方として公表などの検討も必要である」

・「被覆機能を強化するため、有害図書類については、ひも掛け、ビニール包装を基本とする」

・「図書自動販売機そのものを社会環境阻害因子としてとらえ、遠隔監視システム付き自動販売機を明確に条例の規制対象とするとともに通学路等への設置を禁止する必要がある」

・「『例示通知』を個別指定に準じた位置づけにするなど、東京都の条例と実質的に同一となる取組を行い、コンビニエンスストア等の『非取り扱い図書』として、業界全体にこうしたメッセージを発信していく必要がある」

 神奈川県は2月7日に開かれる予定の県児童福祉審議会社会環境部会を経て、2月定例会に県青少年保護育成条例改定案を提出する見通し。(2005/2/4 07:30)

 

<H16-12>

1.神奈川県が発表した審議速報によると、平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会は県青少年保護育成条例の見直しなどについて協議したという。また、「残虐なゲームソフトの有害指定」について、「審議会の場で内容を確認する方法により審査することを確認した」という。条例改定案は2月15日に開会する平成17年2月定例会に提出され、3月23日に可決される見通し。(2005/2/9 07:15)

▼「審議速報」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/sokuhou/index17-2.htm

 

2.平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会を傍聴に行かれた方の話によると、受付時間を過ぎているとして傍聴を断られたという(実際、受付時間は過ぎていたという)。そこで、会議資料だけでも欲しいと伝えたところ、「規則」を盾に拒否されたという。青少年課に出向いて会議資料や「規則」についての説明を求めたところ、会議中で担当者がおらず、時間をおいて再び青少年課を訪れたところ、担当者から会議資料を受け取ることができたという(この担当者は資料の提供を拒否した人物とは別だったという)。会議資料の提供を禁止する「規則」とは一体どのような「規則」なのだろうか。そのような「規則」が本当にあるのだろうか。(2005/2/9 07:35)

 

<ゲーム-1>

1.『東京新聞』2005年3月2日付「残虐ゲーム有害指定へ 神奈川県 少年への販売を禁止」という記事によると、神奈川県は残虐な描写が登場するテレビゲームソフトを「有害図書類」に指定する方針を固めたという。1日の県議会委員会で明らかにされたといい、今後は東京都、千葉県、埼玉県にも共同歩調を呼びかけるという。また、5月の県児童福祉審議会社会環境部会で数件のソフトを審査するという。(2005/3/2 07:10)

 

2.神奈川県が2005年2月8日に発表した平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会の審議速報には、「残虐なゲームソフトの有害指定」について、「審議会の場で内容を確認する方法により審査することを確認した」とある。「審議会の場で内容を確認する方法」とは個別指定のことである。

▼「審議速報」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/sokuhou/index17-2.htm

 

3.「有害」規制監視隊が平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会で配布された資料を入手したところ、「特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)により『18歳以上対象』に区分されたゲームソフトの例」という資料が含まれていた。この資料では、PS2やXboxに対応したゲームソフト6本が紹介されており、5月の審議会ではこれらに類するソフトが個別指定されるのかもしれない。

 

4.個別指定の定義については、「包括指定に比べより概括的」(淺野博宣「パソコンゲームソフトの有害図書類指定」『法学教室』第246号別冊付録(2001年)、8頁)という批判がある。実際、包括指定を導入している県は、「有害」規制監視隊の意見に対し、「包括指定の基準に至らない図書類については、従来どおり「個別指定」により行うこととしております」(秋田県)、「包括指定の基準は、個別指定の基準から、より限定して定められています」(鳥取県)と回答している。また、個別指定は包括指定と異なり、写真や絵だけでなく、文章も規制できるほか、性表現に限らず、様々な表現を規制することが可能である。包括指定よりも強力な規制を行うことができる個別指定に何らかの歯止めが設けられない限り、「有害図書類」の範囲は今後も拡大し続けるだろう。

 

5.神奈川県は1999年10月に鶴見済『完全自殺マニュアル』(太田出版、1993年)を個別指定している。このとき審査、判定を行った神奈川県児童福祉審議会文化財部会には、平松雄造・神奈川新聞社写真部長兼論説委員が委員として出席していた。指定の是非を外部からチェックすべきメディア関係者が、公的規制の一部に組み込まれていたのはなぜだろうか?(2005/3/2 07:10)

 

<H16-13>

 松沢成文・神奈川県知事は2005年2月15日、平成17年2月定例会に提出した青少年保護育成条例改定案について次のように説明している。(2005/3/3 06:50)

 神奈川県青少年保護育成条例の一部を改正する条例は、近年、深夜営業を行う新たな施設の出現に伴う深夜外出の増大、有害図書類などによる有害情報の氾濫など、青少年を取り巻く社会環境が一段と悪化していることを踏まえ、青少年の健全な育成を図る観点から、深夜外出の制限、有害情報の規制などについて、所要の改正を行うものであります。

▼「議会(提案説明)」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/hatugen/gikai/list.htm

 

<ゲーム-2>

1.松沢成文・神奈川県知事は2005年3月2日の定例記者会見で、ゲームソフトを規制することについて、「青少年課、あるいは県民部の中で青少年保護育成条例を見直す中で、こういう視点もあるのではないかと、さまざまな議論をしている中で出てきた」と説明している。また、「今度の首都圏サミットでは、その有害図書の中のゲームソフト類、ビデオ類もきっちりと規制の対象にして、できるだけ共同の基準を作っていこうと、こういう議論になると思います」と述べ、5月に開かれる予定の首都圏サミットで規制の共通化を呼びかける方針を示している。定例記者会見の内容は次のページで確認することができる。(2005/3/8 07:45)

▼「定例記者会見(2005.3.2)結果概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050302.htm

 

2.神奈川県は2005年3月16日、県青少年保護育成条例改定案や「残虐なゲームソフトの有害指定」について協議した平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会の会議録を県ホームページに掲載した。会議録は次のページで確認することができる。

▼「神奈川県児童福祉審議会社会環境部会の概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/index.htm

 

※「残虐なゲームソフトの有害指定」にかかわる主な動き

2003年7月25日

 平成15年度第2回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会において、青少年課長が「最近、ゲームソフトなどの中に残虐性のあるソフトがございます。これは、図書類ということで規制はできますけれども、包括指定ができませんので、著しい残虐性の認められる内容のものにつきましては、一件一件、有害図書類として個別指定することについて当部会でご審議をしていただくことも考えています」と述べる。

10月22日

 平成15年度第3回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会において、ゲームソフトの規制について意見交換が行われる。

2004年11月29日

 平成16年度第3回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会において、県民部青少年課のまとめた「青少年の深夜外出防止対策と有害情報の効果的規制の考え方(案)」が配布される。「本県においても書籍等の個別名称が公表できる個別指定のあり方も再検討の必要がある」などの取組みが提起される。

2005年2月7日

 平成16年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会において、青少年課長から「ゲームソフトのうち残虐性等が認められるものを有害図書類として指定をしたい」という考えが示され、審議会の場で審査することが決まる。

3月2日

 松沢成文・神奈川県知事は定例記者会見で、ゲームソフトを規制することについて、「青少年課、あるいは県民部の中で青少年保護育成条例を見直す中で、こういう視点もあるのではないかと、さまざまな議論をしている中で出てきた」と説明。また、「今度の首都圏サミットでは、その有害図書の中のゲームソフト類、ビデオ類もきっちりと規制の対象にして、できるだけ共同の基準を作っていこうと、こういう議論になると思います」と述べ、5月に開かれる予定の首都圏サミットで規制の共通化を呼びかける方針を明らかにした。定例記者会見の内容は次のページで確認することができる。

▼「定例記者会見(2005.3.2)結果概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050302.htm

(2005/3/17 00:20)

 

<H16-14>

 神奈川県議会は2005年3月23日、平成17年2月定例会に提出されていた「神奈川県青少年保護育成条例の一部を改正する条例」を可決した。改定により、八都県市で共通化を進めているカラオケボックス、漫画喫茶、インターネットカフェへの青少年の深夜入場の禁止、生セラ・スカウトの禁止、保護者の同意を得ない古物(書籍・CD等)の買い受け行為の禁止――などが新設された。また、保護者に対する青少年の深夜外出抑止義務(罰則はない)や、区分陳列命令に従わない場合の公表措置、青少年のインターネット利用に関する努力義務なども新設されている。新条例は10月1日から施行される。ただし、生セラ・スカウト規制に係る部分などは7月1日から施行される。(2005/3/25 06:40)

 

<ゲーム-3>

1.神奈川県は県児童福祉審議会社会環境部会を2005年5月30日(月)午前10時から開催する。会場はワークピア横浜3階(301号室)。傍聴の受付は、当日午前9時30分から9時45分まで会場において行われる。議題は「神奈川県青少年保護育成条例第7条第1項の規定に基づく有害図書類の指定について」など。(2005/5/10 07:15)

▼審議会等の会議開催予定

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/kaisai/index17-5.htm

 

2.「残虐なゲームソフトの有害指定」について検討していた神奈川県児童福祉審議会社会環境部会は2005年2月、(1)審議会の場で内容を確認する、(2)コンピュータエンターテインメント協会による年齢区分表示を参考に審査対象を選定する――などを確認している。

 「有害」規制監視隊がこの審議会で配布された「特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)により『18歳以上対象』に区分されたゲームソフトの例」という資料を入手したところ、PS2やXboxに対応したゲームソフト6本が掲載されていた。30日の審議会ではこれらに類するソフトが審査されるのかもしれない。(2005/5/10 07:15)

 

<ゲーム-4>

 『読売新聞』2005年5月26日付39面「残虐ゲームソフト規制 神奈川県来月にも 18歳未満販売禁止」という記事によると、神奈川県は30日の県児童福祉審議会にゲームソフト1本を諮問するという。(2005/5/26 06:00)

 

<ゲーム-5>

1.松沢成文・神奈川県知事は5月25日の定例記者会見で、ゲームソフトを規制することについて、30日の県児童福祉審議会社会環境部会に「暴力性や残虐性が極めて高いものを、1本諮問したい」という方針を示した。また、「次の首都圏サミットで提起をしまして、できれば、一都三県の条例でそういう規定がありますので、それを利用して共通の規制にしていけるように提起をしていきたい」と述べ、3月の定例記者会見に続き、再度、ゲームソフトの規制共通化を首都圏サミットで呼び掛けたい考えを示した。次回の首都圏サミットは11月の予定。

 定例記者会見の内容は次のページで確認することができる。(2005/5/27 06:40)

▼「定例記者会見(2005.5.25)結果概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050525.htm

 

2.知事は25日の記者会見で「ゲームソフト名につきましては、審議に予断を与えかねないことから、ここでは差し控えさせていただきます」「暴力シーンとか残虐シーンがあるゲームソフトでありますけれども、これは、あくまでも審議会で規制するかどうかを審議して決まるわけで、まだそういう段階になっていませんので、ここで私が個別名を挙げますと、そのゲームソフト制作者にも迷惑が掛かってしまいますので、個別名は避けたいというふうに思います」と述べている。

 ところが、2005年2月7日の県児童福祉審議会社会環境部会で配布された「特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)により『18歳以上対象』に区分されたゲームソフトの例」という資料には、ゲームソフト6本分の個別名、メーカー名、対応機種、内容、そしてパッケージの写真が掲載されていた。

 青少年課長は記者会見で、「どこの量販店でも手に入る、かなり流通がされているというのと、それから雑誌、インターネット等で残虐性がうたわれているもの、そして、実際に量販店に行って、パッケージや説明文を見て、その中から6本を抽出しました」と述べていることから、30日の審議会では2月の時点で示されていた6本のうち1本が審査されるものと思われる。(2005/5/27 06:55)

 

<ゲーム-6>

1.神奈川県は2005年5月30日に開かれた県児童福祉審議会社会環境部会にゲームソフト「グランド・セフト・オートⅢ」を個別指定すべきか諮問した。傍聴した方によると、審議会は「有害」指定すべきだとして、指定に向けた手続きが進められることとなったという。指定の告示は6月7日に予定されているという。(2005/5/30 20:00)

写真=当日の審議会会場の様子。写真左のスクリーンにゲームソフトの映像を映し出し審議が行われた。映写時間は10分程度。奥に並んでいる6人が審議会委員。

 

2.2005年2月7日の神奈川県児童福祉審議会社会環境部会で配布された「特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)により『18歳以上対象』に区分されたゲームソフトの例」という資料には、ゲームソフト6本分の個別名などが掲載されていた。ただし、「グランド・セフト・オートⅢ」は含まれていなかった。

 

3.県児童福祉審議会社会環境部会では、条例に関する新聞記事が毎回配布されている。過去の審議会で配られたもののなかには、『朝日新聞』2003年10月7日付22面「過激シーン、即現実に ゲームソフト 販売規制へ母子ら活動」というものが含まれていた。この記事では、アメリカで起きた乱射事件の容疑者が「グランド・セフト・オートⅢ」をプレーしていたこと、同ソフトが日本でも発売されたことなどを報じている。県が諮問対象を選定した際には、この記事も参考にしたものと思われる。

 

4.「グランド・セフト・オートⅢ」は2004年9月21日の愛知県議会平成16年9月定例会でも取り上げられていた。こうした動きも神奈川県による諮問に影響を与えた可能性がある。

 

5.傍聴された方は、「一部の委員は『規制だけで問題は解決しない』などと話していたが、規制のことしか検討していない。『業界の方から直接お話を聞く機会があればいい』とも話していたが、話を聞く前に規制している」として、指定実績を作ること自体が目的になっていたと指摘。また、「規制が健全育成を達成するために有効な手段かどうかわからないが、規制する側からすればコストを掛けずに活動をアピールできるというメリットがある。神奈川県が規制に執着している理由もそんな所だろう。規制以外の方法がまったく検討されないのも時間やカネを惜しんでいるからだと思う」と話している。

 

6.CEROなどによる自主規制について、ある委員は「たいして公正を期していない」と話していたという。この発言には「有害」指定の必要性をアピールする意図があったと思われるが、ジャーナリストの原寿雄氏は『ジャーナリズムの思想』(岩波書店、1997年)で、「審議会は各界有識者の意見を広く政策作りに反映させる建前だが、実態を見れば人選から答申案作りまですべて官僚主導で進められている場合がほとんどのようで、民主主義の偽装といっても過言ではない」と批判している。自分の立場を棚に上げ、業界の自主規制を批判しているこの委員こそ滑稽だろう。(2005/5/30 20:30)

 

<ゲーム-7>

1.30日の県児童福祉審議会社会環境部会では、ゲームソフトの審査だけでなく、平成17年度の重点的協議事項が確認された。審議会資料によると、平成17年度の県児童福祉審議会社会環境部会では、「青少年に有害のおそれのあるゲームソフトに対する取組みについて」協議するといい、事務局が示した「施策例等」としては、

○条例に基づく「個別指定」

○条例の見直しによる「包括指定」の可能性の検討

○ゲームソフト製作会社や発売元等への勧告又は要望

○八都県市による共同的な取組の検討

の4つが挙げられていた。(2005/5/31 07:30)

 

2.ゲームソフトの影響研究で知られる坂元章・お茶の水女子大教授は、『朝日新聞』(横浜版)2005年3月3日付で、ゲームを規制することについて、「ゲームのリアルな描写が、子供を暴力に走らせる場合があるのは否定しない」としながらも次のように述べている。

「規制することで、ゲームを楽しむ自由を奪ったり、自分で善悪を考えなくなったりする弊害もある。まずは教育で対応するべきで、規制は最後の手段だ」

 教育による対応が可能であることは科学的にも証明されている。佐々木輝美・国際基督大学教授の『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)によると、教育的介入や共同視聴によってメディア暴力に対する免疫力をつけることが可能だという。規制・勧告・要望などに依存することこそ、健全育成にとって最も有害なのではないだろうか。(2005/5/31 07:30)

 

3.清水英夫・大条成昭「「暴力と犯罪と娯楽メディア」国際会議」『キネマ旬報』第1251号(1998年)は、オーストラリアの政府機関と犯罪学会が共同開催した国際会議について報じている。記事によると、学者による講演や、レイティング(格付け)機関の関係者によるパネルディスカッションなどが行われたといい、インターネットやゲームソフトの暴力表現、性表現については次のようなことが確認されたという。

(4)特に国境を超えてスーパー・ハイウェイに乗って侵入して来るインターネットの暴力表現、性表現に関する規制は手の施しようがないというのが、専門家全員の意見であった。

(5)そしてインターネットについては、メディア・リテラシイの普及を通じて、親および青少年にメディア全般に関する教育、啓蒙活動を根気よく続ける以外に方法はないというのが結論であった。

(6)映画、ビデオ、ゲーム・ソフトに関しても、規制を強めるというより、年齢別格付け制度(レイティングまたはクラシフィケイション)で親に情報を与え警告するというのが世界の趨勢である。国家機関でも担当官をセンサーとは言わず、クラシファイヤーと呼んでいる。

(清水英夫・大条成昭「「暴力と犯罪と娯楽メディア」国際会議」『キネマ旬報』第1251号(1998年)、173頁)

 現在、テレビゲームについては、特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)がソフトの格付けを行っている。神奈川県が「有害」指定することとなったゲームソフト「グランド・セフト・オートⅢ」もCEROによって「18歳以上対象」と判定され、その事実はソフトにも記載されている。「親に情報を与え警告」しているにもかかわらず、あえて規制する必要があったのだろうか。親の判断より、神奈川県や審議会委員の判断が優先されるということなのだろうか。なお、神奈川県青少年保護育成条例では、「何人も、青少年に対し、有害図書類を販売し、頒布し、交換し、贈与し、若しくは貸し付け、又は読ませ、聴かせ、若しくは見せてはならない」(第7条第5項)と定められている。(2005/6/1 07:15)

 

<ゲーム-8>

1.松沢成文・神奈川県知事は2005年5月31日の定例記者会見で、30日に行われた青少年条例や青少年行政にかかわる八都県市の主管課長会議では、「神奈川県の方からこの残虐物のゲームソフトを規制対象にすると、ぜひとも、共同歩調を取っていただきたいという提案をいたしまして、メンバーの八都県市の皆さんからご賛同をいただきました」などと報告した。一方、記者からは、30日の審議会に諮問されたゲームソフトの「有害」指定について、指定の前に業界団体と意見交換すべきだったのではないか、事前に情報が流れ予断を与えたのではないか、いわゆるスケープゴートにされたのではないか――などの厳しい質問が飛んでいる。定例記者会見の内容は次のページで確認することができる。(2005/6/3 07:00)

▼「定例記者会見(2005.5.31)結果概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050531.htm

 

2.記者が指摘しているように、事前に情報が流れていた可能性は高い。傍聴した方のメモにもある委員が「先ほどのビデオのゲームソフト、実は『グランド・セフト・オートⅢ』ほか数本我が家にもある」「長男の家に集まって試写をした」「長男も次男も『グランド・セフト・オートⅢ』をそれぞれ別の家庭で持っていまして」などと話していたとある。おそらく事務局が審議を円滑に進めるため、あらかじめ根回しをしたのだろう。ところが委員の口が滑り、その事実が明らかとなってしまった――。

 知事は記者の指摘に対し、「その委員の方は、さまざま残虐物で問題ソフトがあるというのを聞いた中で、そのソフトも偶然見ていたわけなんです」などと答えている。偶然「試写」したり、持っていることを確認できるのだろうか。知事は25日の記者会見で「ゲームソフト名につきましては、審議に予断を与えかねないことから、ここでは差し控えさせていただきます」と述べていた。公正な審議が行われているという印象を与えるための演出がアダになったといえるだろう。(2005/6/3 07:30)

 

<ゲーム-9>

 神奈川県児童福祉審議会社会環境部会が「有害」指定すべきだと答申したゲームソフト「グランド・セフト・オートⅢ」の国内版発売元である株式会社カプコンは2005年6月6日、「青少年の保護育成という本条例の目的自体には積極的に賛同するものでありますが、本ゲームの有害図書類の指定について、表現の自由の制限など重大な問題を伴う」として、神奈川県知事に対し、「厳正かつ慎重」な取り扱いを申し入れたと発表。(2005/6/8 06:40)

神奈川県における「グランド・セフト・オートIII」の 有害図書類指定の答申について※PDFファイル

 

<ゲーム-10>

 神奈川県が「有害」指定したゲームソフト「グランド・セフト・オートⅢ」の国内版発売元である株式会社カプコンは2005年6月7日、特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)による「18歳以上対象」の審査結果を表示していたことや、小売店に区分陳列を依頼していたことなどを挙げ、「今回の指定は、このような取り組みを一顧だにされておらず、非常に残念」だとの認識を示した。さらに、指定に伴う問題点として、(1)青少年の保護育成は他の手段・方策によるべきであり、行きすぎた規制によって表現の自由を制約すべきではない、(2)指定のための要件・基準が明確ではない、(3)単なる印象や好悪による判断は無効ではないか――の3点を指摘した。また、自主規制の実効性を高めるとともに、「指定処分につきましては法的対応も視野に入れて検討してまいります」という方針を明らかにした。(2005/6/8 06:50)

神奈川県における「グランド・セフト・オートIII」の 有害図書類指定について※PDFファイル

 

<ゲーム-11>

 『日本経済新聞』2005年6月8日付15面「残虐なゲームソフトなど SCE、自主規制 有害図書指定受け 年齢確認、小売店と協力」という記事によると、ソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)は7日、ゲームソフト販売の自主規制を強化する方針を固めたという。対象年齢に達しない顧客への販売自粛を小売店に求めていくという。(2005/6/8 07:30)

 

<ゲーム-12>

 『日本経済新聞』2005年6月11日付13面「ゲームソフト販売自粛を検討 業界団体」という記事によると、コンピュータエンタテイメント協会は10日、ゲームソフトの販売自粛を検討すると発表したという。販売店などと協力し、対象年齢未満への販売自粛などの施策を1ヵ月程度の間に定めるという。(2005/6/12 06:45)

 

<ゲーム-13>

1.『東京新聞』(横浜版)2005年6月18日付23面に掲載された「意見・質問「詳細は個別に」 有害ゲーム指定で説明会 県対応に販売店「不満」」という記事によると、県青少年課は17日、「グランド・セフト・オートⅢ」を「有害」指定したことについて販売業者らを対象に説明会を開催したという。審議会への諮問基準や審査方法について説得力ある説明がなかったことから、参加者からは疑問の声が出ていたという。(2005/6/20 06:10)

 

2.『読売新聞』(横浜版)2005年5月31日付27面に掲載された「残虐ゲーム有害指定へ 業界困惑 PTA歓迎 「法規制頼りすぎは判断力失う危険も」 研究者指摘」という記事によると、ゲームソフトと子どもの攻撃性の因果関係について研究している、坂元章・お茶の水女子大教授(メディア心理学)は、「ゲームが子供に悪影響をもたらすことは否定できない」としながらも、

「業界側の自主規制や、メディア教育が抑止力となってきたが、法規制が出来ると、それに頼って業界もユーザーも判断力を失ってしまう恐れがある」

と述べているという。

 ところが、ゲームの指定を決めた県児童福祉審議会社会環境部会の過去の会議記録や資料を読むと、規制に伴う弊害をまったく考慮していないことがわかる。

 さらに県児童福祉審議会社会環境部会は2005年5月30日、平成17年度の重点的協議事項を「「青少年に有害のおそれのあるゲームソフトに対する取組みについて」とし、神奈川県青少年保護育成条例に基づく有害図書類の指定を含め、より多面的な対応策について協議することとした」(審議速報より)という。だが、当日配布された資料には対応策の具体例として、1.条例に基づく「個別指定」、2.条例の見直しによる「包括指定」の可能性の検討、3.ゲームソフト製作会社や発売元等への勧告又は要望、4.八都県市による共同的な取組の検討――の4つが挙げられていた。つまり、「多面的」の中身は規制強化という意味でしかない。

 彼らはなぜ、規制に伴う弊害を考慮しないのだろうか。悪影響のあるものを規制するのは当然だ、と考えているとすれば、悪影響の有無と規制の是非を混同しているのではないだろうか。坂元教授が指摘しているように、悪影響を理由に規制することにも悪影響はある。だからこそ、本来の意味での「多面的」議論が必要なはずだが、神奈川県や審議会委員は規制にしか関心がないのかもしれない。諮問基準や審査方法だけでなく、規制に伴う弊害をどう考えているのか、規制以外の施策が検討されないのなぜなのか――などにも「説得力ある説明」をすべきではないだろうか。(2005/6/20 07:20)

 

<ゲーム-14>

1.『読売新聞』2005年6月27日付38面に掲載された「年齢制限あるゲーム 身分証ないと売りません」という記事によると、コンピュータエンタテイメント協会(CESA)は26日、年齢制限のあるゲームソフトについては、購入者に身分証の提示を求める自主規制強化の方針を固めたという。陳列場所を区別する、年齢制限マークを目立つようにする――なども検討し、7月にも詳細な販売ルールを定めるという。(2005/6/27 06:50)

 

2.『毎日新聞』2005年6月27日付26面に掲載された「「残虐ゲーム」販売自主規制へ 業界検討 身分証提示も」という記事には、「2月14日に大阪府寝屋川市の小学校で起きた教職員殺傷事件で、容疑者の少年がゾンビを倒すアクションゲームに熱中していたと報じられてから、各自治体でゲーム規制の動きが出てきた」などとある。6月にゲームソフト「グランド・セフト・オートⅢ」を「有害」指定した神奈川県の場合、2003年7月からゲーム規制の動きがあった。毎日新聞はこうした事実を把握していないのだろうか。また、神奈川県がゲームソフトの個別指定を検討していた当時、東京都青少年健全育成審議会において、瀬戸純一・毎日新聞社論説委員は個別指定の強化を訴えていた。規制強化の当事者ともいえる毎日新聞はこうした事実をなぜ報道しないのだろうか。(2005/6/27 07:35)

残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き

ゲームソフトの「有害」指定 規制を誘発するマスコミ

 

<ゲーム-15>

1.『東京新聞』(横浜版)2005年6月30日付27面に掲載された「「有害指定」性的内容濃いものも 知事 適用方法を検討」という記事によると、松沢知事は29日の県議会一般質問で、性的内容のあるゲームについても、「包括指定の適用方法を検討している」と述べたという。(2005/7/1 07:40)

 

2.埼玉県は2004年10月に県青少年健全育成条例を改定したさい、包括指定の基準に「場面の数が20以上」を追加している。県が作成した「埼玉県青少年健全育成条例・同施行規則の改正について」というリーフレットでは、この「包括指定範囲の拡大」について次のように説明している。

 青少年に有害な静止画が20場面以上あるゲームソフト、CD写真集などを包括指定の対象にし、包括指定の範囲を拡大します。

 そこで、右のようなマークの付いたゲームソフトなどについては、条例による規制の対象となる可能性があります。

 「右のようなマーク」として例示されているのは、コンピュータソフトウェア倫理機構の「18歳未満お断り」マークと、特定非営利活動法人コンピュータエンターテイメントレーティング機構(CERO)の「18歳以上対象」マークである。

 

3.包括指定は性的内容を規制対象としている。一方、団体指定は表現内容ではなく、指定団体が「成人指定」「18歳未満お断り」などとした図書類を規制対象としている。したがって、神奈川県が埼玉県のように包括指定範囲を拡大した場合には、マークの有無ではなく、規則で定める性的内容が基準を満たしているか否かが「有害」指定の基準となる。これに対し、団体指定を導入した場合には、性的内容か否かではなく、指定団体のマークの有無が「有害」指定の基準となる。(2005/7/1 07:40)

※7月以降のゲームソフト規制にかかわる動きは次のページを参照。

残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き

 

<H16-15>

 神奈川県は2005年7月1日、3月に改定された県青少年保護育成条例の概要などをまとめた資料を発表した。資料では、青少年の深夜立入制限施設の追加などについて、「東京都、千葉県及び埼玉県と連携を図りながら改正を行ったものです」と説明している。このほか、2005年6月20日にはゲームソフトの「有害」指定について審議した県児童福祉審議会社会環境部会の会議記録が公開されている。(2005/7/4 07:40)

▼「改正された青少年保護育成条例が施行されます」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jorei/kaiseiindex.htm

▼「平成17年度第1回児童福祉審議会社会環境部会」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/kiroku/index17-5.htm

【関連リンク】

▼「神奈川県における青少年条例の改定(平成17年3月改定)」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/taisyohyo/kanagawa/H17-3.htm

▼「八都県市 区分陳列基準や深夜立入制限施設を共通化 独自の規制も検討中」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/33.htm

▼「八都県市 進む規制の強化・共通化 条例見直しが一巡」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2005/48.htm

 

<H16-16>

1.『新文化』2005年7月28日付2面に掲載された「出倫協、成人図書「小口シール止め」再検討へ JFAが「全面包装」要請」という記事によると、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)が7月14日に出版倫理協議会へ送付した「成人図書への現行『シール止め』対応の抜本的見直しについて」という要望書では、現行の代替案として「全面包装・紐掛け等の実施」を提案していたという。また、今回の要請の背景には、神奈川県による区分陳列規制の強化があるという。(2005/8/4 07:20)

 

2.神奈川県は2005年3月に神奈川県青少年保護育成条例、同施行規則を改定し、区分陳列規制を強化している(施行は10月1日)。区分陳列規制の強化については、2004年11月の県児童福祉審議会社会環境部会で「今後は、区分陳列の実効性をより徹底するための区分陳列の強化が求められている。また、罰則のあり方として公表などの検討も必要である」「被覆機能を強化するため、有害図書類については、ひも掛け、ビニール包装を基本とする」などの取り組みが提起されていた。

 また、県職員らがオブザーバーとして参加していた横浜市の「有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会」では、成人誌のシール止めを疑問視する意見があり、コンビニ業界からはシール止めのシールを大きくすることや、深くとめること、現在は透明のシールに色や文字を入れることなどを出版業界に働きかけていくという自主規制案が示されていた。(2005/8/4 07:35)

【関連リンク】

▼「改正された青少年保護育成条例が施行されます」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jorei/kaiseiindex.htm

横浜市 グレーゾーン対策も検討へ 第2回販売防止対策検討委員会

横浜市 コンビニでの陳列方法が問題に 第3回販売防止対策検討委員会

 

<H16-17>

1.『朝日新聞』2005年9月14日付夕刊15面「カメラ付き自販機対面販売じゃない わいせつ雑誌業者逮捕 神奈川県条例違反容疑」という記事によると、神奈川県警は14日、伊勢原市と横須賀市の自動販売機に「有害図書」を収納した疑いで埼玉県川口市の図書販売業者社長ら4人を逮捕したという。自販機には遠隔操作で客を写すカメラが付いており、逮捕された社長は「モニターで客の年齢を確認し、18歳未満の青少年には売らない仕組みになっている」と話していたという。

 神奈川県は2005年3月に神奈川県青少年保護育成条例を改定したさい、自動販売機や自動貸出機を「物品の販売又は貸付けに従事する者と客とが直接に対面(電気通信設備を用いて送信された画像によりモニター画面を通して行うものを除く。)をすることなく、販売又は貸付けをすることができる自動販売機又は自動貸出機をいう」と定めている。この規定は7月1日から施行されていた。(2005/9/15 07:15)

 

2.近年、監視カメラ等の識別システムを備えた自販機等についても、青少年条例の規制対象であることを明確にする自治体が増えている。例えば福島県は2004年3月の条例改定で、自動販売機や自動貸出機を「販売又は貸付けの業務に従事する者と客とが直接対面する方法によらずに販売又は貸付けを行うことができる設備を有する機器をいう。」と定めている。

 福島県では定義が明確化されて以降、監視カメラを備えた自販機が条例違反として摘発されている。『福島民友』2005年4月27日付21面「二本松の有害図書自販機設置 会社と社長を起訴」という記事によると、福島地検は26日、福島県青少年健全育成条例違反(自販機などへの有害図書等の収納制限、届出義務違反)の罪でアダルト雑誌販売会社と同社社長を起訴したという。被告の社長は「監視システムがあり、自販機には該当しない」などと供述しているという。この事件については次の記事が参考になる。

(1)『福島民友』2005年2月22日付23面「通学路に有害図書類自販機 業者の男2人を逮捕 「監視システム不十分」 “対面販売”成り立たず 二本松署・条例違反で」

(2)『福島民報』2005年2月22日付21面「東北最大アダルト自販機業者摘発 30代経営者逮捕へ 通学路に4台無届け設置 従業員ら2人二本松署逮捕」

(3)『福島民報』2005年2月23日付27面「「会社の指示で収納」 二本松のアダルト自販機業者摘発 従業員ら送検」

(4)『河北新報』2005年4月6日付35面「カメラ付き自販機無届け設置 容疑の業者が出頭 二本松署」

(5)『福島民報』2005年4月6日付21面「二本松のアダルト自販機摘発 手配の男出頭、逮捕」

(6)『朝日新聞』(福島版)2005年4月6日付29面「成人向け自販機設置した疑い 二本松署が経営者逮捕」

(7)『福島民友』2005年4月7日付19面「「届け出義務ない」 アダルト図書 容疑者きょう送検」

(8)『河北新報』2005年4月14日付31面「是非?監視カメラ付きアダルト雑誌自販機 福島で設置業者社長ら逮捕」

 

3.『福島民友』2005年2月22日付朝刊23面「通学路に有害図書類自販機 業者の男2人を逮捕 「監視システム不十分」 “対面販売”成り立たず 二本松署・条例違反で」という記事によると、監視システム付き自販機にアダルト雑誌やDVDを収納した業者2人を逮捕した二本松署の調べでは、監視システムの受託会社は「膨大な数のモニターを小さな画面で確認しているため十分に監視機能が働いていなかった」という。一方、『河北新報』2005年4月14日付31面「是非?監視カメラ付きアダルト雑誌自販機 福島で設置業者社長ら逮捕」という記事には監視システム受託会社の写真が掲載されている。写真には「アダルト雑誌の自販機を監視するDSS&T社のモニター室。オペレーターが画面で購入希望者をチェックする=東京都練馬区」という説明が付されており、実際にモニターを監視している様子が写っている。

 この写真を見た限りでは1人あたり3~4台のモニターを担当。モニターの大きさは17インチ以上はあり、4分割された画面のうち3つには購入希望者など自販機の周辺が、残りの1つには身分証明証(?)のようなものが写っている。「膨大な数のモニターを小さな画面で確認している」といえるかどうかは疑問だ。

 

4.自販機の定義をめぐる問題については、『朝日新聞』2004年12月6日付夕刊19面「カメラ付きは「対面販売」? 「有害図書」自販機 自治体は規制」が参考になる。一方、鹿児島県が2005年3月に作成した資料には、「図書等自動販売機周辺では、大人が購入した有害ビデオのパッケージ等が散乱するなど青少年にとって好ましくない環境となっています」とある。「対面販売」かどうかということより、利用者のマナーの悪さが規制強化を招いているのかもしれない。(2005/9/15 07:25)

 

<H16-18>

 松沢成文・神奈川県知事は2005年9月26日の定例記者会見で、10月1日から施行される区分陳列規制の強化などについて説明した。「青少年の団体に協力してもらってやってますので、そういうことにお付き合いしたり、一緒になって実態を見させていただくなんていうことにも、足を運びたい」と販売店への立ち入り検査などに意欲を示すとともに、区分陳列の実効性を高めるためには「完全に違法行為をしているとしたら、摘発をしていただくというところまでやらないと、抑止力にはならないと思いますので、きちっと対応したい」との考えを示した。定例記者会見の内容と発表資料は次のページで確認することができる。(2005/9/28 07:10)

▼「定例記者会見(2005.9.26)結果概要」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/050926.htm

▼「改正青少年保護育成条例の施行について」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/hisyo/chiji/kaiken/seishounen.htm

【関連リンク】

▼区分陳列規制の概要

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/ichiran/kubun.htm

▼区分陳列基準

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/ichiran/kubunkijun.htm

▼「八都県市 進む規制の強化・共通化 条例見直しが一巡」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2005/48.htm

 

<エアガン-1>

1.神奈川県は2005年11月24日に平成17年度第3回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会を開催する。平成17年度の重点的協議事項「青少年に有害のおそれのあるゲームソフトに対する取組みについて」とともに、「エアーガンに関する最近の動向」を審議するという。

▼「審議会等の会議開催予定」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/kaisai/index17-11.htm

 

2.神奈川県児童福祉審議会社会環境部会では2003年にもエアーガンについて審議している。このとき配布された資料によると、38道府県でエアーガンが「有害がん具」に指定されているという。また、神奈川県における「エアーガンに係る少年事件(過去10年)」は、5件(うち青少年=18歳未満が関与したケースは3件)だったという。(2005/11/7 07:45)

 

<H16-19>

 『新聞協会報』2005年11月8日付3面に掲載された「「グレーゾーン」雑誌上下2か所小口止め 出版界が自主規制強化」という記事によると、日本雑誌協会などは10月20日、「グレーゾーン」雑誌の上下2か所をブルーのシールで止める自主規制を行うと発表したという。神奈川県など行政から、現行の自主規制「中央1か所・透明無色」というシール止めを強化するよう求められていたという。

 2004年7月~2005年5月までの間に6回開催された横浜市の「有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会」では、現行のシール止めを疑問視する意見があり、コンビニ業界からはシール止めのシールを大きくすることや、深くとめること、現在は透明のシールに色や文字を入れることなどを出版業界に働きかけていくという自主規制案が示されていた。なお、第2回以降の検討委員会を取材した記者は一人もおらず、全6回の傍聴者は延べ10人(実数は4人)だった。(2005/11/14 07:00)

【関連リンク】

▼「有害図書類の青少年への販売防止対策事業」

http://www.city.yokohama.jp/me/shimin/seishonen/yuugaibousi.html

横浜市 グレーゾーン対策も検討へ 第2回販売防止対策検討委員会

横浜市 コンビニでの陳列方法が問題に 第3回販売防止対策検討委員会

▼「横浜市 「有害」図書の販売防止対策検討委員会 第5回は1月26日に開催」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2005/46.htm

 

<H16-20>

1.神奈川県は2005年11月16日、業界団体と協議を進めていた「有害図書類」の区分陳列強化について、新たな措置が実施されると発表した。実施されるのは、「雑誌類小口の上下2か所を青色のビニールテープにより止める」「仕切り板を大きくして区分機能を強化する」――の2点。「今後年内をめどに全国的にも実施される予定」だという。発表資料は次のページで確認することができる。(2005/11/27 07;30)

▼「青少年保護育成条例に基づく「有害図書類」区分陳列強化の新措置について -業界団体との協議を踏まえ全国に先駈け実施-」

http://www.pref.kanagawa.jp/press/0511/22037/index.htm

 

2.神奈川県が発表した「区分陳列強化の新措置」に至るまでの経過については、次の記事が参考になる。

(1)『新文化』2005年7月28日付2面「出倫協、成人図書「小口シール止め」再検討へ JFAが「全面包装」要請」

(2)『全国書店新聞』2005年10月1日付3面「青少年保護条例改正で県と質疑応答 神奈川理事会」

(3)『新文化』2005年10月13日付2面「成人図書シール止め 上下2カ所透明青色で 雑協が策定 製作原価にも影響」

(4)『新文化』2005年10月27日付3面「成人図書新自主規制 11月中旬にも店頭へ 小口シール2カ所止め」

(5)『全国書店新聞』2005年11月1日付3面「上下2ヵ所を透明ブルーで 雑誌小口止め新方式 11月中旬発売分から」

(6)『新聞協会報』2005年11月8日付3面に掲載された「「グレーゾーン」雑誌上下2か所小口止め 出版界が自主規制強化」

(7)『読売新聞』(神奈川版)2005年11月17日付32面「有害図書閲覧防止 出版元でテープ閉じ 県、業界の協力取り付ける」

(8)『神奈川新聞』2005年11月17日付22面「有害図書類 新たな閲覧防止策 県と業界が導入で合意」

※「有害」規制監視隊が原紙(もしくはそのコピー)を確認できたもののみ。夕刊とないものは朝刊。(2005/11/28 07:10)

 

<エアガン-2>

1.「青少年に有害のおそれのあるゲームソフトに対する取組み」などを検討している神奈川県は2005年12月22日、平成17年度第3回児童福祉審議会社会環境部会の会議記録をホームページで公開した。これによると、11月24日の会合では、前回に引き続き団体指定の導入について審議したという。また、エアガンに関する事件の説明や実射が行われ、青少年課長は「次回の児童福祉審議会には、有害がん具としてエアソフトガンについて、正式に諮問させていただきたいと考えています」という方針を示している。会議記録は次のページで確認することができる。(2005/12/23 06:45)

▼平成17年度第3回児童福祉審議会社会環境部会

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/kiroku/index17-11.htm

 

2.エアガンの規制を検討していた東京都は2005年12月16日、東京都青少年健全育成審議会から「不健全ながん具類として指定することが適当である」という答申を得たと発表した。発表資料は次のページで確認することができる。

▼「第548回東京都青少年健全育成審議会の答申について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2005/12/40fcg100.htm

 

3.エアガンの規制を検討していた滋賀県は2005年12月19日、威力が0.7ジュール以上のものを「有害ながん具等」に指定している。なお、ジュールの値が大きいほど威力も大きくなる。(2005/12/23 07:10)

 

<エアガン-3>

 エアガンの規制を検討していた神奈川県は2006年2月6日、威力が0.135ジュールを超えるものを「有害がん具類」に指定すべきか神奈川県児童福祉審議会社会環境部会に諮問した。傍聴された方によると、威力の異なる3種類のエアガン(0.135ジュール以下のもの1丁、0.135ジュールを超えるもの2丁)が用意され、新聞紙5枚と10枚を標的に試射が行われたという。委員から「(指定の)意味はあるだろうが、ものすごい必要性があるかはわからない」などの意見はあったが、指定は了承されたという。指定の告示は2月中旬ごろの予定。エアガンの審査終了後はゲームソフト規制の今後の予定などが話し合われたという。(2006/2/7 07:40)

 

<エアガン-4>

1.神奈川県は2006年2月14日、エアソフトガンの「有害」指定を告示した。指定されたのは、「水平斜角で発射した場合において、銃口から50センチメートルの地点における弾丸の運動エネルギーが0.135ジュールを超えるもの」。指定の適否を審査した6日の県児童福祉審議会社会環境部会では、0.135ジュール以下のもの1丁、0.135ジュールを超えるもの2丁を用いて試射が行われ、指定が了承されていた。

▼「青少年保護育成条例に係る有害がん具の指定」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/yugaishitei/yugaishitei060214.htm

 

2.神奈川県が作成した資料や東京都青少年健全育成審議会の議事録によると、2005年11月までに最も厳しい「0.135ジュールを超えるもの」という基準でエアガンを指定していたのは熊本県のみ(多くの道府県でエアガンが指定されているが基準が異なる)。その後「有害」規制監視隊が確認できた範囲では、神奈川県のほか、東京都や栃木県も同様の基準でエアガンを指定している。(2006/2/22 07:40)

▼「第548回東京都青少年健全育成審議会の答申について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2005/12/40fcg100.htm

▼「会議結果のお知らせ」

http://www.pref.tochigi.jp/josei/singi/sinngikai-kekka.html

 

<エアガン-5>

1.神奈川県は2006年3月6日、エアソフトガンの「有害」指定などを審査した平成17年度第4回神奈川県児童福祉審議会社会環境部会の会議記録を県ホームページに掲載した。次のページから確認することができる。

▼神奈川県児童福祉審議会社会環境部会

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/jihukusin/bunkazai/index.htm

 

2.1の会議記録は発言内容を修正していることがわかった。傍聴者のメモには、村上委員長がテレビゲーム関係団体のCESAとCEROを評して、「私はまったく信用していない。悪いやつだと思っている」と発言したとある。ところが会議記録では、「不信感を持っており」に改められているほか、これ以外にも修正したと思われる箇所がいくつかある。神奈川県の会議記録は分量が多く、発言内容を正確に再現しているものと思われたが、実際は様々な修正が施されていたようだ。(2006/3/10 07:40)

 

<H16-21>

1.『毎日新聞』(横浜版)2006年4月15日付25面に「有害図書自販機県内から“一掃” 県警が宣言 04年に628台→3月に72台→姿消す」という記事が掲載される。

 

2.『千葉日報』2005年9月18日付19面「有害図書自販機取り締まり着々 県内6割撤去 県警 悪質業者には強制捜査も」や『読売新聞』(千葉版)2005年9月18日付30面「わいせつ自販機401台を撤去完了 県警先月末まで」という記事によると、千葉県警も「有害図書」を収納する自動販売機の「ゼロ作戦」を展開しているという。また、『日本海新聞』2006年3月23日付23面に掲載された「有害図書の自販機ゼロ 県内取り組み実る」という記事によると、「有害図書類」を収納した県内の自販機がすべて販売を停止したことが22日の鳥取県青少年問題協議会で明らかになったという。

 

3.東京都青少年健全育成審議会では、自販機の立入調査について改善を求める意見が出ている。2006年1月17日に開かれた第549回審議会の議事録によると、ある委員は「夜行ったら、電気が全部ついていて、明るいから見えない措置もない、年齢識別装置の機械も機能しない。通常に買おうとしたら買えました」と述べ、「購入されやすい時間帯とかにもきちんと、実際はどうなっているかということをもう一度よく調査の仕方を改めて、実態調査をし直していただいたほうがいい」と指摘した。これに対し、健全育成課長は「夜間の販売実態の調査などについても検討していきたい」と答えている。

 

4.各都道府県における自販機の設置台数等は次のページに掲載されている「千葉県青少年問題協議会資料」が参考になる。

▼「千葉県青少年問題協議会開催結果」

http://www.pref.chiba.jp/syozoku/b_kenmin/seisyounen/seimon/ketka.htm

(2006/4/17 07:15)

 

5.4の調査時期より新しい資料としては、次のページに掲載されている「(資料1)佐賀県青少年健全育成条例の概要」が参考になる。

▼「平成17年度第1回佐賀県青少年健全育成審議会(全体会)」

http://www.pref.saga.jp/kenseijoho/shingikai/result.php?rid=138

(2006/4/19 07:40)

 

<例示>

1.包括指定に該当する「有害図書類」を例示している神奈川県は2006年12月18日、最新の調査結果を県ホームページに掲載した。これによると、平成18年12月の調査では、コミック誌8件、パソコン誌4件、雑誌11件、マンガ本3件が包括指定の基準に達していたという。

▼「神奈川県青少年保護育成条例による有害図書類の包括指定とそれに基づく有害図書類の例示」

http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/_yuugai-reiji/reijiindex.html

 

2.神奈川県は平成18年12月分の例示を追加するとともに、県ホームページの内容も更新したようである。過去のページと比較すると、現在のページには「★レディースコミック誌やパソコン(アニメ)誌に有害なものが増えています。注意してください。★」という記述が追加され、新しく「卑わい系」という用語も使われている。また、区分陳列の方法に関する説明はこれまで文章だけだったが、イラストが追加されている。(2006/12/20 07:40)

 

3.神奈川県は2003年7月25日の神奈川県児童福祉審議会社会環境部会において、例示通知の仕組みを説明している。「会議記録」によると、書店、コンビニなどに通知される図書類は次のような方法により選ばれるという。

「例示通知の対象となる図書につきましては、書店、コンビニに実際にまいりまして、試し買い、私ども青少年課では「試買」と呼んでいますが、青少年課として試買をいたしまして、それを審査の対象といたします。

 実際に試買します図書は、例示通知にある冊数より多く、約50冊ぐらいです。その図書を別室において審査します。審査に当たっては有害該当のページが20ページ以上あるという基準がございますので、この基準に照らしながら審査します。

 そして、この例示通知に掲載されております書籍、雑誌等は、実際に審査を行い有害図書類と判断されたものです」(「会議記録」11頁)

 会議資料には例示通知のサンプルが含まれている。この通知では24件が例示されているので、審査対象の約半数ほどが「有害図書類」と判定されたことになる。なお、購入された図書類は一定期間経過後に廃棄され、それまでは厳重に保管されるという。また、例示通知は約6300通で、通知の効果について事務局は、「例示通知によりまして、区分陳列、あるいは一切取り扱わないといういずれかの方策を取っていただいたような事例はございます」と説明している。(2006/12/21 07:30)

 

【関連リンク】

▼「神奈川県における青少年条例の改定(平成17年3月改定)」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/taisyohyo/kanagawa/H17-3.htm

ゲームソフトの「有害」指定 規制を誘発するマスコミ

▼「有害」規制法案・条例の状況 横浜市「有害図書の青少年への販売防止対策」(案)

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyoukyou/yokohama.htm

 

残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き


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