■「有害」規制法案・条例の状況
<H18-1>
1.『読売新聞』2005年7月30日付夕刊19面に掲載された「暴走族紹介誌 静岡県警「ぜひ有害指定を」」という記事によると、審議会関係者は「有害な条件をより具体的に定義するような条例改正が必要ではないか」と話しているという。
2.「有害」規制監視隊が確認できた範囲では、平成13年度以降、東京都、宮城県、大阪府、京都府、大分県が個別指定の基準に「犯罪を誘発する」を追加。東京都、宮城県、京都府、大分県、愛知県、茨城県では「自殺を誘発する」も追加されている(茨城県では「心身の健康を自ら害し、若しくは第三者をしてこれを害させる」という基準も追加されている)。静岡県が条例を改定・強化する場合には、こうした基準が追加される可能性がある。
3.都道府県ごとの個別指定の基準は次のページを参照。
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/ichiran/handan.htm
(2005/8/1 07:10)
<H18-2>
1.『静岡新聞』2006年2月25日付29面に掲載された「県青少年環境条例 有害図書類の指定拡大へ 審議会同意 県、9月改正へ」という記事によると、静岡県青少年環境整備審議会は24日、「有害図書類等」の定義に「犯罪」と「自殺」を加えるなどの「県青少年のための良好な環境整備に関する条例」改定案に同意したという。自販機の定義付け、深夜営業店の入場規制等の導入、インターネットの利用に関する努力義務の新設、罰則の強化なども行われるという。
2.『静岡新聞』2006年3月3日付30面「成人DVD遠隔操作販売機 住民運動実り撤去へ 袋井」や『朝日新聞』(静岡版)2006年3月7日付35面「通学路沿い成人向け自販機小屋 住民「自主撤去」を実現」という記事によると、静岡県袋井市議会は昨年秋、県に遠隔監視付き自販機も規制対象とするよう意見書を提出。また、袋井市の市長は今年1月に県市長会を代表して自販機規制の強化を県教委に要望していたという。(2006/3/24 06:20)
<H18-3>
1.「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の見直しを検討していた静岡県は2006年4月7日までに、第23期静岡県青少年環境整備審議会第1回定例会の会議要旨を公開した。この会議要旨によると2006年2月24日の審議会では、満場一致で「条例の改正を進めるということで県知事に答申すること」を決めたという。会議要旨や委員名簿は次のページで確認することができる。
▼「審議会等の概要調書 静岡県青少年環境整備審議会」
http://www2.pref.shizuoka.jp/ALL/shingi.nsf/gaiyou_sosiki/64122F0FDA8FAC6549256B3C003052CF
2.『静岡新聞』2006年2月25日付29面に掲載された「県青少年環境条例 有害図書類の指定拡大へ 審議会同意 県、9月改正へ」という記事によると、静岡県青少年環境整備審議会は24日、「有害図書類等」の定義に「犯罪」と「自殺」を加えるなどの案に同意し、「有害ゲームソフトについて、内容のチェックなど認定方法を具体的に定めること」も決めたという。
3.1の会議要旨によると、24日の審議会には、上野俊一・共同通信社静岡支局長と小菅洋人・毎日新聞社静岡支局長が出席している。彼らの詳しい発言内容は不明だが、結果的に「有害図書類等」の定義拡大など、県の方針に同意したことになる。委員として県の方針に同意したマスコミがその問題点を報じることはできるのだろうか。マスコミ関係者の審議会参加を含め、審議会の運営を紙面で検証することは可能なのだろうか。(2006/4/27 07:40)
<H18-4>
静岡県は「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の見直しについて意見を募集している。公表された資料によると、青少年を取り巻く環境が変化していることから、「有害図書類等」「深夜営業店舗」「インターネット情報」への規制を強化し、罰則の引き上げなども検討するという。「有害図書類等」に対する規制としては、(1)個別指定基準への「自殺」と「犯罪」の追加、(2)図書類の定義拡大、(3)自動販売機等の定義明確化、(4)区分陳列基準の設定、(5)区分陳列改善勧告に従わない場合の措置命令の新設--などの案が示されている。また、「深夜営業店舗」対策としては、(6)カラオケボックス・インターネットカフェ・漫画喫茶などを青少年の深夜立入制限施設とし、「インターネット情報」については、(7)フィルタリングソフト活用の努力義務などを規定する方針。募集期間は平成18年7月28日(金)~平成18年8月25日(金)。関係資料や提出方法などは次のページで確認することができる。
▼「「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の一部改正に関する県民意見の募集」
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-09/kankyoujoureikaisei.html
(2006/8/2 07:00)
2.公表資料では(2)の図書類の定義について、「情報化社会の発展に沿った定義にする」とあるだけで、具体的内容は明らかにされていない。ただ、2006年2月24日の審議会でゲームソフトの規制が議論されていることから、現在の定義に「光ディスク及び光磁気ディスク並びにこれらに類するもの」といった文言が追加されるものと思われる。
【関連リンク】
▼「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部改正(案)に対する県民意見提出手続きの実施」
http://www2.pref.shizuoka.jp/all/KISHA06.nsf/081c94b1cf732b60492568010000545d/bf75e8fb3b438b1a492571bc0006f54cOpenDocument
(2006/8/2 07:10)
<H18-5>
静岡県が2006年8月4日までに発表した静岡県青少年環境整備審議会の開催案内によると、10日(木)の審議会では「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部改正」について検討するという。時間は午前10時~午後12時 。会場は県庁東館16階第1会議室(静岡市葵区追手町9-6)。問い合わせ先などは次のページで確認することができる。
▼「会議開催のお知らせ」
http://www2.pref.shizuoka.jp/ALL/shingi.nsf/annai_sosiki/9BF7273B0680E05B492571BE001C3AAA
(2006/8/8 07:10)
<H18-6>
1.「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部改正の素案」などを公表し、意見を募集している静岡県は2006年8月15日までに、条例案について検討した静岡県青少年環境整備審議会第12回定例会の会議要旨を県ホームページに掲載した。これによると、条例案が可決された後の12月に全体会を開き、「施行規則、審議会規則、優良推奨基準・有害指定基準等の改正」について審議するという。会議要旨は次のページで確認することができる。
▼「審議会等の概要調書 静岡県青少年環境整備審議会」
http://www2.pref.shizuoka.jp/ALL/shingi.nsf/gaiyou_sosiki/64122F0FDA8FAC6549256B3C003052CF
2.第12回定例会の開催日時は平成18年8月10日(木)午前10時から午後0時までと発表されていた。ところが、1の会議要旨によれば、午前11時には閉会したようである。第12回定例会に先立ち、上野俊一・共同通信社静岡支局長や小菅洋人・毎日新聞社静岡支局長らが出席していた2006年2月の第1回定例会では、「満場一致」で「条例の改正を進めるということで県知事に答申すること」を決めている。2月の時点でどのような案が示されたかは不明だが、すでに「満場一致」していたテーマだけに、議論は低調だったのかもしれない。(2006/8/23 07:35)
<H18-7>
1.静岡県は平成18年9月県議会定例会に「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部を改正する条例案」を提出した。石川嘉延知事は条例案の提案理由について、「青少年を取り巻く環境の大きな変化に対応し、良好な環境の整備を図るための条例の改正であります」と説明している。条例案は10月12日に可決される見通し。可決されれば2007年4月1日から施行される。なお、静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の新旧対照表は次のページで確認することができる。
▼「「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の一部改正に関する県民意見の募集」
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-09/kankyoujoureikaisei.html
2.静岡県は「「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の改正(案)に対する県民意見への対応」という資料で、古物等の買い受け制限から「書籍を除く。」を削除すべきだという意見に対し、「ご指摘のとおりであり、書籍も古物の品目に該当するので「書籍を除く。」という条例の除外規定を削除することを検討します」と回答。公表された「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部を改正する条例(案)」では、この除外規定が削除されていた。
3.『全国書店新聞』2003年7月1日付3面に掲載された「県青少年条例一部改正の請願決議 群馬総会」という記事によると、群馬県書店商業組合は5月26日の総会で、群馬県青少年保護育成条例第10条の「書籍を除く」部分を見直すよう県議会へ請願することを満場一致で決議し、『全国書店新聞』2003年11月1日付3面に掲載された「群馬県議会が青少年条例改正の請願採択」という記事によると、群馬県議会は9月定例会でこの請願を採択したという。群馬県はその後、平成15年11月定例会に「群馬県青少年保護育成条例の一部を改正する条例案」を提出。小寺弘之・群馬県知事は県議会で「青少年の健全育成を図るため、古物商が青少年からの買い受け等を制限されている古物に書籍を含めようとするものであります」と説明した。条例案は2003年12月に可決され、2004年4月1日から施行されている。
4.3の群馬県に限らず、各地の書店組合は書籍の除外規定を削除する運動を展開した。静岡県で同種の運動があったかは不明だが、県側はこうした運動があることを把握していたはずである。形式的には一般からの意見を受けて除外規定が削除されたように見えるが、当初から削除する方針であり、意見を受けて削除した、という状況が演出された可能性もある。(2006/10/6 07:40)
【関連リンク】
・青少年条例と古物営業法による買取り規制の主な動き ―規制を求める出版業界―
<H18-8>
1.個別指定要件に「著しく犯罪若しくは自殺を誘発し、若しくは助長し」を追加した静岡県では、2006年12月5日(火)の県青少年環境整備審議会で認定基準の見直しについて審議する。会場は県庁別館9階階第一特別会議室 (静岡市葵区追手町9-6)。時間は午後3時から5時までの予定。
▼「会議開催のお知らせ」
http://www2.pref.shizuoka.jp/ALL/shingi.nsf/annai_sosiki/476BD312A2E3D956492572140005B8B1
2.県議会は平成18年9月定例会で「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部を改正する条例」を可決している。条例の新旧対照表などは次のページで確認することができる。
▼「「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例」の一部改正について」
http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-09/kankyoujoureikaisei.html
(2006/11/29 07:30)
<H18-9>
1.静岡県は2006年12月8日までに、指定基準の見直しなどを審議した県青少年環境整備審議会の議事要旨、配布資料を県ホームページに掲載した。これらの資料によると、個別指定要件に「犯罪若しくは自殺を誘発、若しくは助長するもの」が加えられたこと、残虐ゲーム・性風俗紹介雑誌などの新たな社会問題が発生していることから、2006年12月5日の審議会では指定基準の変更について審議したという。
▼「審議会等の概要調書 静岡県青少年環境整備審議会」
http://www2.pref.shizuoka.jp/ALL/shingi.nsf/gaiyou_sosiki/64122F0FDA8FAC6549256B3C003052CF
2.資料2には「有害指定候補図書類について、一般県民からの申立てを基に、DVD1本の諮問があり、平成18年12月13日に審議する予定」とある。審議されるのはDVD「人間・失格」だという。また、別紙2では「諮問対象とする残虐なゲームソフト選定要領」が明らかにされているが、施行は平成19年4月1日からだという。
3.DVD「人間・失格」とは、1994年にTBS系列で放送されたドラマのことだと思われる。いじめが社会問題となっていることから、いじめを描いたこのドラマを規制するよう申し出があったのだろう。ゲームの選定要領は、2005年6月に全国で初めて家庭用ゲームソフトを規制した神奈川県などでも定められている。
▼「ゲームソフトの「有害」指定 試買調査を各都県が分担」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2006/0214.htm
(2006/12/11 07:40)
<H18-10>
1.静岡県は2007年4月5日の静岡県青少年環境整備審議会において、「有害」指定の審議などを行うと発表した。同県は2006年10月、個別指定要件に「著しく犯罪若しくは自殺を誘発し、若しくは助長し」を追加するなどの「静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の一部を改正する条例」を公布(4月1日施行)。5日の審議会は新条例が施行されてから初めての開催となる。
▼「静岡県青少年環境整備審議会の開催」
http://www2.pref.shizuoka.jp/all/KISHA06.nsf/c3db48f94231df2e4925714700049a4e/197e61c27ed583ee4925728f0031588e?OpenDocument
2.県の発表資料には指定候補図書の名称が挙げられており、このうちの1冊「チャンプロード」は指定要件追加のきっかけになった雑誌だと思われる。『読売新聞』2005年7月30日付夕刊19面に掲載された「暴走族紹介誌 静岡県警「ぜひ有害指定を」」という記事によると、静岡県警が「暴走族ファッションなどを紹介する雑誌」を指定するよう要望したところ、審議会は「心情的には指定したいが、厳密に指定条件を満たしているとは言えない」と指定を見送ったという。また、審議会関係者は「有害な条件をより具体的に定義するような条例改正が必要ではないか」と話していたという。
3.静岡県が審議の前に指定候補図書の名称を明らかにしているのに対し、近隣の愛知県は「図書類に係る協議の部分については、協議対象となった出版業者等に、協議の対象となったこと自体をもって、不利益等を及ぼすおそれがあるため、掲載しておりません」などとして、審議の一部を非公開としている。愛知県が非公開理由としている「不利益等」とは出版業者等と愛知県、どちらのものなのだろうか。公開の対象となったこと自体をもって、愛知県に「不利益等を及ぼすおそれがあるため」掲載しないだけ、ということも考えられる。(2007/4/4 07:40)
<H18-11>
1.朝日新聞ホームページに掲載された「暴走の紹介「有害図書」」という記事によると、静岡県青少年環境整備審議会第2部会第3分科会は5日、雑誌「チャンプロード」5月号など6冊を「有害図書」に指定するよう知事に答申したという。
▼「暴走の紹介「有害図書」」
http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000000704060004
▼「暴走族専門誌、風俗情報誌6件 有害図書指定を答申」
http://www.shizushin.com/local_social/20070406000000000014.htm
2.朝日新聞の記事には「「暴走行為に関連する犯罪を肯定する」として雑誌が指定されるのは県内では初めて」とある。他県で「チャンプロード」が初めて指定された時期はわからないが、愛知県では少なくとも2003年11月号から「有害図書」に指定されている。なお、一部の学者やマスコミが熱心に批判している包括指定は性表現のみを規制対象としているのに対し、個別指定は性表現に限らず様々な表現を規制することができる。また、包括指定の基準に達しない性表現を規制することもできる。(2007/4/10 07:40)
【関連リンク】
<H18-12>
静岡県は2007年5月8日の静岡県青少年環境整備審議会において、「有害指定候補図書」の審議などを行うと発表した。審議予定の図書のなかには4月に個別指定された「チャンプロード」が含まれている。
▼「静岡県青少年環境整備審議会の開催」
http://www2.pref.shizuoka.jp/all/kisha07.nsf/c3db48f94231df2e4925714700049a4e/f97210b5a42a4910492572bb001986bc?OpenDocument
▼「有害図書6種類を指定!」
http://www2.pref.shizuoka.jp/all/kisha07.nsf/c3db48f94231df2e4925714700049a4e/400590031177bde3492572b50024409c?OpenDocument
(2007/5/8 07:40)
【関連リンク】
・青少年条例と古物営業法による買取り規制の主な動き ―規制を求める出版業界―
・残虐な場面を含むゲームソフトの「有害」指定にかかわる主な動き