青少年条例をめぐる動き(5)

2001年 2002年 2003年

2004年前半

2004年後半

7月1日

1.『東京新聞』に「「シール封印」自主規制で全国へ きょうから改正都健全条例 コンビニは「区分陳列」 カラオケは「深夜制限」」という記事が掲載される。この他、「不健全図書指定で2審も宝島社敗訴」という記事も掲載されている。『読売新聞』には「"成人向け雑誌"店頭でブロック」という記事が掲載された。

【関連情報】

1.宝島社の雑誌『DOS/V USER』と『遊ぶインターネット』は2000年9月~11月にかけて、東京都青少年健全育成審議会で連続3回「不健全」指定を受け、帯紙措置(出版業界の自主規制)を適用された。このため宝島社は「不健全」指定の取消を求めて都を訴えていた。

 一審の東京地裁は2003年9月25日に請求を棄却。宝島社は控訴していたが、この記事によると東京高裁は30日、一審判決を支持し、控訴を棄却したという。

▼「不健全図書指定処分取り消し請求訴訟」

http://www.takarajimasha.co.jp/no/

 

2.帯紙措置が適用された最近の例としては、コアマガジン発行の雑誌『お宝ワイドショー』(隔月刊)が、2003年8月、10月、12月の東京都青少年健全育成審議会で連続3回「不健全」指定を受け、休刊している。

▼東京都「不健全」指定状況一覧

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/sitei/tokyo.htm

 

3.帯紙措置は東京都青少年健全育成審議会による指定(個別指定)と連動している。2004年3月の条例改定では、包括指定の導入に代え、この個別指定が強化されている。

 この個別指定の強化については、毎日新聞社の瀬戸純一論説委員が、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。

 

4.東京都の水野達雄青少年課長は、2004年1月15日開催の第526回東京都青少年健全育成審議会で、「指定図書の選定基準はあるが候補図書の基準はない。それを具体的にして、積極的に諮問をしていきたい」と述べている。さらに2004年3月23日開催の第528回東京都青少年健全育成審議会でも、「諮問図書の選定指針を設け、幅広く諮問を行う」と述べている。

 「シール封印」をしていない図書類を「積極的に諮問」することで、集中的に「不健全」指定し、“自主”規制させる考えなのかもしれない。なお、個別指定は、包括指定の基準に達していない図書類も規制できるほか、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現などを規制することもできる。また、写真や図画だけでなく、文章を規制することもできる。(2004/7/1 06:45)

【関連リンク】

宝島社裁判と帯紙措置

出版倫理協議会による流通規制

 

2.『朝日新聞』(夕刊)に「「不健全」雑誌封印して陳列 都条例施行に出版界対応 ビニール包装・シールも」という記事が掲載される。記事によると、区分陳列が行われているかを監視するボランティアの協力員は、先月末時点で871人。都は1000人程度まで増やす考えだという。『東京新聞』(夕刊)には「改正都健全条例初日 「有害図書」を見逃しません 山田邦子さんら調査」、『日本経済新聞』(夕刊)には「成人向け書籍の包装状況を調査 都、条例新規定施行で」という記事が掲載された。

【関連情報】

1.『朝日新聞』の記事は、「不健全図書」の説明として、「東京都の青少年健全育成条例では、「青少年に対し著しく性的感情を刺激する」図書類を、知事が不健全図書として指定できる」「該当すると思われる図書類を都職員が調査購入し、毎月の審議会で検討して指定する」などと解説している。

 

2.「不健全」図書として指定できるのは、性表現だけではない。東京都の場合、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現を規制することもできる。規制対象に「犯罪」と「自殺」が追加されたのは2001年3月だが、当時、朝日新聞の津山昭英・東京本社編集局記事審査部長は東京都青少年健全育成審議会の委員であった。新聞社の人間が指定の適否を判断する東京都青少年健全育成審議会に委員として参加していることに問題はないのだろうか。また、こうした事実がまったく報道されないのはなぜだろうか?

 

3.朝日新聞は2001年1月25日に「有害情報規制 どういう結果を招くか」という社説を掲載している。この社説では、自民党「青少年社会環境対策基本法案」について、「メディアを政府や行政の監視下に置く」、「メディアリテラシーの能力を育てることが大事だ」などと批判している。ところが、2001年3月に改定・強化が予定されていた東京都青少年健全育成条例については一言も触れていない。これは、津山昭英・東京本社編集局記事審査部長が東京都青少年健全育成審議会の委員であったことと無関係なのだろうか?(2004/7/1 18:10)

 

7月2日

1.『朝日新聞』に「都の改正条例施行 封印雑誌全国に拡大 自主規制、対象外にも」という記事が掲載される。記事では、指定図書以外の成人向け図書についても、包装することを求める努力義務が課されていることに対し、「出版業界に課せられた「努力」は、都条例の対象外の雑誌にも及び、地域も都内だけでなく全国に広がっている」と指摘している。

【関連情報】

1.東京都の個別指定帯紙措置と連動している。出版社は、自主規制しなければ集中的に「不健全」指定される可能性などを考慮し、指定の有無にかかわらず包装を決めたのではないかと思われる。

 

2.個別指定は、いわゆる包括指定の基準に達していない図書類も規制できるほか、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現を規制することもできる。また、写真や絵だけでなく、文章を規制することもできる。こうした個別指定の特徴を考えると、今後、自主規制の対象がさらに拡大することも予想される。

 

3.2004年3月の条例改定では、包括指定や緊急指定の導入に代え、この個別指定が強化されている。朝日新聞は2003年12月18日付朝刊や2004年2月18日付朝刊で、包括指定や緊急指定に対する反対運動を取り上げている。ところが、帯紙措置との連動もあり、最も強力な規制を行うことができる個別指定の実態・問題点については報じていない。これは、朝日新聞の津山昭英・東京本社編集局記事審査部長が、過去に東京都青少年健全育成審議会の委員であったことと無関係なのだろうか? また、規制強化を批判する(かのような)記者や文化人らが個別指定の問題を詳しく書かないのは、指定の適否を判断する審議会にメディア関係者が参加していることと無関係なのだろうか?

 いずれにせよ、最も強力な規制を行うことができる個別指定の実態・問題点が報道され、何らかの濫用防止策が講じられない限り、公的規制の対象も“自主”規制の対象も拡大し続けるだろう。(2004/7/2 07:45)

 

2.『朝日新聞』(夕刊)に「深夜15歳少女を連れ歩いた疑い 改正都条例、初の逮捕」という記事が掲載される。

【関連情報】

1.2004年7月2日放送のTBS「筑紫哲也のニュース23」によると、深夜に青少年を連れ出すことなどを禁じた都青少年健全育成条例違反の容疑で、これまで11人が書類送検されているが、逮捕者が出たのは初めてだという。

 

2.都青少年健全育成条例では、保護者の同意を得ずに深夜(午後11時~翌日午前4時)に青少年を連れ出すことなどを禁じており、青少年が16歳未満の場合は、罰則(30万円以下の罰金)もある。この規定がはじめて適用された事件については、2004年6月3日付の各紙が報じている。(2004/7/3 00:20)

 

7月3日

1.『毎日新聞』に「青少年育成条例違反 改正後初の逮捕者 15歳少女連れ深夜外出」という記事が掲載される。『読売新聞』には「青少年育成条例改正後初の逮捕者 深夜に少女連れ回す」、『日刊スポーツ』には「16歳未満深夜連れ回し」という記事が掲載された。

 

2.『朝日新聞』(夕刊)に斎藤美奈子氏(文芸評論家)の「「ポスト」騒ぎ、大差ないじゃん」というコラムが掲載される。

 

7月6日

 『『茨城新聞』に「自販機に有害図書、業者逮捕」という記事が掲載される。

『東京新聞』に「子どもの有害サイト接触 親の8割が「不安」」という記事が掲載される。

 

7月7日

 『『東京新聞』に「万引き発覚の場合すべて警察連絡 防止協が行動計画」という記事が掲載される。記事によると、書店などの業界団体や東京都、警視庁などでつくる「万引防止協議会」は6日、万引きが発覚した場合はすべて警察に連絡することを求める行動計画案を決めたという。また、店側がすべての万引きについて警察から学校に通報するよう求めているのに対し、警察は悪質なケースに限定したいと考えているため、今後詰めの協議を行うという。

【関連情報】

1.各地の書店組合は、青少年による万引き増加の要因として、万引きした書籍を新古書店で簡単に現金化できる仕組みに問題がある、と訴えている。全国の青少年条例には、保護者の委託や同意がない場合は、青少年からの古物の買い取りを禁じているものがある。このため書店組合では、古書の買い取り規制を持たない条例について、規制を新設するよう求めている。

 

2.鳥取県青少年問題協議会では、書店商業組合の委員が未成年者からの古書買い取り規制を提案していたが2002年10月、青少年条例は改定せず、自主規制を強めるよう行政指導で対処することを決定している。古書店の実態調査を行ったところ、親の承諾書を取るなどの自主規制が既に行われているケースが多かったためだという。

 

3.秋田県は2003年10月、「秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例」を改定し、青少年からの古物(書籍を含む)の買取り規制を新設している。

 

4.群馬県は2003年12月、「群馬県青少年保護育成条例」を改定し、古物の買い取り規制から除外されていた書籍を規制の対象に含めている。

 

5.東京都は2004年3月、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」を改定し、青少年からの古物(書籍を含む)の買取り規制を新設している。

 

6.東京都は2004年7月6日、「万引被害実態調査アンケート結果」を発表している。

▼「「万引被害実態調査アンケート結果」について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2004/07/60e76100.htm

(2004/7/7 07:10)

【関連リンク】

青少年条例と古物営業法による買取り規制の主な動き ―規制を求める出版業界―

 

7月8日

 『山陰中央新報』に「地域一体で青少年育成 県に協議会答申 社会人の自覚促す」という記事が掲載される。

 

7月10日

 埼玉県は「埼玉県青少年健全育成条例・同施行規則改正骨子案」についての意見交換会を開催した。会議には、青少年の健全育成に取り組む人々や学生、自販機業者らが参加。約2時間にわたって、規制の是非や家庭、学校教育の果たすべき役割などが話し合われた。参加者から話を聞いたところ、「骨子案への意見に限定せず、青少年の健全育成に何をすべきかもっと話し合う必要がある」という声もあった。

▼「埼玉県青少年健全育成条例・同施行規則改正骨子案」

http://www.pref.saitama.jp/A01/BR00/seisyounen/komento.htm

 

7月11日

 『全国書店新聞』に「書店の自発的規制歓迎 都改正青少年条例で説明会」という記事が掲載される。

 

7月13日

 『朝日新聞』に「ピンクチラシ消えた 罰則つき条例効果」という記事が掲載される。

 

7月15日

 『朝日新聞』(東京版)に「子どもとネットのつき合い方講座 世田谷区ネットで開講へ」という記事が掲載される。『毎日新聞』(東京版)には「インターネット使用の留意事項 夏休み利用し都が親子講座 小学生対象に都立高10校で」、『東京新聞』には「ネットで安全e付き合いを 世田谷区が講座開設」という記事が掲載された。

【関連リンク】

せたがやeカレッジ

【関連情報】

 都教育庁は7~8月にかけて小学生とその保護者を対象にした「インターネット親子セーフティ講座」を開講する。詳細は次のページで確認することができる。(2004/7/16 06:00)

▼「都立高校の教員による「インターネット親子セーフティ講座」の実施について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2004/07/22e78200.htm

 

7月16日

1.『上毛新聞』に「親の承諾ないソフト買い取り 高崎署が書類送検」という記事が掲載される。

 

2.『東京新聞』(東京版)に「ネットと子ども影響を考える 都庁でフォーラム」という記事が掲載される。記事によると、インターネットが子どもに与える影響を考えるフォーラムが15日、都庁で開催されたという。フォーラムでは、9月に協議会を設立し、ネット利用について提言をまとめることが決まったという。

 

7月17日

 『東京新聞』(東京版)に「青少年育成に本腰 都が来月 対策本部を設置」という記事が掲載される。記事によると、都は8月4日付で「青少年育成総合対策推進本部」を設置するという。本部長には、竹花豊副知事が就任するという。

【関連リンク】

▼「東京都青少年育成総合対策推進本部」の設置について

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2004/07/20e7g800.htm

 

7月20日

 『新聞協会報』に「都青少年条例が改正一部施行 不健全指定図書に包装義務 グレーゾーンの雑誌も封印」という記事が掲載される。

 

7月21日

 『上毛新聞』に「有害図書自販機規制で諮問 審議会に知事」という記事が掲載される。

 

7月22日

1.『毎日新聞』(東京版)に「ここに注目 青少年深夜立ち入り禁止 「非行の温床」返上へ 業界側も新たな取り組み」という記事が掲載される。

 

2.『東京新聞』(横浜版)に「672人一斉補導 非行実態、知事ら視察」という記事が掲載される。記事によると、少年非行の実態を視察した松沢成文・神奈川県知事は、「少年非行は低年齢化しており深刻な状況。県青少年保護育成条例の見直しを進めている」と語ったという。

【関連情報】

 神奈川県や横浜市を含む八都県市では青少年条例による規制の強化・共通化を進めている。「有害」規制監視隊が入手した2004年7月13日開催の埼玉県青少年健全育成審議会で配布された資料によると、規制の強化・共通化の内容は、(1)「有害」図書等の区分陳列基準の設定、(2)青少年の深夜立入制限施設の追加など、(3)生セラの規制、(4)スカウトの規制――の4項目である。(2004/7/23 00:00)

▼「八都県市 区分陳列基準や深夜立入制限施設を共通化 独自の規制も検討中」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/33.htm

 

3.『新文化』に「不健全図書裁判上告せず敗訴に 宝島社」という記事が掲載される。記事によると、「不健全」図書指定の取消しを求め東京都を提訴し、一審、二審と敗訴していた宝島社は、期限の7月14日までに上告しなかったという。このため「不健全図書指定処分取り消し請求訴訟」は、宝島社の敗訴で結審したという。

【関連リンク】

▼「不健全図書指定処分取り消し請求訴訟」

http://www.takarajimasha.co.jp/no/

宝島社裁判と帯紙措置

出版倫理協議会による流通規制

 

7月23日

 『日本経済新聞』(夕刊)に「子どもとネット 上 事件機にモラル教育腐心」という記事が掲載される。

7月25日

 『朝日新聞』(東京版)に「中高生ら1288人補導 警視庁」という記事が掲載される。記事によると、警視庁は23~24日にかけて一斉補導を行ったほか、都青少年健全育成条例に基づき、午後11時以降に青少年を入店させていたまんが喫茶の店長に警告を出したという。また、保護者の承諾なしに午後11時以降に青少年を連れ歩いていた男性を、同条例違反の容疑で書類送検する方針だという。
『東京新聞』(東京版)にも「少年少女1288人を街頭で一斉補導 飲酒や喫煙など」という記事が掲載された。

【関連情報】
 八都県市では青少年条例による規制の強化・共通化を進めている。「有害」規制監視隊が入手した2004年7月13日開催の埼玉県青少年健全育成審議会で配布された資料によると、規制の強化・共通化の内容は、(1)「有害」図書等の区分陳列基準の設定、(2)青少年の深夜立入制限施設の追加など、(3)生セラの規制、(4)スカウトの規制――の4項目である。(2004/7/25 15:30)

▼「八都県市 区分陳列基準や深夜立入制限施設を共通化 独自の規制も検討中」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/33.htm

7月27日

 『法律時報』2004年8月号に、特集「青少年保護と表現の自由」が掲載される。

『東京新聞』(横浜版)に「有害図書対策、年度内提言へ 市、専門委員10人任命 関東学院大ラグビー部春口監督も」という記事が掲載される。

『朝日新聞』に「都庁にコンビニ」という記事が掲載される。記事によると、東京都は都庁舎内で営業するコンビニを募集するという。オープンは来年1月で、わいせつ度の高い図書は売らない方針だという。担当者は「まさか規制図書を売れないでしょ」と話しているという。
【関連リンク】
▼「都庁舎内コンビニエンスストアの出店者公募について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2004/07/22e7q100.htm

【関連情報】
1.2004年3月の都青少年健全育成条例の改定では、包括指定緊急指定の導入に代え、個別指定が強化されている。朝日新聞は2003年12月18日付朝刊や2004年2月18日付朝刊で、包括指定や緊急指定に対する反対運動を取り上げている。ところが、帯紙措置との連動もあり、最も強力な規制を行うことができる個別指定の実態・問題点については報じていない。これは、朝日新聞の津山昭英・東京本社編集局記事審査部長(当時)が、過去に東京都青少年健全育成審議会の委員であったことと無関係なのだろうか? また、規制強化を批判する(かのような)記者や文化人らが個別指定の問題を詳しく書かないのは、指定の適否を判断する審議会にメディア関係者が参加していることと無関係なのだろうか?
 いずれにせよ、最も強力な規制を行うことができる個別指定の実態・問題点が報道され、何らかの濫用防止策が講じられない限り、公的規制の対象も“自主”規制の対象も拡大し続けるだろう。
2.個別指定は、いわゆる包括指定の基準に達していない図書類も規制できるほか、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現などを規制することもできる。また、写真や絵だけでなく、文章を規制することもできる。さらに、東京都の個別指定は出版業界の自主規制(帯紙措置)と連動している。
3.東京都青少年健全育成審議会の会長代理である毎日新聞社の瀬戸純一論説委員は、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。(2004/7/27 06:25)

『東京新聞』に「夏休み機に青少年守れ わいせつサイト取り締まり強化 中国当局」という記事が掲載される。

7月28日

 『東京新聞』に「浸透するネット 中 残虐映像 反復で脳裏に蓄積 暴力を学習し、行動の台本が・・・」という記事が掲載される。佐世保市の小6女児同級生殺害事件をテーマに、メディア暴力研究の専門家である佐々木輝美・国際基督大学教授らを取材している。記事の中で佐々木教授は、「映像を見ることがすぐ行為に結びつくわけではない」と断ったうえで、「子どもの頭の中に映像が蓄積されることが心配。佐世保の事件は蓄積が実際の行為を招いた典型例に見えた」と話している。
【関連情報】
1.佐々木教授は、『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)で、ヒューズマンの「メディア暴力の長期的効果の循環モデル」を紹介し、次のように説明している。

「このモデルの中心となっているのはスクリプトという概念である。スクリプトとは、人々が行動を起こす時のいわば台本にあたるものである。我々の日常生活において何か問題が生じた時、常識的に考えれば暴力以外の平和的な方法で対処することがほとんどである。しかし、暴力番組では問題解決方法として安易に暴力をふるうシーンが描かれる場合が多く、そのような番組に多く接することで、視聴者が問題解決の主な方法として暴力があることを記憶してしまう。これが繰り返されると人々の脳の中にスクリプト(行動の台本)が形成されるのである。このような攻撃的なスクリプトが形成されると、何か問題が生じた時に問題解決の手段として暴力を行使する可能性が高くなるのである。従って、攻撃的スクリプトの形成を抑制するためにはメディア暴力を減らすことが必要となってくるのである」(181頁)

 同書では、暴力シーンを減らすというメディア側における対応だけでなく、受け手側における対応も重要であると指摘されている。具体的には、親子でテレビを共同視聴し、親が暴力シーンに否定的なコメントをすることや、学校教育でメディア暴力の現実性や適切性に対する子どもたちの態度を変える教育的介入を行う必要があるという。これらは過去の研究結果から効果を期待できるが、効果を高める工夫や逆効果の生じる可能性を減らすための研究が必要であるという。

2.『視聴覚教育』2001年5月号に掲載された対談「メディアの暴力について考える ~映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに~」では、佐々木教授と坂元 章・お茶の水女子大学文教育学部教授がメディア暴力の影響や教育的介入の必要性について語っている。

3.佐々木教授と坂元教授は文部科学省が平成13年度から実施している青少年とメディアに関する調査研究の協力者である。この調査研究により、平成13年度は「テレビ」、平成14年度は「インターネット」、平成15年度は「テレビゲーム」をテーマにした報告書がまとめられている。これらの報告書は次のページで確認することができる。
▼青少年の健全育成
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/main4_a7.htm(文部科学省)

4.佐々木教授の『メディアと暴力』のほか、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)などもメディアの影響について詳細に論じている。(2004/7/28 07:40)

7月29日

 『神奈川新聞』に「有害図書排除へスクラム 横浜市、青少年への販売防止で検討委 委員長に春口さん 関東学院大ラグビー部監督」という記事が掲載される。28日に開催された「有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会」について報じている。

『読売新聞』に小柳 淳氏(香港観光ライター)の「とうきょう異聞 ヌードとあらば……」という記事が掲載される。記事によると、「香港では健全、不健全の判定などなく、ヌードが1㌻でもあればビニール袋入りとなる」という。また、「表紙には『本品は不快感を催す内容があり、十八歳未満の者には売っても、見せても、貸してもいけない』旨の文が、中国語と英語の大きめの字で刷り込まれている」という。
【関連情報】
1.東京都青少年健全育成審議会の会長代理である毎日新聞社の瀬戸純一論説委員は、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。翌年3月の条例改定では、瀬戸会長代理の主張通り、個別指定が強化されている。帯紙措置との連動もある個別指定が強化され続ければ、東京都(日本)でも、いずれは「ヌードが1㌻でもあればビニール袋入り」となるのかもしれない。
2.日本共産党の曽根はじめ都議は、都青少年健全育成条例改定案を審査した2004年3月19日の文教委員会で、個別指定の基準が内規から規則に格上げされることに対し、「私が一番心配しているのは、率直にいえば、ほかの県で決まっている包括指定のように、例えばわいせつな図画が冊子全体の半分とか六割とかを占めた場合、それは基準としてひっかかりますよという基準が、この基準の中に盛り込まれれば、事実上の包括指定になってしまうわけです」と述べている。
 しかしながら、個別指定とは、分量による基準がないからこそ、包括指定の基準に達しない図書類についても「有害(不健全)」指定できる制度である。曽根議員は、規制に反対する立場から発言したものと思われるが、個別指定の仕組みを理解していたのだろうか? それともこの発言には、何か別の意味があったのだろうか?
 なお、3月31日に公布された「東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則」では、当然、個別指定の基準に分量は設けられず、分量に関係なく指定できる状態となっている。(2004/7/29 07:10)
▼東京の青少年

http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9.htm

▼「東京都議会文教委員会速記録第七号 平成十六年三月十九日(金曜日)」

http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/bunkyo/d3030102.htm

7月30日

 『日本経済新聞』(夕刊)に石原一彦・大津市立瀬田小学校教諭の「子どもとネット 中 情報モラル 実地で学ぶ チャットの「荒れ」擬似体験 危険気付かせ対処法を探る」という記事が掲載される。この中で石原教諭は、「授業でネットを活用するなら、危険への対処法も必ず同時に指導しなければいけない」と指摘。また、「『やってはいけないこと』を羅列して禁止するだけでは意味がない。実際にネットで情報をやり取りしながら危険に気づく場をいかに設定するかが指導では重要になる」と主張している。

8月2日

 『日本経済新聞』に「夜遊び「親しからぬ」 中学生の7% 民間アンケート」という記事が掲載される。ベネッセが首都圏の中学生を対象に実施したアンケートについて報じている。

8月3日

 『毎日新聞』に「成人向け雑誌 シール閉じ販売 出版界の上得意 コンビニには逆らえぬ 規制の風に 理念も封印」という記事が掲載される。
【関連情報】
1.青少年条例と関連した包装などの自主規制には前例がある。たとえば警視庁が1999年7月、鶴見済『完全自殺マニュアル』(太田出版、1993年)を「有害」図書指定するよう東京都に働きかけたさい、出版社は著者の承諾もえずに18禁の帯と本全体のビニールパックという自主規制を実施している。この間の動きについては、次の文献が参考になる。
(1)「「完全自殺マニュアル」著者が版権引上げ宣言!――ベストセラーの有害指定問題」『FOCUS』1999年9月29日号、12-13頁
(2)鶴見済「『完全自殺マニュアル』のどこが「有害」なのか」『創』1999年11月号、14-20頁
(3)長岡義幸「『完全自殺マニュアル』悪書キャンペーンの陥穽」『創』1999年11月号、22-28頁
(4)清水英夫「図書規制強化をめぐる最近の動き」『創』1999年11月号、29-31頁
(5)長岡義幸「『完全自殺マニュアル』拡大する規制の動き」『創』1999年12月号、96-103頁

2.毎日新聞社の瀬戸純一論説委員は、「不健全」図書(個別指定)の適否を判断する東京都青少年健全育成審議会の会長代理である。瀬戸会長代理は2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。3月30日に改定された東京都青少年健全育成条例では、瀬戸会長代理の主張通り、包括指定の導入に代えて、帯紙措置とも連動した個別指定が強化されている。
 なお、東京都青少年健全育成審議会の委員名簿や近年開催された審議会の議事録等は次のページで確認することができる。
▼「審議会等」

http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm

3.元毎日新聞記者の天野勝文・筑波大教授は、メディア関係者の審議会参加について、

「本来ならば記者は審議会委員に夜討ち朝駆けしてでも、審議の様子を聞き出して報道すべきなのである。しかし、自社の論説委員長や解説委員のところに夜討ち朝駆けするだろうか。審議会の民主化どころか、密室性を高める結果になり、自縄自縛に陥っていると思う」(天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号、298頁)

と批判している。
 都条例の改定をめぐっては、新聞関係者も参加していた審議会で規制強化の方向性が議論がされていた。では、その内容は報道されたのだろうか? 毎日新聞の記事に限らず、審議会の内容はおろか、新聞関係者が委員として参加している事実さえ、まったく報道されなかったのではないだろうか?
 「密室性を高め」るとともに、メディアに都合の悪い事実を隠すことで、一体誰が得をしているのか。こうした問題の検証こそ、表面的な“批判”記事より、はるかに重要なのではないだろうか。

4.メディアと審議会の関係については、以下の文献が詳しい。
(1)天野勝文「「取り込まれる」ジャーナリスト」『総合ジャーナリズム研究』第128号(1989年) 46-52頁
(2)天野勝文「「取り込まれる」マスコミ人 全国版」『総合ジャーナリズム研究』第144号(1993年) 72-79頁
(3)天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号 296-303頁
(4)天野勝文「新聞人の各種審議会への参加について」新聞労連編『新聞記者を考える』(晩聲社、1994年) 187-211頁
(2004/8/6 07:40)

『朝日新聞』に「作文、ホラー小説引用? 佐世保小6事件 直前の授業で 県教委中間報告」という記事が掲載される。記事によると、長崎県教育委員会は2日、佐世保小6女児死亡事件に関する中間報告書を発表したという。報告書では、作文にホラー小説を引用したとみられる表現があったとことや、この作文と小説「バトル・ロワイアル」の自作版がランドセルから見つかったことなどから、「残虐な映画や小説に影響を受けたことは十分考えられる」との見解が示されているという。
『日本経済新聞』にも「事件直前の作文で殺意 佐世保小6死亡加害女児」という記事が掲載された。

8月5日

 『読売新聞』(夕刊)に「少年凶悪犯 4人に1人補導5回以上 有識者会議 補導の法的権限明確化提言」という記事が掲載される。
『東京新聞』(夕刊)にも「非行防止、刃物預かりも 警察庁研究会提言 補導手続き明確化」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』(夕刊)にも「少年非行防止へ法整備 警察庁研究会中間報告 街頭補導に裏付け」という記事が掲載された。

『東京新聞』(東京版)に「知事「歴史的使命感持て」 都青少年対策本部が発足式 ビデオで性風俗実態も」という記事が掲載される。記事によると、「青少年育成総合対策推進本部」の発足式が4日、都庁で開かれたという。
『朝日新聞』(東京版)にも「青少年育成へ都が対策本部」という記事が掲載された。
『毎日新聞』(東京版)にも「都が青少年育成対策本部を設置」という記事が掲載された。

『朝日新聞』に「週刊誌4強異変アリ」という記事が掲載される。総合週刊誌上位4誌(週刊文春、週刊ポスト、週刊新潮、週刊現代)の平均実売部数が10年間で50万部減少していることなどから、ヘアヌードの掲載をやめ、誌面刷新に取り組む週刊ポストなどを取材している。なお、ヘアヌードの掲載中止は、「7月から東京都青少年健全育成条例の改正で不健全図書の規制が強化されたこともきっかけのひとつ」だという。
【関連情報】
1.2004年3月の都青少年健全育成条例の改定では、包括指定緊急指定の導入に代え、個別指定が強化されている。朝日新聞は2003年12月18日付朝刊や2004年2月18日付朝刊で、包括指定や緊急指定に対する反対運動を取り上げている。ところが、帯紙措置との連動もあり、最も強力な規制を行うことができる個別指定の実態・問題点については報じていない。これは、朝日新聞の津山昭英・東京本社編集局記事審査部長(当時)が、過去に東京都青少年健全育成審議会の委員であったことと無関係なのだろうか? また、規制強化を批判する(かのような)記者や文化人らが個別指定の問題を詳しく書かないのは、指定の適否を判断する審議会にメディア関係者が参加していることと無関係なのだろうか?
 いずれにせよ、最も強力な規制を行うことができる個別指定の実態・問題点が報道され、何らかの濫用防止策が講じられない限り、公的規制の対象も“自主”規制の対象も拡大し続けるだろう。
2.個別指定は、いわゆる包括指定の基準に達していない図書類も規制できるほか、性表現に限らず、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現などを規制することもできる。また、写真や絵だけでなく、文章を規制することもできる。さらに、東京都の個別指定は出版業界の自主規制(帯紙措置)と連動している。
3.東京都青少年健全育成審議会の会長代理である毎日新聞社の瀬戸純一論説委員は、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。(2004/8/5 17:50)

8月6日

 『日本経済新聞』(夕刊)に「子どもとネット 下 情報教育、必要性で両論」という記事が掲載される。情報教育に対する読者からの意見が掲載されている。

8月7日

 『朝日新聞』(東京版)に「青少年の深夜徘徊をビデオに 都計画、親の危機感高める狙い」という記事が掲載される。

『読売新聞』に「雑誌「小学六年生」で紹介のHP アダルトサイトに接続 保護者が苦情」という記事が掲載される。

『毎日新聞』(夕刊)に「小学館月刊誌 「出会い系」つながるサイト 「小学六年生」掲載」という記事が掲載される。

8月10日

 『読売新聞』に「「小学六年生」自主回収 アダルトサイト接続記事掲載で」という記事が掲載される。
『東京新聞』にも「アダルトサイトにつながるHP掲載 「小学六年生」抗議受け回収へ」という記事が掲載された。
『朝日新聞』にも「「小学六年生」小学館が回収 サイト紹介指摘受け」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』にも「「小学六年生」自主回収」という記事が掲載された。
【関連情報】
 「小学六年生」編集部による「おわびとお知らせ」によると、次号の『小学六年生』では、ネット社会の危険性やつき合い方を特集した「ネット社会 安全教室 =PC・ケータイ危険地帯=」を予定しているという。(2004/8/10 06:45)
▼「学習雑誌「小学六年生」9月号ご購入のみなさまへ おわびとお知らせ」

http://netkun.com/magazine/sho6/index.htm

8月12日

 『朝日新聞』(東京版)に「犯罪被害防ぐ教育を提言 都の委員会」という記事が掲載される。
『毎日新聞』(東京版)にも「子どもを犯罪から守る教育 内容まとめ都に提言 「考える委員会」」という記事が掲載された。
『読売新聞』(東京版)にも「ネット利用法総合学習で 都の委員会が提言まとめる」という記事が掲載された。
『東京新聞』にも「子どもを加害者・被害者にしないよう 犯罪被害者の手記 裁判傍聴を授業に 都の委員会が提言」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼「「非行防止教育及び被害防止教育に関する提言」の提出について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/08/40e8b100.htm

【関連情報】
 『学校保健研究』第43巻第1号(2001年)に掲載された勝野眞吾「学校における薬物乱用防止教育 ―研究の動向―」によると、アメリカでは、薬物乱用の危険を認識させる「知識のみを重視した旧来の教育手法はたばこ、アルコールを含む薬物乱用の防止には有効でないと考えられるようになった」といい、現在はこれに代わって、「危険なもの、自分に都合の悪いと考えられるものを拒否したり、それに抵抗したりする能力・方法(スキル)を教える」「ロールプレーイングなどの手法により、友人・仲間、家族などからの誘いの手口とそれを断る方法を学ぶ」などの「児童、生徒参加型のプログラム」が主流になっているという。また、こうした参加型プログラムは、薬物乱用防止教育の有効性を分析する研究により、不参加型プログラムに比し、有効性が高いことが示されているという。
 「非行防止・犯罪の被害防止教育の内容を考える委員会」の提言でも、ロールプレイなどの「体験を生かした学習」の重要性が指摘されている。この提言をもとに効果的な「児童、生徒参加型」プログラムが作成されることを期待したい。(2004/8/12 06:55)

『新文化』に「有害図書で委員会 横浜市が専門委を選任」という記事が掲載される。この他、「「小学六年生」を回収 アダルトへのリンクで謝罪 小学館」という記事も掲載されている。

8月13日

 『読売新聞』(横浜版)に「自販機に有害図書 容疑の業者を捜索」という記事が掲載される。記事によると、県警少年課は10日、11日の両日、自販機への「有害」図書類の収納を禁止した県青少年保護育成条例違反の容疑で県内や都内の7業者を家宅捜索したという。

『朝日新聞』(東京版)に「国への予算要求都議らに説明 都、各党に協力要請」という記事が掲載される。記事によると、東京都は12日、自民、公明、民主の国会議員や都議に国への要求内容を説明し、協力を求めたという。また、自民党都連への要請会で石原慎太郎知事は、青少年の深夜徘徊をビデオ撮影する方針について、「不健全な風俗や高校の荒廃ぶりは、度肝を抜くような退廃だ。わかってもらうためビジュアルにまとめるので、積極的に活用してほしい」と話したという。
『東京新聞』(東京版)にも「都、各党に協力要請 地方税、治安強化、三宅支援 国の来年度予算提案要求」という記事が掲載された。

『日本経済新聞』(夕刊)に「私もひと言 東京都の成人雑誌規制 当然のこと/効果には疑問」という記事が掲載される。東京都の「不健全」図書規制の強化に対する読者からの意見が掲載されている。

8月14日

 『北海道新聞』に「16歳少年に入れ墨 小樽 修理業の男を再逮捕」という記事が掲載される。記事によると、小樽署は13日、16歳の少年に入れ墨を彫ったとして、銃刀法違反で現行犯逮捕されていた容疑者を道青少年保護育成条例違反の疑いで再逮捕したという。

8月16日

 『産経新聞』に「有害図書・ビデオから子供守る コンビニなどに巡回員 来年度からPTA、教職員ら参加」という記事が掲載される。
【関連情報】
1.東京都には、2004年3月の条例改定で導入され、7月1日から施行されている「東京都青少年健全育成協力員」制度がある。これは、各区市町村などから推薦された協力員が個別指定された図書(指定図書)や18禁表示のある図書(表示図書)の区分陳列状況を調査し、東京都に報告。都はこの報告をもとに立ち入り調査を行い、指導するというものである。

2.『読売新聞』(横浜版)2003年11月26日付「少年犯罪抑制 条例見直しへ 市長と知事 川崎市長 市職員に立入調査権」という記事によると、中田宏・横浜市長は25日、松沢成文・神奈川県知事、阿部孝夫・川崎市長との懇談会で、県条例を改定し、「有害」図書を陳列する店舗への立入調査権を横浜・川崎の両市長が指定する者にも認めることなどを提案したという。この提案に対し、松沢知事は「立ち入り調査を両市職員に認めることは可能だ。実現方法については、県条例を改正するのか、あるいは市条例を独自に作ったほうがいいのか、三県市で議論したい」と述べたという。

3.八都県市では青少年条例による規制の強化・共通化を進めている。「有害」規制監視隊が入手した2004年7月13日開催の埼玉県青少年健全育成審議会で配布された資料によると、規制の強化・共通化の内容は、(1)「有害」図書等の区分陳列基準の設定、(2)青少年の深夜立入制限施設の追加など、(3)生セラの規制、(4)スカウトの規制――の4項目である。(2004/8/24 04:35)
▼「八都県市 区分陳列基準や深夜立入制限施設を共通化 独自の規制も検討中」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/33.htm

8月21日
『東京新聞』に「授業でネットマナー 佐世保事件受け文科省 小中高60校指定へ」という記事が掲載される。記事によると、文部科学省は来年度から、インターネットを使用する際の情報モラルについてのモデル授業を指定校で実践し、効果のあった取り組みを全国に普及させるという。また、優れた取り組みは教員向けサイト「“情報モラル”授業サポートセンター」で紹介するほか、教員が指導に迷った際にメールでアドバイスを受けられる質問箱を同サイトに設置するという。
『毎日新聞』にも「ネットマナー 教員に指導支援 同級生殺害事件受け 文科省、来年度から」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼“情報モラル”授業サポートセンター

http://sweb.nctd.go.jp/support/index.html

【関連情報】
 文部科学省は平成13年度から青少年とメディアに関する調査研究を実施している。平成13年度は「テレビ」、平成14年度は「インターネット」、平成15年度は「テレビゲーム」をテーマにした報告書がまとめられており、これらは次のページで確認することができる。(2004/8/21 07:05)
▼青少年の健全育成
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/main4_a7.htm(文部科学省)

8月24日

 『朝日新聞』(夕刊)に「東京都 脱法ドラッグを条例規制 有害商品、独自指定へ」という記事が掲載される。
【関連リンク】
▼「平成16年度東京都薬事審議会の開催について ~脱法ドラッグ対策を進めるための条例制定に向け動きだす~」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/08/40e8n100.htm

8月26日

 『朝日新聞』に「脱法ドラッグ  これは麻薬の入り口だ」という社説が掲載される。

8月29日

 『毎日新聞』に「投稿欄活用した授業例など紹介 新聞活用教室」という記事が掲載される。記事によると、毎日新聞主催の「新聞活用実践教室」の6回目が28日に開催され、教師ら約70人が参加したという。瀬戸純一論説室副委員長らが社説のテーマや内容がどう決まるかを説明したという。
【関連情報】
1.毎日新聞社の瀬戸純一論説室副委員長は、東京都青少年健全育成審議会の会長代理である。瀬戸会長代理は、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。3月30日に改定された東京都青少年健全育成条例では、瀬戸会長代理の主張通り、包括指定の導入に代えて、帯紙措置とも連動し個別指定が強化されている。
 なお、東京都青少年健全育成審議会の委員名簿や近年開催された審議会の議事録等は次のページで確認することができる。
▼「審議会等」

http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm

2.瀬戸会長代理の前に東京都青少年健全育成審議会の会長代理であった津山昭英・朝日新聞東京本社編集局記事審査部長(当時)は、『新聞協会報』2004年2月10日付「教科書にみるメディア3 「報道の役割、紹介を」 新聞関係者の意見から」で、マスメディアに関する教科書の記述に対し、次のように述べている。

「表現の自由が、人にとって最も基本的な権利であることをもっとしっかり教えるべきだ」

「マスメディアの役割についても、世論形成などだけでなく、真実の発掘や人権の擁護、権力の監視といった、報道が果たしてきた積極的な役割をもっと紹介すべきだ」

「情報過多の時代に、新聞が報道倫理を守り、確かな情報を伝えるためにいかに努力しているかを伝える記述が不足している」

 メディア関係者の審議会参加には古くから様々な批判がある。ところが、津山氏は東京都青少年健全育成審議会の会長代理として帯紙措置との連動もある東京都の個別指定に“お墨付き”を与えてきた。
 こうした行動は「表現の自由」や「真実の発掘や人権の擁護、権力の監視」、そして「報道倫理」にどういう役割を果たしてきたのだろうか。また、「情報過多の時代」であるにもかかわらず、メディア関係者の審議会参加が持つ問題点を「伝える記述が不足している」のはなぜだろうか。津山氏の場合、教科書に注文をつける前に、こうした疑問に回答すべきではないだろうか。

3.東京都以外でも、メディア関係者が審議会の委員として「有害」図書指定や青少年条例の改定・強化などにかかわっている場合がある。たとえば、岩手県では、横山尹浩・テレビ岩手専務取締役が2004年8月6日、「有害」図書指定の適否を判断する岩手県青少年環境浄化審議会の会長に選任されている。また、2004年7月13日に開催された愛知県青少年保護育成審議会では、瀬川忠之・NHK名古屋放送センター放送(制作)部長が、「東京都では、タレントの山田邦子さんを登場させ、有害図書追放のニュースを全国に発信していた。今後、愛知県としてもこうした取組を広く県民に知ってもらうPR方法を考えていく必要がある」と述べ、「有害」図書の追放などにメディアを利用すべきだと主張している。(2004/8/29 09:05)
▼「第294回岩手県青少年環境浄化審議会議事録」

http://www.pref.iwate.jp/~hp0313/kaigi/16.08.06kekka.htm

▼「愛知県  条例改定の検討はじまる 平成16年度第1回審議会」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/34.htm

4.熊田 亘・埼玉県立志木高校教諭の『新聞の読み方上達法』(ほるぷ出版、1994年)には、新聞を読み解くための様々な手掛かりが示されている。メディア関係者の審議会参加には次のようなコメントが付されている。

「新聞(を含むマスコミ)にとってとても重要な「信頼性」は、政府権力と癒着すれば失われるし、もし癒着していなくても癒着していることが疑われるような行為をとるだけでも損なわれると考えられている。「李下に冠を正さず」ということなのかもしれない」(100頁)

 「新聞活用実践教室」で話をしたり、教科書に注文をつけるメディア関係者が、審議会の委員として「有害」図書指定や青少年条例の改定・強化などにかかわっていたという事実。そして委員を送り込むことで審議会に関与しているにもかかわらず、審議会の内容はおろか、関係者が委員として参加している事実さえ、まったく報道しない「新聞(を含むマスコミ)」。これらの行為は「とても重要な「信頼性」」を大きく損なうものではないのだろうか?(2004/8/30 07:20)

8月31日

 『広報東京都』第705号に「子どもの分かり合う力・自立する力を育てます 東京都青少年育成総合対策推進本部を設置」という記事が掲載される。8月4日に設置された「東京都青少年育成総合対策推進本部」(本部長、竹花豊副知事)の基本目標や、竹花副知事による発足式での決意表明が紹介されている。

『東京新聞』に「脱法ドラッグ 都、年内に規制条例案 全国初 販売禁止や罰則盛る」という記事が掲載される。

9月1日

 『読売新聞』(夕刊)に「野放し 脱法ドラッグ 路上堂々」という記事が掲載される。

9月3日

 『毎日新聞』(横浜版)に「自動販売機にアダルト雑誌 県条例違反容疑 責任者を逮捕」という記事が掲載される。
『朝日新聞』(神奈川版)にも「有害図書の自販機撤去せず送検」という記事が掲載された。
『読売新聞』(横浜版)にも「自販機に有害図書 容疑の業者を逮捕」という記事が掲載された。
『産経新聞』(神奈川版)にも「有害図書2冊自販機に収納」という記事が掲載された。
『神奈川新聞』にも「有害図書自販機に収納 県警容疑の男2人送検 横浜・泉区」という記事が掲載された。
【関連情報】
 『読売新聞』(横浜版)2004年8月13日付「自販機に有害図書 容疑の業者を捜索」という記事によると、県警少年課は10日、11日の両日、自販機への「有害」図書類の収納を禁止した県青少年保護育成条例違反の容疑で、今回逮捕された業者を含む県内や都内の7業者を家宅捜索したという。(2004/9/5 00:30)

『朝日新聞』(長崎版)にも「レンタルビデオ店調査 貸し出し制限 対応は不十分 県教委、指導へ」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼「レンタルビデオ店立入調査結果について」

http://www.pref.nagasaki.jp/cgi-local/koho_cgi/kensei_news.cgi?mode=detail_disp&yymmdd=20040902&year=2004&month=09&day=02&dno=05&pno=01&key=&pageno=

【関連情報】
1.『毎日新聞』2004年6月5日付「殺害手法「バトル・ロワイアル」に酷似」という記事によると、小6同級生殺害事件で家裁に送致された女児は、事件の約1ヵ月前、佐世保市内のレンタルビデオ店で「バトル・ロワイアルⅡ」のDVDを借りていたという。15歳未満への貸出は禁止されていたが、女児は姉の会員カードを使っていたという。また、小説「バトル・ロワイアル」は図書館で借りていたという。

2.『東京新聞』2004年7月28日付「浸透するネット 中 残虐映像 反復で脳裏に蓄積 暴力を学習し、行動の台本が・・・」という記事は、佐世保市の小6女児同級生殺害事件をテーマに、メディア暴力研究の専門家である佐々木輝美・国際基督大学教授らを取材している。記事の中で佐々木教授は、「映像を見ることがすぐ行為に結びつくわけではない」と断ったうえで、「子どもの頭の中に映像が蓄積されることが心配。佐世保の事件は蓄積が実際の行為を招いた典型例に見えた」と話している。

3.佐々木教授は、『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)で、ヒューズマンの「メディア暴力の長期的効果の循環モデル」を紹介し、次のように説明している。

「このモデルの中心となっているのはスクリプトという概念である。スクリプトとは、人々が行動を起こす時のいわば台本にあたるものである。我々の日常生活において何か問題が生じた時、常識的に考えれば暴力以外の平和的な方法で対処することがほとんどである。しかし、暴力番組では問題解決方法として安易に暴力をふるうシーンが描かれる場合が多く、そのような番組に多く接することで、視聴者が問題解決の主な方法として暴力があることを記憶してしまう。これが繰り返されると人々の脳の中にスクリプト(行動の台本)が形成されるのである。このような攻撃的なスクリプトが形成されると、何か問題が生じた時に問題解決の手段として暴力を行使する可能性が高くなるのである。従って、攻撃的スクリプトの形成を抑制するためにはメディア暴力を減らすことが必要となってくるのである」(181頁)

 同書では、暴力シーンを減らすというメディア側における対応だけでなく、受け手側における対応も重要であると指摘されている。具体的には、親子でテレビを共同視聴し、親が暴力シーンに否定的なコメントをすることや、学校教育でメディア暴力の現実性や適切性に対する子どもたちの態度を変える教育的介入を行う必要があるという。これらは過去の研究結果から効果を期待できるが、効果を高める工夫や逆効果の生じる可能性を減らすための研究が必要であるという。

4.佐々木教授の『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)や、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)は、メディアの影響を検証した数多くの研究を概観し、関連する理論について詳細に論じている。(2004/9/5 00:45)

9月8日

 『朝日新聞』に「ネットと子供考える きょう協議会発足」という記事が掲載される。記事によると、「ネット社会と子どもたち協議会」の設立総会が8日、都庁で開かれるという。
【関連リンク】
▼「東京都青少年育成総合対策推進本部」

http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/seisyounen/index.htm

9月9日

 『東京新聞』(東京版)に「“出会い系”規制へ法改正を 提言の素案固まる」という記事が掲載される。記事によると、「ネット社会と子どもたち協議会」の設立総会が8日、都庁で開かれ、検索サイト運営業者にフィルタリングソフトの活用を求めることなどを盛り込んだ緊急提言(素案)が明らかにされたという。
『朝日新聞』(東京版)にも「子どもとネット緊急課題を検討 都などで協議会設立」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』にも「子どものネット環境改善 協議会設立、都に提言」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼「東京都青少年育成総合対策推進本部」

http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/seisyounen/index.htm

9月16日

 『東京新聞』に「加害少女 自立支援施設へ 佐世保小6事件 2年間行動制限 家裁支部決定 「ホラー小説影響」」という記事が掲載される。記事によると、長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件で、長崎家裁佐世保支部は少女を自立支援施設に送致することを決めたという。小松平内裁判長は「少女に精神病性の障害はない。傾倒したホラー小説などの影響で、攻撃的な自我を肥大化させた」と指摘したという。
 また、『毎日新聞』に掲載された「「妥当な決定」 加害女児の付添人弁護士」という記事によると、加害女児の付添人弁護士3人は記者会見で、「事件の重大性や精神的な未熟さなどから考えると妥当な決定だったと思う」と家裁支部の決定を評価。さらに、「現実感に乏しく、怒りの処理に乏しさを感じる子供たちにメディアが与える影響についても、この事件を機に実のある議論がなされることを願う」と訴えたという。
『朝日新聞』にも「佐世保・小6事件 女児を自立支援施設送致 家裁支部 2年間行動制限」などの記事が掲載された。
『読売新聞』にも「佐世保小6殺害 女児 自立支援施設へ 家裁決定2年間行動制限」などの記事が掲載された。
『日本経済新聞』にも「佐世保小6事件加害女児 自立支援施設へ 家裁支部決定」などの記事が掲載された。
『The Japan Times』にも「Killer,11,to be placed in institution Threat of time in solitary」という記事が掲載された。
【関連情報】
1.『東京新聞』2004年7月28日付「浸透するネット 中 残虐映像 反復で脳裏に蓄積 暴力を学習し、行動の台本が・・・」という記事は、佐世保市の小6女児同級生殺害事件をテーマに、メディア暴力研究の専門家である佐々木輝美・国際基督大学教授らを取材している。記事の中で佐々木教授は、「映像を見ることがすぐ行為に結びつくわけではない」と断ったうえで、「子どもの頭の中に映像が蓄積されることが心配。佐世保の事件は蓄積が実際の行為を招いた典型例に見えた」と話している。
▼「子どもを守ろう 浸透するネット (中) 残虐映像 反復で脳裏に蓄積」

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040728/ftu_____kur_____001.shtml

2.佐々木教授は、『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)で、ヒューズマンの「メディア暴力の長期的効果の循環モデル」を紹介し、次のように説明している。

「このモデルの中心となっているのはスクリプトという概念である。スクリプトとは、人々が行動を起こす時のいわば台本にあたるものである。我々の日常生活において何か問題が生じた時、常識的に考えれば暴力以外の平和的な方法で対処することがほとんどである。しかし、暴力番組では問題解決方法として安易に暴力をふるうシーンが描かれる場合が多く、そのような番組に多く接することで、視聴者が問題解決の主な方法として暴力があることを記憶してしまう。これが繰り返されると人々の脳の中にスクリプト(行動の台本)が形成されるのである。このような攻撃的なスクリプトが形成されると、何か問題が生じた時に問題解決の手段として暴力を行使する可能性が高くなるのである。従って、攻撃的スクリプトの形成を抑制するためにはメディア暴力を減らすことが必要となってくるのである」(181頁)

 同書では、暴力シーンを減らすというメディア側における対応だけでなく、受け手側における対応も重要であると指摘されている。具体的には、親子でテレビを共同視聴し、親が暴力シーンに否定的なコメントをすることや、学校教育でメディア暴力の現実性や適切性に対する子どもたちの態度を変える教育的介入を行う必要があるという。これらは過去の研究結果から効果を期待できるが、効果を高める工夫や逆効果の生じる可能性を減らすための研究が必要であるという。

3.『視聴覚教育』2001年5月号に掲載された対談「メディアの暴力について考える ~映画「バトル・ロワイアル」を手がかりに~」では、佐々木教授と坂元 章・お茶の水女子大学文教育学部教授がメディア暴力の影響や教育的介入の必要性について語っている。

4.佐々木教授と坂元教授は文部科学省が平成13年度から実施している青少年とメディアに関する調査研究の協力者である。この調査研究により、平成13年度は「テレビ」、平成14年度は「インターネット」、平成15年度は「テレビゲーム」をテーマにした報告書がまとめられている。これらの報告書は次のページで確認することができる。
▼青少年の健全育成

http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/main4_a7.htm

5.佐々木教授の『メディアと暴力』(勁草書房、1996年)や、H.J.アイゼンク、D.K.B.ナイアス『性・暴力・メディア』岩脇三良訳(新曜社、1982年)は、メディアの影響を検証した数多くの研究を概観し、関連する理論について詳細に論じている。(2004/9/16 06:45)

9月17日

 『日刊スポーツ』に「金沢の夫婦惨殺17歳無職少年 自宅から残虐ビデオ 相当量を押収」という記事が掲載される。記事によると、金沢市で17歳の少年が夫婦を刺殺した強盗殺人事件で、石川県警が少年の自宅から、残虐なシーンのあるテレビゲーム、ビデオ、コミック本などを押収していたことが分かったという。
 また、少年は刃渡り約30センチのナイフをインターネットで購入していたという。業者は18歳未満への販売を自主規制していたが、年齢確認は自己申告のため、事実上誰でも買うことができたという。

9月21日

 Yahoo!ニュースに「中学生の「性」条例で規制 東京都、委員会で議論へ」という記事が掲載される。
▼「中学生の「性」条例で規制 東京都、委員会で議論へ」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040921-00000030-kyodo-soci

【関連リンク】
▼「第1回「青少年の性行動について考える委員会」の開催について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/09/40e9f200.htm

9月22日

 『東京新聞』に「有害ゲーム規制検討 愛知県 暴力場面多いソフト」という記事が掲載される。記事によると、愛知県は21日までに県青少年保護育成条例を改定し、暴力シーンの多いテレビゲームソフトなどを規制する方針を固めたという。有識者の意見を参考に、青少年に適さないソフトを「有害図書類」に指定する方法などを検討するという。

『毎日新聞』(東京版)に「知事所信表明 青少年の実態直視を 映像資料作成 性行動議論の場も」という記事が掲載される。
『朝日新聞』(東京版)にも「青少年対策を積極的に推進 知事、所信表明で強調」いう記事が掲載された。

9月23日

 『朝日新聞』に「性交渉に? 年齢制限! 都、条例に追加検討」という記事が掲載される。
『毎日新聞』(東京版)にも「「中高生らの性」を考える 都が委員会設置」いう記事が掲載された。
『読売新聞』(東京版)にも「青少年の「性」大丈夫!? 都で初会合」という記事が掲載された。
『東京新聞』にも「「中学生の性行為禁止すべきだ」 青少年の性行動考える都委員会」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼「第1回「青少年の性行動について考える委員会」の開催について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/09/40e9f200.htm

9月25日

 『朝日新聞』(東京版)に「中学生の性交渉 条例で禁止せず 知事が表明」という記事が掲載される。
『毎日新聞』(東京版)にも「中学生以下の性交渉 条例規制に否定的 知事」という記事が掲載された。

9月26日

 『東京新聞』に「役所の募集に反応なし3割超 パブリックコメントって何?」という特集記事が掲載される。
【関連情報】
1.この記事には、「デスクメモ」として、「ほとんど都合の良い人ばかりを集めた審議会や委員会など、行政は「形」を整えるのが好きだ」というコメントがついている。自分たちの行動を棚に上げ、こうした批判を行えるのはなぜだろうか。

 庄司正・東京新聞編集局文化部長は、「不健全」図書指定などを行う東京都青少年健全育成審議会に委員として参加している。また、東京新聞に限らず、様々なメディア関係者が、様々な審議会に委員として参加している。ところが、こうした事実は報道されない。彼らはなぜ、「都合の良い」ことだけを報じ、「「形」を整えるのが好き」なのだろうか。
 元朝日新聞記者の柴山哲也氏は、『日本型メディア・システムの崩壊』(柏書房、1997年)で、「社説では官庁や銀行にディスクロージャー(情報公開)をいいながら、じつは自分自身がもっとも閉鎖的で内部の問題点を隠しているのが日本のメディア産業の特徴である」(188-189頁)と指摘し、次のような改革が必要であると主張している。

「読者本位の組織に変えるために、新聞社や放送局の経営内容やパフォーマンスをガラス張りにして読者・視聴者に公開する必要がある。部数や視聴率がどのように算定されるのか、新聞購読料値上げはなぜ必要か、紙面や内容と関係のない部分でどんな無駄使いがあるのか。さらに、審議会などを通じたメディアと政府、政財官との癒着の関係がどのようなレベルのものか。このような内部情報の公開を通じて読者は日常の紙面の記事、主張と経営行動との乖離、ずれを発見でき、個人の自由意思でジャーナリズムの選別をすることができるようになる」(256頁)

 メディア関係者が取材者ではなく、委員として審議会に参加することには、「『原則不参加』の方針を打ち出すべき」(天野勝文「現代日本のマス・メディア」天野勝文、松岡由綺雄、村上孝止編『改訂版 現場からみたマスコミ学』(1996年)、9頁)という意見もある。原則不参加が不可能ならば、せめて、審議会を通じた「癒着の関係」を“自ら”公開し、読者・視聴者が「日常の紙面の記事、主張と経営行動との乖離、ずれを発見」し、「個人の自由意思でジャーナリズムの選別をすること」を助けるべきである。

2.元毎日新聞記者の天野勝文氏は、メディア関係者の審議会参加について、次のように批判している。

「本来ならば記者は審議会委員に夜討ち朝駆けしてでも、審議の様子を聞き出して報道すべきなのである。しかし、自社の論説委員長や解説委員のところに夜討ち朝駆けするだろうか。審議会の民主化どころか、密室性を高める結果になり、自縄自縛に陥っていると思う」(天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号、298頁)

 庄司正・東京新聞編集局文化部長も出席していた第524回東京都青少年健全育成審議会では、条例改定をテーマに、規制強化の方向性が議論がされていた。では、その内容は報道されたのだろうか? 東京新聞に限らず、審議会の内容はおろか、新聞関係者が委員として参加していた事実さえ、まったく報道されなかったのではないだろうか?
 「密室性を高める」とともに、メディアに都合の悪い事実を隠すことで、一体誰が得をしているのか。こうした問題の検証こそ、表面的かつ一過性の“行政批判”より、はるかに重要なのではないだろうか。
 なお、「不健全」図書指定などを行う東京都青少年健全育成審議会の委員名簿や近年開催された審議会の議事録等は次のページで確認することができる。
▼「審議会等」

http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm

3.「有害」規制監視隊は、青少年条例に係るパブリックコメントを東京都が募集したさい、「メディア関係者を審議会委員に任命すべきではない」という意見を提出している。(2004/9/26 07:25)

▼「「公平・適正」な体制を、東京都が責任を持ってつくるために ー審議会の運営改善策等についてー」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/opinion/08.htm

9月28日

 『東京新聞』(夕刊)に「自販機にわいせつ本 収納容疑 出版社社長に逮捕状 神奈川県警」という記事が掲載される。記事によると、神奈川県警少年捜査課などは28日、県青少年保護育成条例違反(収納禁止)の容疑で、アダルト雑誌などの出版・販売を行う会社社長の逮捕状を取ったという。

9月29日

 『東京新聞』に「わいせつ本収納で逮捕」という記事が掲載される。記事によると、自販機にわいせつ本を収納したとして、神奈川県警少年捜査課などは28日、県青少年保護育成条例違反(収納禁止)の容疑で、アダルト雑誌の販売などを行う会社社長を逮捕したという。
『東京新聞』(横浜版)にも「わいせつ本出版社社長を逮捕 県の指導300回無視 罰金軽視 他県は厳罰化の動き」という記事が掲載された。
『神奈川新聞』にも「有害図書収納の会社社長を逮捕 容疑で県警」という記事が掲載された。
【関連情報】
1.『読売新聞』(横浜版)2004年6月29日付「有害図書業者を家宅捜索 県警など 泉区で自販機1台押収」という記事によると、神奈川県警少年課などは28日、県青少年保護育成条例違反(収納禁止)の容疑で、今回逮捕された社長が経営する会社の神奈川営業所を家宅捜索したという。5月末に住民から、「自販機の周りに子供がたまっている。何とかしてもらえないか」と要望があり、泉署が捜査したところ、高校生が「有害図書」を購入しているのを署員が発見、販売元を調べていたという。
2.その他の関連記事は次のとおり。
(1)『読売新聞』(横浜版)2004年8月13日付「自販機に有害図書 容疑の業者を捜索」
(2)『毎日新聞』(横浜版)2004年9月3日付「自動販売機にアダルト雑誌 県条例違反容疑 責任者を逮捕」
(3)『朝日新聞』(神奈川版)2004年9月3日付「有害図書の自販機撤去せず送検」
(4)『読売新聞』(横浜版)2004年9月3日付「自販機に有害図書 容疑の業者を逮捕」
(5)『産経新聞』(神奈川版)2004年9月3日付「有害図書2冊自販機に収納」
(6)『神奈川新聞』2004年9月3日付「有害図書自販機に収納 県警容疑の男2人送検 横浜・泉区」
(7)『東京新聞』2004年9月28日付夕刊「自販機にわいせつ本 収納容疑 出版社社長に逮捕状 神奈川県警」
※「有害」規制監視隊が原紙を確認したもののみ。(2004/9/29 06:40)

10月1日

 『出版ニュース』に、長岡義幸氏(インディペンデント記者)の「文科省規制構想」という記事が掲載される。『産経新聞』2004年8月16日付で取り上げられた文部科学省による「有害情報」対策について報じている。

10月3日

 『サンケイスポーツ』に「エ!? エロ本所持で補導デス 警察庁が「不良行為少年」の定義に」という記事が掲載される。
【関連情報】
1.記事には「有害」規制監視隊のコメントが一部紹介されている。全体の要旨は次のとおり。

 そもそも「有害図書」指定とは、買う青少年ではなく、売る業者の責任を問うもの。「各都道府県の青少年保護育成条例で販売が制限されている」のもこのためだ。
 「不良行為少年」の定義に「有害図書所持」が盛り込まれるとすれば、売る側の責任を問うはずの「有害図書」指定が、買う側の青少年を「不良」とみなすために利用されかねない。これは「有害図書」指定の目的を逸脱している。また、「有害図書」に興味を持つこと自体が非行の始まり、という印象を広める可能性もある。
 これまで規制強化を訴えてきた人々でさえ、そこまでの規制を望んでいたかは疑問だ。「有害図書」の定義が分かりにくい、ということも考え合わせると、所持を補導対象とすることには反対せざるをえない。

 実際、『神奈川県青少年保護育成条例の解説』(2002年4月発行)では、「有害図書類の指定及び販売等の禁止」を規定した第7条の要旨を次のように説明している。

「本条は、図書類の青少年に及ぼす影響の大きいことに鑑み、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類を有害図書類として指定し、これらの図書類を青少年の周囲から排除するよう規制措置を講じるための規定である」(20頁)

 このように「有害図書」指定は、「有害図書」を「青少年の周囲から排除する」ために行われるものである。所持している青少年を補導するための指定ではない以上、所持を理由に補導されるとすれば、指定制度が別の目的に利用されている、といえるだろう。(2004/10/3 07:40)

2.記事には、「有害定義の範囲が今後広がり残虐・暴力などあらゆる本が対象になりかねない」という意見も紹介されている。ただ、青少年条例を持つ全ての都道府県において、既に粗暴性または残虐性、残忍性を誘発・助長する表現が規制対象となっている。しかもこれは、分量に関係なく指定でき、文章やゲームソフトも規制することができる個別指定の対象である。
▼「有害」指定の判断基準

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/ichiran/handan.htm

3.記事には、「ゲームソフトを有害指定する動きもありエロ本だけにとどまらない状況」という指摘もある。ところが、ゲームソフトの「有害」指定は10年以上前から行われている。
 ゲームソフトの「有害」指定については、ソフトの製造販売を行う業者が個別指定を取消すよう宮崎県を訴えたことがある。一審(1994年1月)、二審(1995年3月)ともに業者側が敗訴し、最高裁も1999年12月に上告を棄却した。
 最高裁はこの判決で、個別指定の定義を「不明確であるということはできない」としたのだが、浅野博宣・神戸大助教授は次のように批判している。

「個別指定の定義は、包括指定に比べより概括的であり、一審・二審ともに一致して「それ自体を見る限りにおいては、規制対象が明確であるとは必ずしもいい難い」とし、一審は審議会の内規が定められ公表されていることから、二審はみなし規定の要件から類推できるとすることによって、帳尻を合わせる努力をしていた。にもかかわらず、最高裁が何ら理由付けをすることなく定義が不明確ではないとしたのは、大きな問題であろう」(浅野博宣「パソコンゲームソフトの有害図書類指定」『法学教室』第246号別冊付録「判例セレクト’00」、8頁)

 一般的には、包括指定の方が個別指定よりも問題が多いと言われている。だが、浅野助教授が指摘しているように、「個別指定の定義は、包括指定に比べより概括的」だ。また、秋田県は2003年10月に包括指定を導入しているが、「有害」規制監視隊の意見に対し、「包括指定の基準に至らない図書類については、従来どおり「個別指定」により行う」と回答している。つまり、個別指定は包括指定と比較してより厳しい規制を行うことが可能なのである。
 このように、個別指定は包括指定よりも強力な規制だ。にもかかわらず、個別指定の実態・問題点はほとんど報道されない。また、包括指定を批判する人に比べ、個別指定を批判する人は非常に少ない。これは、個別指定の適否を判断する審議会にメディア関係者が加わっていることと無関係なのだろうか。(2004/10/3 10:10)

10月4日

 『読売新聞』(千葉版)に「18歳未満の古本売買規制を検討 知事表明」という記事が掲載される。記事によると、堂本暁子・千葉県知事は県議会で、現在は認められている青少年からの古書買い取りを規制するため、県青少年健全育成条例を改定する考えを明らかにしたという。

10月5日

 『朝日新聞』(大阪版)夕刊1面に「「有害」雑誌封印大阪も 府、条例改正へ ビニール包装義務化」という記事が掲載される。

10月8日

 『毎日新聞』に木戸哲記者の「「危険な子」たち 「ありのまま」受け入れて」という記事が掲載される。「人を殺したい」という少女や、「バトル・ロワイアル」をヒントに小説を書き、死の悲しみを知ったという少女を題材に、「『心の教育』やホラー規制を求める前に、少女の言葉に耳を傾けてほしい」「作品の暴力的な場面に目を奪われる大人に比べ、文脈を読み取って考える少女の力に私は感心した」と主張している。
【関連情報】
 「ホラー規制を求める前に」とは、誰に向けられた言葉なのだろうか。「作品の暴力的な場面に目を奪われる大人」とは、誰を指しているのだろうか。自分たちの行動を棚に上げ、こうした批判を行えるのはなぜだろうか。
 毎日新聞社の瀬戸純一・論説室副委員長は、東京都青少年健全育成審議会の会長代理である。瀬戸会長代理は、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。3月30日に改定された東京都青少年健全育成条例では、瀬戸会長代理の主張通り、包括指定の導入に代えて、性表現に限らず、暴力表現なども規制することができ、写真や絵だけでなく、文章も規制対象となる個別指定が強化されている。
 紙面での主張と審議会での主張がズレているのはなぜか? 「文脈を読み取って考える」ことができるよう、瀬戸純一・論説室副委員長「の言葉に耳を傾け」、審議会で主張した内容を紙面で詳しく報じるべきではないだろうか。なお、東京都青少年健全育成審議会の委員名簿や近年開催された審議会の議事録等は次のページで確認することができる。(2004/10/8 06:50)
▼「審議会等」

http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index9files/singi.htm

10月10日

 『京都新聞』に「府が青少年育成条例改正案 深夜外出の制限や「性表現」から保護 ネット社会対応へ 府民意見募集 情報管理も重視」という記事が掲載される。

10月13日

 『朝日新聞』(徳島版)に「17歳に入れ墨 彫り師を逮捕 青少年条例違反の容疑」という記事が掲載される。
【関連情報】
 『北海道新聞』2004年8月14日付「16歳少年に入れ墨 小樽 修理業の男を再逮捕」という記事によると、小樽署は13日、16歳の少年に入れ墨を彫ったとして、銃刀法違反で現行犯逮捕されていた容疑者を道青少年保護育成条例違反の疑いで再逮捕したという。(2004/10/14 00:40)

『毎日新聞』(東京版)に「条例で性交渉禁止 中学生以下 都の委員会で議論白熱」という記事が掲載される。
『読売新聞』(東京版)にも「「リスク正しく伝わってない」 都の委員会 性行動の低年齢化を議論」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼「第2回「青少年の性行動について考える委員会」の開催について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/10/40ea4100.htm


【関連報道】

(1)『朝日新聞』2004年9月23日付「性交渉に? 年齢制限! 都、条例に追加検討」
(2)『毎日新聞』(東京版)2004年9月23日付「「中高生らの性」を考える 都が委員会設置」
(3)『読売新聞』(東京版)2004年9月23日付「青少年の「性」大丈夫!? 都で初会合」
(4)『東京新聞』2004年9月23日付「「中学生の性行為禁止すべきだ」 青少年の性行動考える都委員会」
(5)『朝日新聞』(東京版)2004年9月25日付「中学生の性交渉 条例で禁止せず 知事が表明」
(6)『毎日新聞』(東京版)2004年9月25日付「中学生以下の性交渉 条例規制に否定的 知事」

※「有害」規制監視隊が原紙を確認したもののみ。(2004/10/13 07:05)

10月15日

 『日刊スポーツ』に「アダルトサイトを突かれた ライブドアの急所 苦しい弁明 堀江社長劣勢」という記事が掲載される。記事によると、プロ野球に新規参入をめざすライブドアと楽天に対する日本プロ野球組織(NPB)の2回目のヒアリングが14日に行われ、ライブドアについては、青少年の健全育成に影響があるとして、アダルトサイトの運営やアダルトゲームソフトの製造販売が問題になったという。
『日本経済新聞』などにも同様の記事が掲載された。

『毎日新聞』に「官の情報独占に風穴 与野党メディアに介入」という特集記事が掲載される。自民党が準備する「青少年健全育成基本法案」と「青少年有害環境自主規制法案」をめぐる動きなどを報じている。
【関連情報】
1.自民党の中曽根弘文議員らが2004年3月に国会へ提出し、6月に審議未了のまま廃案となった「青少年健全育成基本法案」には次のような条文が盛り込まれていた。

(地方公共団体における社会環境の整備等)

第18条 都道府県は、条例で定めるところにより、その区域において、青少年にとっての良好な社会環境の整備及び青少年の健全な育成を阻害する行為の防止について必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2 市町村は、条例で定めるところにより、その区域において、青少年にとっての良好な社会環境の整備及び青少年の健全な育成を阻害する行為の防止について必要な措置を講ずることができる。

 都道府県が定めた青少年条例に基づき、「有害」図書の審査などを行う審議会には、様々なメディア関係者が委員として参加している。たとえば、毎日新聞社の瀬戸純一・論説室副委員長は、東京都青少年健全育成審議会の会長代理である。
 瀬戸会長代理は2003年11月の第524回東京都青少年健全育成審議会で、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきと主張していた。2004年3月に改定された東京都青少年健全育成条例では、瀬戸会長代理の主張通り、包括指定の導入は見送られ、性表現に限らず、暴力表現なども規制することができ、写真や絵だけでなく、文章も規制対象となる個別指定が強化されている。ところが、瀬戸論説室副委員長が会長代理の立場を“利用”して、規制強化を後押しした事実はまったく報道されない。
 「有害」規制の当事者である新聞社が、紙面では形式儀礼主義的な批判を繰り返す――。こうした問題の検証・改善こそ、形だけの“批判”より、はるかに重要なのではないだろうか。

2.瀬戸会長代理の前に東京都青少年健全育成審議会の会長代理を努めていたのは津山昭英・朝日新聞東京本社編集局記事審査部長(当時)である。津山氏が会長代理であったころ、朝日新聞は2001年1月25日に「有害情報規制 どういう結果を招くか」という社説を掲載している。この社説では、自民党が準備していた「青少年社会環境対策基本法案」について、「メディアを政府や行政の監視下に置く」「メディアリテラシーの能力を育てることが大事だ」などと批判していた。ところが、2001年3月に改定・強化が予定されていた東京都青少年健全育成条例については一言も触れていない。
 「有害」規制の当事者である新聞社が、紙面では形式儀礼主義的な批判を繰り返す――。こうした問題の検証・改善こそ、形だけの“批判”より、はるかに重要なのではないだろうか。(2004/10/15 07:40)

10月16日

 『日刊スポーツ』に「ライブドア1日でアダルトサイト修正」という記事が掲載される。

『朝日新聞』(夕刊)に「迷惑客引き全面禁止 都内の歓楽街抜け道封じへ 警視庁、条例改正の方針」という記事が掲載される。記事によると、警視庁は路上での悪質な客引きやスカウトへの規制強化を検討しているという。現行の都青少年健全育成条例では、18歳未満を性風俗店の接客役などにスカウトすることを禁じているが、都迷惑防止条例を12月の都議会で強化し、年齢にかかわらず規制する方針だという。

10月18日

 『朝日新聞』に「審議会委員の33%兼職 省庁設置非常勤「4つ以上」が15人」という記事が掲載される。中央省庁に設置された審議会の非常勤委員には、閣議決定の趣旨に反し、兼職や官僚出身者の任命が多いことなどを報じている。また、加藤寛千葉商科大学学長(元政府税制調査会会長)の「選ぶ理由公開を」というコメントも掲載されている。
▼「中央省庁審議会委員の33%兼職、「4つ以上」15人も」

http://www.asahi.com/politics/update/1018/001.html

【関連情報】
1.政府が平成11年4月27日に閣議決定した「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」では、

 審議会等(国家行政組織法第8条並びに内閣府設置法第37条及び第54条の審議会等をいう。以下同じ)については、いわゆる隠れみのになっているのではとの批判を招いたり、縦割り行政を助長しているなどの弊害を指摘されているところである。
 こうした問題点を解決し、行政責任を明確にするため、基本法及び最終報告等に基づき、次のとおり整理合理化を行う。

として、「審議会等の設置に関する指針」「審議会等の組織に関する指針」「審議会等の運営に関する指針」「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」が定められた。
 このうち、「審議会等の運営に関する指針」では、委員の選任について次のように規定している。

(1)  委員の選任
  ① 府省出身者
 府省出身者の委員への任命は、厳に抑制する。
 特に審議会等の所管府省出身者は、当該審議会等の不可欠の構成要素である場合、又は属人的な専門的知識経験から必要な場合を除き、委員に選任しない。
  ② 高齢者
 委員がその職責を十分果たし得るよう、高齢者については、原則として委員に選任しない。
  ③ 兼職
 委員がその職責を十分果たし得るよう、一の者が就任することができる審議会等の委員の総数は原則として最高3とし、特段の事情がある場合でも4を上限とする。

 朝日新聞の記事によると、非常勤委員ポスト1702のうち、計570ポストを兼職委員が占め、5つかけもちしていた委員も2人いたという。また、分かっただけでも155ポストが府省出身者で占められ、67ポストが審議会の所管府省出身者だったという。

2.元厚生官僚で評論家の宮本政於氏は『お役所のご法度』(講談社、1995年)で、審議会にはシナリオがあることや、責任回避のために官僚が審議会を利用していることなど、審議会の内幕を明らかにしている。同書は審議会の実態を知るうえで極めて参考になる。
 この他、『週刊読売』1996年6月30日号に掲載された梅崎正直記者の「霞が関の犯罪 官僚の隠れ蓑「諮問機関」のカラクリ」も宮本氏や元委員らを取材し、審議会の問題点を論じている。

3.審議会の問題はメディアにとって他人事ではない。メディアと審議会の関係については、以下の文献が詳しい。
(1)天野勝文「「取り込まれる」ジャーナリスト」『総合ジャーナリズム研究』第128号(1989年) 46-52頁
(2)天野勝文「「取り込まれる」マスコミ人 全国版」『総合ジャーナリズム研究』第144号(1993年) 72-79頁
(3)天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号 296-303頁
(4)天野勝文「新聞人の各種審議会への参加について」新聞労連編『新聞記者を考える』(晩聲社、1994年) 187-211頁

4.「有害」規制監視隊は2004年2月、政府の「審議会等の運営に関する指針」を参考に、官僚OBを審議会委員に任命すべきではない、というパブリックコメントを東京都に提出している。

▼「「公平・適正」な体制を、東京都が責任を持ってつくるために ー審議会の運営改善策等についてー」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/opinion/08.htm

(2004/10/18 07:45)

10月19日

 『読売新聞』(東京版)に「「青少年の性に規範」 副知事 育成条例で検討示唆」という記事が掲載される。

『東京新聞』(横浜版)に「有害図書自販機の摘発増加 罰金刑に抑止効果なく 業者と“いたちごっこ”状態 県条例見直しも「隣県と統一必要」」という記事が掲載される。

10月23日

 『朝日新聞』に「18歳未満深夜外出ダメ 親の義務に 「意識薄い」と条例化 神奈川」という記事が掲載される。
『神奈川新聞』にも「県青少年保護育成条例改正案 保護者責任を義務化 県議会提案へ 深夜外出抑止で全国初」という記事が掲載された。
『朝日新聞』(神奈川版)にも「青少年の深夜外出 抑制へ 保護者責任強化 条例改正県が方針 事業者に罰金」という記事が掲載された。
『毎日新聞』(横浜版)にも「青少年の深夜外出抑制へ カラオケボックス規制など 県、来年2月にも条例改正案」という記事が掲載された。
『読売新聞』(神奈川版)にも「夜間外出、親の責任義務化 県青少年保護育成条例改正へ 知事方針」という記事が掲載された。・
『日本経済新聞』(神奈川版)にも「カラオケやマンガ喫茶 深夜入店を制限 県、青少年保護条例改正へ」という記事が掲載された。
『東京新聞』(横浜版)にも「未成年深夜外出 保護者罰則見送り 県の青少年保護育成条例改正案 カラオケなど制限」という記事が掲載された。

『毎日新聞』(東京版)に「条例改正 客引き禁止「妥当」 知事見解 繁華街迷惑行為対策で」という記事が掲載される。

『東京新聞』(東京版)に「性の低年齢化で対策作り 都、中学生から意見募集」という記事が掲載される。

10月26日

 『朝日新聞』(東京版)に「不登校やネット 10代の本音は? 都がメールで意見募集」という記事が掲載される。
【関連リンク】
▼東京都青少年育成総合対策推進本部

http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/seisyounen/

10月27日

 日本海新聞ホームページに「有害図書など規制強化 県、条例改正へ」という記事が掲載される。
▼「有害図書など規制強化 県、条例改正へ」

http://www.nnn.co.jp/news/news1027.html#10274

『東京新聞』(横浜版)に「中田市長「罰則」こだわらず 青少年の深夜外出 保護者責任明確化で」という記事が掲載される。
▼「横浜市長『罰則』こだわらず 青少年の深夜外出」

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20041028/lcl_____kgw_____000.shtml

10月28日

 『神奈川新聞』に「県・横浜・川崎3首長懇談会 「親の責任」義務化 改正育成条例 立ち入り調査権 政令市移譲へ」という記事が掲載される。
『朝日新聞』(神奈川版)にも「有害図書規制立ち入り権限 知事「県から市に移譲も」」という記事が掲載された。
『読売新聞』(神奈川版)にも「都市部の緑地保全を 横浜・川崎市長 水源税に関し要望 知事と懇談」という記事が掲載された。
『産経新聞』(神奈川版)にも「青少年保護育成条例改正に賛意 知事と横浜、川崎市長懇談」という記事が掲載された。
『日本経済新聞』(神奈川版)にも「県青少年条例 規制強化で一致 3首長会談 市に立ち入り権も」という記事が掲載された。
『東京新聞』(横浜版)にも「水源税、両市長とも賛意 3首長懇談会 「都市部に還元を」 有害図書立ち入り権、市に委譲へ」という記事が掲載された。

10月29日

 『神奈川新聞』に「青少年の健全育成へ 有害図書販売防止対策会議 環境整備を考える」という記事が掲載される。
『毎日新聞』(横浜版)にも「有害図書自販機 泉区の10台一掃 横浜・対策会議で報告」という記事が掲載された。

『東京新聞』(夕刊)に作家の赤坂真理氏による「性の年齢制限」というコラムが掲載される。東京都の委員会が検討している中学生以下の性交渉の禁止について論じている。

11月1日

 『読売新聞』(東京版)に「「アダルト雑誌、陳列区分を」 光が丘の主婦らコンビニなど実態調査」という記事が掲載される。

11月2日

 『東京新聞』(夕刊)に「ネット有害情報防止策など諮問 都知事」という記事が掲載される。

11月3日

 『読売新聞』(東京版)に「性の低年齢化対策を諮問 都が協議会に インターネット規制など3点」という記事が掲載される。
『毎日新聞』(東京版)にも「都青少年問題協議会 規制が必要で一致 来春の都議会 条例改正案の提出も」という記事が掲載された。
『朝日新聞』(東京版)にも「子どもの性やネット問題諮問 都、青少年問題協に」という記事が掲載された。
【関連リンク】
▼「第26期東京都青少年問題協議会第1回総会について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/10/40eaq100.htm


▼「東京都 2月都議会での条例改定を視野 青少年問題協議会第1回総会」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/40.htm

11月5日

 『読売新聞』(横浜版)に「有害図書、自販機に収納容疑 業者をきょう書類送検 県警と泉署」という記事が掲載される。

11月9日

 『神奈川新聞』に「業者ら書類送検 自動販売機に有害図書収納 容疑で県警」という記事が掲載される。
『読売新聞』(横浜版)にも「自販機に有害図書 業者を書類送検」という記事が掲載された。
『産経新聞』(神奈川版)にも「有害図書で書類送検」という記事が掲載された。
『東京新聞』(横浜版)にも「有害図書収納で4人を書類送検」という記事が掲載された。

『東京新聞』(東京版)に「中学生の性行動規制の条例化 都委員会、意見集約先送り」という記事が掲載される。
『読売新聞』(東京版)にも「「中学生の性交渉条例で禁止を」 都の委員会で多数意見」という記事が掲載された。
『毎日新聞』(東京版)にも「中学生以下の性交渉 「条例で禁止を」大勢 都有識者会議」という記事が掲載された。
【関連情報】
1.『読売新聞』の記事によると、PTAの代表は「中学生は性交渉すべきではないが、条例化は慎重にという父母が多い」と反対意見を述べたという。また、欠席した2人の委員も条例での規制に慎重な意見を提出したという。規制に慎重な父母が多いにもかかわらず、規制に賛成する委員ばかりが集められているのはなぜだろうか。
2.『毎日新聞』の記事には、「委員会事務局は今週中には最終報告をまとめる方針だ」とあるものの、『東京新聞』の記事には、「中学生の性行動の条例規制について意見が分かれ、予定されていた意見集約は先送りされた」「再度意見集約を行い、必要があれば会合をもう一度開くことで合意した」とある。なお、東京都青少年問題協議会は11月15日と19日の専門部会で「青少年の性に対する関わり方」を審議し、来年1月24日にも緊急答申をまとめる予定だ。この緊急答申の内容によっては、都青少年健全育成条例で中学生以下の性交渉が禁止される可能性がある。(2004/11/9 07:20)

11月16日

 『読売新聞』(夕刊)一面に「規制改革に慎重発言 内定委員を“解任” 『結論ありき』の審議会体質露呈 内閣府推進会議」という記事が掲載される。新藤宗幸・千葉大教授(行政学)の「審議会は決定機関ではなく、多様な意見を勘案して基本的方向を出すことが役割。事前に特定の意見が排除されるのはおかしい。官僚は、審議会の結論を社会的合意のように見せたいので、常に委員を仕切ろうとするが、このようにはっきりと舞台裏が見えるのは珍しい」というコメントも掲載されている。
【関連情報】
1.『週刊読売』1996年6月30日号に掲載された梅崎正直「官僚の隠れ蓑「諮問機関」のカラクリ」という記事では、官庁の元幹部が委員の人選について次のように語っている。

「政府の方針に反対の立場の委員も一応入れるわけですが、せいぜい一人か二人。そして、会長には中立派で有名な学者を据えるのですが、特に重要な条件は『反対派に抑えが利く』ということです。これで審議を“円滑”に進める。ごく普通の手法です。これは良心的な方で、政府の方針に合った意見の持ち主だけで固めたものもありますよ」(39頁)

 また、元厚生官僚で評論家の宮本政於氏は、『お役所のご法度』(講談社、1995年)で、「入省当時、審議会の委員の選定作業を横で見ていましたが、最終的には役所の意向に従う人が選定の際の要件でした」(249頁)と述べている。

2.審議会の問題はメディアにとって他人事ではない。メディアと審議会の関係については、以下の文献が詳しい。
(1)天野勝文「「取り込まれる」ジャーナリスト」『総合ジャーナリズム研究』第128号(1989年)、46-52頁
(2)天野勝文「「取り込まれる」マスコミ人 全国版」『総合ジャーナリズム研究』第144号(1993年)、72-79頁
(3)天野勝文「政府審議会は記者のウバ捨て山か 記者クラブ同様これも一つの癒着ではないか」『文芸春秋』1993年11月号、296-303頁
(4)天野勝文「新聞人の各種審議会への参加について」新聞労連編『新聞記者を考える』(晩聲社、1994年)、187-211頁

3.「有害」規制監視隊は2004年2月、政府の「審議会等の運営に関する指針」を参考に、官僚OBを審議会委員に任命すべきではない、というパブリックコメントを東京都に提出している。また、10月には鳥取県、11月には京都府に対し、委員の選任方法を改善すべきだという意見を提出している。
▼「「公平・適正」な体制を、東京都が責任を持ってつくるために ――審議会の運営改善策等について」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/opinion/08.htm

▼「審議会の透明性と独立性を、鳥取県が責任を持って高めるために ――委員の選任方法の改善策等について」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/opinion/12.htm

▼「審議会の透明性と独立性を、京都府が責任を持って高めるために ――委員の選任手続きの改善策等について」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/opinion/kyoto/H16-1.htm

(2004/11/17 07:30)

『朝日新聞』(東京版)に「中学生以下の性交渉対策 禁止条例に賛否 都委員会 意見まとめ両論併記」という記事が掲載される。記事によると、「青少年の性行動に関する委員会」は15日、都青少年問題協議会に「意見のまとめ」を提出したという。「意見のまとめ」は、インターネットや雑誌、漫画などには性行動をあおる情報が多く、危険性に関する情報は著しく少ないことなども指摘しているという。
『毎日新聞』(東京版)にも「中学生以下の性交渉禁止条例化 両論併記で最終意見 都の有識者会議まとめ」という記事が掲載された。
『東京新聞』にも「中学の性行動規制条例化に賛否併記 都の委員会」という記事が掲載された。

11月17日

 『読売新聞』の「自民調査会 憲法改正大綱の原案(要旨)」という記事によると、16日に明らかとなった自民党憲法調査会の「憲法改正大綱原案」には、「青少年を保護するため、出版及び映像に関する規制を法律で定める」という項目が盛り込まれていたという。また、「集団的自衛権の行使容認 自民憲法改正大綱原案 女性天皇も 知る権利や肖像権追加」という記事によると、自民党はさらに議論をすすめ、来年11月に憲法改正草案を決定する方針だという。

11月20日

 『東京新聞』に「中学生の性行動規制 条例化で都知事「世間で通らぬ」」という記事が掲載される。
『読売新聞』(東京版)にも「性行動規制条文化 知事「なじまない」」という記事が掲載された。
『毎日新聞』(東京版)にも「中学生以下の性交渉禁止 知事「条例化なじまない」」という記事が掲載された。
『朝日新聞』(東京版)にも「性交渉禁止条例知事が消極姿勢 中学生以下規制検討に」という記事が掲載された。
【関連情報】
1.石原慎太郎・東京都知事は2004年9月24日の定例記者会見で、「中学生のセックスは条例で禁止しろなんて、いかがなものか」と述べるなど、条例による規制には慎重な考えを示している。一方、『読売新聞』(東京版)2004年10月19日付「「青少年の性に規範」 副知事 育成条例で検討示唆」という記事によると、竹花豊・東京都副知事は18日、「東京地区マスコミ倫理懇談会」の月例会で講演し、青少年の性行動について、「今後、何らかの規範を創設する必要があるし、可能だとも思う」と述べたという。
▼「石原知事定例記者会見録」

http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/TEXT/2004/040924.htm

【関連リンク】
▼「「青少年の性行動について考える委員会 意見のまとめ」について」

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2004/11/40ebf200.htm

2.インターネット・携帯電話の「有害情報」対策や青少年の性に対する関わり方などを議論している東京都青少年問題協議会は来年1月24日にも緊急答申をまとめる予定だ。この緊急答申の内容によっては、都青少年健全育成条例にインターネットに関する規制や中学生以下の性交渉の禁止などが盛り込まれる可能性がある。(2004/11/20 07:20)

11月23日

 『読売新聞』(大阪版)2面に「近畿共通条例の制定検討を推進 近畿6府県議」という記事が掲載される。

11月25日

 『上毛新聞』に「学校周辺の制限強化 県青少年保護育成審 有害図書自販機で答申へ」という記事が掲載される。記事によると、群馬県青少年保護育成審議会は25日、「有害」図書自動販売機の規制のあり方について答申するという。答申の内容は、(1)学校周辺の自販機設置制限強化、(2)自販機設置に地域住民が関与できる制度の創設、(3)違反を繰り返す悪質な業者への規制強化――の3つだという。
【関連リンク】
▼「群馬県青少年保護育成審議会の答申について」

http://www.pref.gunma.jp/hpm/kodomo/00106.html

11月26日

 『東京新聞』(夕刊)に「有害HP検索 大手も包囲網 ヤフー、来年から制限機能」という記事が掲載される。記事によると、ヤフーは、検索、掲示板、チャットなどに親の選択で接続を制限できるフィルタリング技術の適用を検討しているという。
【関連情報】
 東京都青少年問題協議会は「インターネット・携帯電話からの有害情報に対する効果的な対策」などを審議している。第1回専門部会(11月2日)で配布された資料によると、「フィルタリングの開発と提供及び保護者による活用など」を検討するといい、第2回専門部会(11月8日)では、ニフティやKDDIなどから意見聴取を行っている。また、第5回専門部会(11月24日)では、子どもが買うものは原則としてフィルタリングをかけるべき、という積極論が出る一方、フィルタリングに対する親の認知度が低いことなどから、知らないうちに情報が制限されるのは危険だ、という慎重論も出ている。同協議会は来年1月24日にも緊急答申をまとめる予定。(2004/11/27 00:05)
▼「東京都 1月24日に緊急答申を決定か 第1回専門部会」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/41.htm

▼「東京都 他府県の動きが明らかに 第2回専門部会」

http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2004/42.htm

11月27日

 『読売新聞』(夕刊)に「条例で歯止め? 中学生の性交渉」という記事が掲載される。「中学生の性交渉 法令で歯止めをかけるべきか」をテーマに、東京都が設置した「青少年の性行動に関する委員会」のメンバーや読者からの意見がまとめられている。

『毎日新聞』(夕刊)に「「性格決めつけ」テレビ番組 血液型判断で「いじめ」 視聴者から抗議相次ぐ 放送倫理・番組向上機構慎重対応要望へ」という記事が掲載される。

12月1日

 『読売新聞』に「エイズ・明日への道 7 ゛性体験規制" 条例化 意義めぐり激論」という記事が掲載される。中学生の性行為を条例で規制すべきか検討している東京都青少年問題協議会での議論を報じている。記事によると、教育現場の対応を問う指摘などに対し、都庁幹部は「デメリットばかり考えては、何もできない。まず前に足を踏み出すべきだ」と話しているという。

『朝日新聞』(東京版)に「有害サイト閲覧自主規制要請へ プロバイダーなどに都」という記事が掲載される。記事によると、東京都は30日、05年度から都内のプロバイダーやネットカフェに対し、「有害」サイトの閲覧を制限するなどの自主規制を要請する方針を明らかにしたという。
【関連情報】
1.『毎日新聞』2004年10月6日付「有害情報発信で自主規制要請へ 文科省・ネット業界団体などへ」という記事によると、長崎県佐世保市の事件を受け、文部科学省は5日、インターネット業界団体や携帯電話会社などに対し、「有害情報」の発信などについて実効性のある自主規制を行うよう要請することを決めたという。要請文は6日にも発送されるという。
2.東京都青少年問題協議会は「インターネット・携帯電話からの有害情報に対する効果的な対策」などを審議している。「有害」規制監視隊が第5回専門部会(11月24日開催)で配布された「インターネットカフェ運営業者1社からの聴取」という資料を入手したところ、「条例による規制についての意見」という項目があり、この業者はフィルタリングの導入について、「条例化を行ってもよい。業界の健全化となる」と答えている。同協議会は来年1月24日にも緊急答申をまとめる予定。(2004/12/1 07:20)

『東京新聞』(夕刊)に「千円札偽造、中2逮捕 「自販機などに80枚」 8人を補導、通告 パソコンを悪用 容疑で警視庁」という記事が掲載される。記事によると、警視庁少年事件課と成城署は1日、通貨偽造の容疑で中学2年の男子生徒1人を逮捕したことなどを発表したという。逮捕された男子生徒はインターネットオークションで購入した雑誌などで偽札作りを研究していたという。
『毎日新聞』(夕刊)にも「1000円札偽造、中2逮捕 警視庁 使用の同級生3人補導」という記事が掲載された。
『読売新聞』(夕刊)にも「中2が1000円札偽造容疑 1人逮捕8人補導 80枚、自販機で使う」という記事が掲載された。

12月2日

 『日刊スポーツ』に「中2パソコン少年精巧偽札 自宅で1000円100枚以上製作 自販機などで使用」という記事が掲載される。
『THE JAPAN TIMES』にも「14-year-old held for counterfeiting money」という記事が掲載された。

12月4日

 『朝日新聞』(夕刊)に「中2偽札事件 自販機の大半で通用 ネットで情報、何度も試作」という記事が掲載される。記事によると、千円札を偽造したとして逮捕された少年は、ネットオークションで紙幣の偽造に関する特集記事の掲載された月刊誌を購入していたという。

『毎日新聞』(夕刊)に「違法認識で掲載は「ほう助」 性風俗店広告で警視庁 スポーツ紙・出版社に是正指導へ」という記事が掲載される。

12月6日

 『朝日新聞』(夕刊)に「カメラ付きは「対面販売」? 「有害図書」自販機 自治体は規制」という記事が掲載される。金谷重樹・摂南大教授(行政法)の「コンビニも問題」というコメントも掲載されている。
【関連情報】
1.『山陽新聞』2004年6月4日付「カメラ監視の自販でも× 有害図書販売に罰金 岡山簡裁が初判断」という記事によると、監視カメラ付き自動販売機に「有害図書」を収納したとして、岡山県青少年保護育成条例違反の罪に問われていた図書販売会社元社長の判決公判が3日、岡山簡裁で行われたという。裁判官は「(監視カメラでは)青少年との識別が不十分で、十八歳未満が購入したケースもあった」として求刑通り罰金60万円を言い渡し、被告側は即日控訴したという。なお、岡山地検はいったん起訴猶予としたが、検察審査会が起訴相当と議決したため起訴したという。
※検察審査会とは、有権者の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が、検察官の不起訴処分の妥当性を審査するところである。議決には、「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」があり、検察官はこの議決を参考にして事件を再検討し、起訴すべきかを改めて判断する。

2.自販機への「有害図書類」の収納禁止規定をめぐっては、埼玉県で年齢識別装置の有無により条例違反になるかが争われたことがある。一審の熊谷簡裁は平成11(1999)年6月9日、運転免許証を利用した年齢識別装置によって青少年が「有害図書」を購入するのは困難であり、可罰的違法性を欠くとして無罪とした(ただし、装置が作動していなかった自販機については有罪とした)。
 検察官が控訴したところ、東京高裁は平成12(2000)年2月16日、「本条例一四条一項は、文面どおり、自動販売機への有害図書等の収納を一律に禁止しているものであって、年齢識別装置が取り付けられているか否か、その機能、特質等によって、規制の対象としたり、対象外とするように適用を異にする運用を容認し、予定しているものと解することはできない」ことなどを理由に原判決を破棄、有罪としている。
<参考文献>
(1)倉田原志「年齢識別装置付き自動販売機への有害図書収納行為と表現の自由」『法学セミナー』第553号(2001年)、106頁
(2)島田聡一郎「年齢識別装置つき自販機への有害図書類の収納と埼玉県青少年健全育成条例一四条一項の罪」『法学教室』第246号別冊付録(2001年)、29頁
(3)野下智之「実務刑事判例評釈[83] 運転免許証による年齢識別装置を取り付けて作動させている自動販売機への有害図書等の収納行為について、埼玉県青少年健全育成条例一四条一項違反の処罰規定を適用するほどの可罰的違法性がなく、無罪とした原判断が是認できないとして破棄された事例」『警察公論』2001年6月号、55-60頁

3.神奈川県県民部青少年課が2004年11月付でまとめた「青少年の深夜外出防止対策と有害情報の効果的規制の考え方(案)」では、「図書類自動販売機への対応」として、次のような取組が提起されている。

「図書類自動販売機については、近年の情報機器の発達に伴い遠隔監視システム等付加的な機能を搭載したことをもって条例の除外を求める動きが各地で発生しているが、図書類自動販売機については、性的なインモラルな写真等を題材とした娯楽雑誌類が大半を占めているという実態に鑑み、図書自動販売機そのものを社会環境阻害因子としてとらえ、遠隔監視システム付き自動販売機を明確に条例の規制対象とするとともに通学路等への設置を禁止する必要がある」(10頁)

 群馬県も2004年11月、県青少年保護育成審議会が自販機規制のあり方を答申するさい、「県内には、有害図書等を収納する自動販売機が500台近くあり、地域住民とのトラブルが絶え」ないと説明している。ただ、『上毛新聞』2004年11月25日付によると、群馬県青少年保護育成審議会の提言には、「自販機設置の際に業者と地域住民が話し合いの機会を持つ仕組みづくり」などが含まれているという。
 図書自動販売機そのものが地域住民にとって「社会環境阻害因子」であるならば、いくら年齢識別装置や遠隔監視システムを導入しても、トラブルが解決するとは思われない。「業者と地域住民が話し合いの機会を持つ」という制度がどのようなものになるのか、そしてどのように機能するのか注目したい。(2004/12/6 20:25)

12月9日

 『朝日新聞』(横浜版)33面に「有害図書類カメラ付き販売機 県条例で自販機と定義へ」という記事が掲載される。
『読売新聞』(神奈川版)35面にも「監視モニターを備えた有害図書自販機も規制へ 知事方針示す」という記事が掲載された。

『東京新聞』(夕刊)に「少年補導を法規定 警察庁提言まとめ 保護者責務も明確に」という記事が掲載される。記事によると、警察庁の「少年非行防止法制に関する研究会」が9日にまとめた提言では、喫煙や深夜はいかい、「有害図書」を持つ少年を「不良行為少年」と定義しているという。
【関連情報】
1.「不良行為少年」の定義に「有害図書」の所持を盛り込むことを検討していた「少年非行防止法制に関する研究会」については、『サンケイスポーツ』2004年10月3日付「エ!? エロ本所持で補導デス 警察庁が「不良行為少年」の定義に」という記事が詳しい。なお、この記事によると、「有害図書」の所持について警察庁少年課は、これまでも「不健全娯楽として補導対象になりえた。補導例? 把握していない」と話しているという。
2.『読売新聞』(横浜版)2004年6月29日付「有害図書業者を家宅捜索 県警など 泉区で自販機1台押収」や『東京新聞』(横浜版)2004年10月19日付「有害図書自販機の摘発増加 罰金刑に抑止効果なく 業者と“いたちごっこ”状態 県条例見直しも「隣県と統一必要」」という記事によると、5月末に住民から、「自販機の周りに子供がたまっている。何とかしてもらえないか」と要望があり、泉署が捜査したところ、高校生が「有害図書」を購入しているのを署員が発見。この高校生は補導されたという。(2004/12/9 20:30)

12月14日

 『読売新聞』(東京版)に「性行動の低年齢化対策 条例化めぐり両論併記 都協議会」という記事が掲載される。東京都青少年問題協議会の答申案について報じている。

12月15日

 『大阪日日新聞』20面に「有害図書包装義務化 5割「罰則付きで」 府政モニターアンケート」という記事が掲載される。

12月17日

 Yahoo!ニュースに「条例化の是非を議論 少年少女の性行為めぐり」という記事が掲載される。
▼「条例化の是非を議論 少年少女の性行為めぐり」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041217-00000203-kyodo-soci

12月18日

 『日刊スポーツ』に「ブルセラ条例施行で風俗店ドーナツ化現象」という記事が掲載される。

Yahoo!ニュースに「安易な性行動慎むよう教育を=条例で保護者らに努力義務-都青少年協議会」という記事が掲載される。
▼「安易な性行動慎むよう教育を=条例で保護者らに努力義務-都青少年協議会」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041218-00000325-jij-pol

Yahoo!ニュースに「親の努力義務条例化を提言 安易な性行動に配慮促す」という記事が掲載される。
▼「親の努力義務条例化を提言 安易な性行動に配慮促す」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041218-00000002-kyodo-soci

12月19日

 『読売新聞』(東京版)に「子どもの性に向き合う」という記事が掲載される。17日に開かれた東京都青少年問題協議会第3回起草委員会での議論について報じている。

<12月20日

 『四国新聞』1面に「県青少年条例 8年ぶり改正へ まんが喫茶やネットカフェ 深夜立ち入り禁止 有害図書 区分陳列違反に罰金」という記事が掲載される。

『日本経済新聞』に「進化は社会とともに 「良い」と「強い」均衡探る」という記事が掲載される。コンビニ業界が実施している「セーフティステーション活動」について報じている。
【関連情報】
1.コンビニ業界は警察庁などと連携して、「セーフティステーション・トライアル活動 ―まちの安全・安心な生活拠点づくり―」を実施している。具体的には、「安全・安心なまちづくり」と「青少年の健全育成」に貢献するため、「強盗・万引等に対する自主防犯対策」や「18歳未満への成人誌閲覧・販売禁止」などに努めるというもの。詳しい内容は日本フランチャイズチェーン協会ホームページで確認することができる。
社団法人日本フランチャイズチェーン協会

2.横浜市で9月に開かれた「有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会」では、コンビニ業界の代表が「セーフティステーション・トライアル活動」に関する資料などを配布。コンビニ業界による「有害図書」対策を説明している。

横浜市 グレーゾーン対策も検討へ 第2回販売防止対策検討委員会

(2004/12/20 06:30)

12月22日

 毎日新聞ホームページに「県が青少年保護条例の改正案 有害サイト接続防止、全県民に努力義務 /宮城」という記事が掲載される。
▼「県が青少年保護条例の改正案 有害サイト接続防止、全県民に努力義務 /宮城」

http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/22/20041222ddlk04010118000c.htm

12月25日

 『読売新聞』(東京版)に「「青少年の性、配慮と対話を」 都の協議会が答申骨格固める」という記事が掲載される。
『朝日新聞』(東京版)にも「青少年の性 都の協議会 慎重さ促す努力提言 答申固める 「年齢明示」は見送り」という記事が掲載された。
【関連情報】
 24日の都青少年問題協議会拡大専門部会を傍聴した方の話によると、答申原案で唯一両論併記となっていた淫行処罰規定の導入について、「本当にこういう処罰が必要かまだまだ議論すべき」という慎重論のほか、「最高裁の判例があるので定義は明確になったが、あたかも(青少年の)性交自体が許されないと伝えられるのは大きな問題。注意が必要だ」「『みだらな性交』という表現を改めてもう少しこの部分を膨らませ、反対する者が納得するものにした方がよい」などの意見が出たという。こうした指摘を受け、第4回起草委員会では、答申原案の淫行処罰規定に関する部分を読みやすくする、少数意見を拡充する――などを検討することになったという。
 一方、竹花豊・都副知事は、淫行処罰規定よりもインターネット関連の提言を評価し、「これは非常に大きなインパクトのある答申だと思う」「新しい、有効な答申をいただいたと感じている」と述べたという。(2004/12/26 15:35)

 


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